「財政健全化」と「議会改革」は待ったなし!
【
財政健全化】
2018(平成30)年10月に公表された「今後の財政見通し」において、財政再建中の北海道夕張市[2007(平成19)年3月に財政破綻]に次ぎ、宮津市は「全国ワースト2」の財政状況でした。
その後、財政健全化に向けた取り組みが始まり、2020(令和2)年度の財政指標は若干改善しました。
しかし、地方債残高は3年連続で増加し、主な財政指標は「全国ワースト4」で、財政状況は未だ厳しい状況が続いています。
私達は、大学で「行政」を専門に学んだ知識とネットワークを通じ、過去に行った箱モノ(公共施設の建設)への傾注が現在の財政悪化の要因の一つだと捉え、財政をチェックし、健全化に向けた施策の提案に注力しています。
【議会改革】
従来、各議員が総務文化教育と産業建設福祉の分科会に分かれて予算と決算に関する議案を審議してきましたが、昨年9月の決算審議で試行し、本年3月の予算
審議から正式に委員会を一本化して、全議員が集い審議することになりました。
そして、委員会で各議員の議案質疑を踏まえ、各会派が鳥瞰して市政を問う「総括質疑」を導入しました。
これは、議会活性化特別委員会(委員長:星野和彦)が議会改革の一環で取り組んできたもので、近年の議員数削減と働き方改革にも対応するものです。
私達も他会派の議員と積極的に議会改革に取り組んでいます。
市政を問う!星野和彦の一般質問 〇:成果あり △:継続中 ×:成果なし
◆2021(令和3)年6月定例会
「河川の水害対策と治山事業」(成果:△)
近年、想定外の集中豪雨が世界各地で甚大な被害をもたらし、2018(平成30)年の西日本豪雨で宮津市内の各河川も大きな被害が出た。
各河川の水害対策と土砂を運ぶ上流の治山事業を尋ねる。
(答弁)国や京都府と連携して対策に努めたい。
◇主な質問と提案
①孫谷川南にある小川の鉄砲水対策をどうするか。
②池ノ谷下水路を地上の開水路にできないか。
③吉原下水路の浚渫を年2回できないか。上流の
旭ケ丘の治山事業の進捗状況はどうか。
④狩場川上流のコンクリート橋の改修と農業用
水路へ土砂が流入した時の補助はできるか。
◆2021(令和3)年9月定例会
「1.大手川の治水対策」(成果:△)
豪雨時の大手川東岸は排水溝があふれ、冠水対策が課題だ。
また京都府が川の土砂を取り除く浚渫(しゅんせつ)に市民の関心が高い。
危機管理と自然再生の観点から対策を尋ねる。
(答弁)国や京都府と連携して対策に努めたい。
◇主な質問と提案
①大手川下流で重機を昇降できる場所を尋ねる。
②滝馬川の拡幅事業で、豪雨時に予想される大手川への水量増加や土砂流入の影響を問う。
③宮津天橋高校フィールド探求部が取り組む「大手川の再生プロジェクト」のサポートを提案する。
「2.由良川の濁流と漂着ゴミの対策」(成果:△)
由良川は豪雨の後に濁流となり、由良海水浴場の砂浜を削り、大量の漂着ゴミを運ぶ。
国土交通省の由良川水系流域治水プロジェクトを参考に所管する京都府への対策と要望を模索する。
(答弁)国や京都府と連携して対応したい。
◆2021(令和3)年12月定例会
「有害鳥獣対策の改善を提案する」(成果:△)
有害鳥獣による農作物被害は全国で深刻な問題になっている。
当市では処理施設の悪臭問題も発生しているが、様々な課題に対しジビエ事業
の選択と集中など抜本的な改善策を提案する。
(答弁)ジビエの産業化を進めていきたい。
◇主な質問と提案
①ワイヤーメッシュ柵の長城を築き、ドローンなど
新技術を活用し、管理体制を徹底できないか。
②ジビエ事業への地域おこし協力隊の活用や
捕獲した獣の牧場の創設を提案する。
◆2022(令和4)年3月定例会
「1.宮津市が生き残る改善策」(成果:△)
当市の主要な財政指標は全国ワースト4で、深刻な人口減少と水道や道路など多額のインフラ改修を要する危機的状況だ。
従来の箱モノ建設からソフト事業等による改善策を提案する。
(答弁)地域の発展等に寄与する新幹線建設は北部7市町が協力して誘致したい。
◇主な質問と提案
①近隣市が連携するフィルムコミッション(映画やテレビの撮影斡旋)への参加。
②高速バスを活用した京阪地区との通勤通学・観光圏の構築。
③山陰新幹線の建設と天橋立駅の誘致。
④各界で活躍する宮津出身者の定期的な講演会の開催や交流。
「2.市職員の人事戦略に対する改善策」(成果:△)
市職員の極端な削減や一律給与カットは大幅に経費を節減できるが、行政サービスやモラールの低下に繋がる。研修の充実など人を育む労働環境の改善や厳格な人事評価等を提案する。
(答弁)自己啓発助成制度の創設など職員の育成に注力している。一定の給与水準は優秀な職員を確保する上でも重要だ。
市政を問う! 久保浩の一般質問予算・決算委員会における無所属クラブの総括質疑
2021(令和3)年 9月の予算決算委員会(試行)
「宮津市第2期行財政運営指針に基づく財政改革」
1.宮津市の将来負担比率210.1%(前年度243.0%)を更に改善する目標値と達成までのプロセスを尋ねる。
(答弁)2030(令和12)年度の目標は150%以下で、2021(令和3)年度から10年間にわたる建設地方債の総額の上限を55億円、年平均で5.5億円とする「キャップ制度」を取り入れたことで、これをしっかり堅持することが重要だ。
◆ご参考 自治体の健全性を示す財務指標って何やろう?
2007(平成19)年3月、夕張市の財政破綻を機に総務省は翌年度より全国の自治体が同省へ以下の財務指標を報告する義務を課しました。
①実質公債費率 ②将来負担比率 ③実質赤字比率 ④連結実質赤字比率
そして、会社に例えると、倒産にはならないが経営不振を示す「早期健全化団体」の基準値(イエローカード)、倒産にあたる「財政再生団体」の基準値(レッドカード)を上記の財務指標に設定しました。
その指標は一般会計と特別会計に留まらず、一部事務組合や広域連合、地方公社や第三セクター等の決算も加えています。
これは、地方自治体が昔と異なり事業を多角化して、多くのリスクを負っている現実を物語っています。
◆ご参考 将来負担比率って何やろう?
借金や職員の退職金など今後支出が見込まれる費用のように、将来負担しなければいけないお金が1年間の通常収入に対してどれくらいあるか、将来の負担が
大きすぎないかを判断するために国が定める基準です。
一般に家を建てる時のローン総額は年収の5倍程度と言われますが、市町村における将来負担比率が年収の350%つまり3.5 倍を超えると、イエローカードの早期健全化団体になります。(都道府県および政令市は400%)
尚、将来負担比率には財政再生団体となる基準(レッドカード)が設定されていません。2.宮津市の実質公債費比率17.9%(前年度20.0%)を更に改善する目標値と達成までのプロセスを尋ねる。
(答弁)上述の建設地方債発行の総枠キャップを堅持し、2030(令和12)年度には13%以下にしたい。