一般質問2017(平成29)年の議事録

【星野和彦 2017年度の一般質問】
・3月:除雪体制の検証と改善策
・6月:由良地区の歴史伝承を活用した観光施策の強化
・9月:①みやづ歴史の館「資料館」の再開に向けて
②宮津会館と市民体育館向け空調施設と駐車場の整備を望む
・12月:オリーブ事業の問題点と改善に向けて

【2017年3月 定例会】
※動画:https://www.youtube.com/watch?v=QCaODbYe44c&t=224s

 

 

 

〇除雪体制の検証と改善策
今冬、短期間に降り積もった記録的な大雪は、交通機関・観光・農林水産業等に甚大な被害を与え、市民の生活が混乱した。現在の除雪体制を検証して、今後に備えた改善策を問う。

【星野和彦 議員】
星野和彦です。
通告に従い、一問一答方式で、除雪体制の検証と改善策について質問致します。
本題に入る前に、今年の冬の大雪で、溝尻地区において除雪作業中の市民の方が亡くなられたことに対して、心よりお悔やみを申し上げます。
また、鳥取県を初め日本の各地で大雪の被害に遭われた皆さんに、謹んでお見舞いを申し上げます。
「災害は忘れた頃にやってくる」と、戦前の物理学者で随筆家の寺田寅彦が言ったと伝わります。
また、「備えあれば憂いなし」という古代中国、殷の宰相・傳説の言葉があります。
この故事にのっとり、宮津市の除雪体制の検証と改善策について、これから質問を致します。
先ず1点目です。
今年の冬の積雪量、被害状況、除雪車稼働日数、除雪委託料、財政負担、以上5点について、過去数年の平均値との比較と併せてお答えください。

【山根洋行 建設部長】
除排雪体制の検証と改善策の御質問をいただきました。
今季、冬の積雪でございます。
年明けの1月14日から15日、そして23日から24日、2月の10日から12日にかけての3回の大雪によりまして、宮津市街地を初め市内の全域におきまして除雪作業を実施したところでございます。
その状況についてでございますけれども、まず、積雪量についてでございます。
今季の積雪は、市街地の吉原観測所で最大積雪深69㎝を記録しまして、警戒積雪深50㎝を超えるなど、平野部におきましても大雪となったところでございます。
次に、被害状況についてでございます。
農林水産関係では、漁船1隻の沈没、ビニールハウス25棟、田井宮津ヨットハーバー内の建物の一部損壊、また、天橋立の松におきましては126本の倒木や枝折れ被害等が発生したところでございます。
除雪車稼働日数とその経費につきましては、2月末現在、3日間の排雪作業も含めまして、稼働日数は21日となっております。
機械リース及び委託料等の経費は約120百万円という状況でございまして、近年で最も多かった23年度の1.2倍の除雪経費というふうになっておる状況でございます。
また、今年度の道路新設改良に係る予算と比較しますと、ほぼ同額の予算を執行しておりまして、本市の財政への影響は大きいというふうに考えております。

【星野和彦 議員】
ご答弁ありがとうございます。
今の数値を伺いますと、今年の被害というのは非常に甚大な被害をこうむったというふうに捉えるかと思いますけども、この過去数年ということで、過去の豪雪年、それから大体の周期ですけども、その辺りの分析というのは如何でしょうか。

【山根洋行 建設部長】
気象庁のデータ、舞鶴観測所地点で見ますと、月単位で積雪が最も多かった年は昭和59年でありました。
同様のデータで多かった年は平成17年、そして平成12年、昭和56年、昭和52年となっておりまして、参考となる周期というものにつきましてはないのかなというふうに考えております。

【星野和彦 議員】
この豪雪というのが、私も実は30年振りに宮津に帰って、ことしで3年目になりましたですけども、先程おっしゃられた昭和59年、この年は高校を卒業した年で、当時の卒業アルバムを見ますと、背丈ぐらいの雪が積もった中で3月の卒業式を迎えた写真が残っております。
それ以来、冬の時期に帰ることが殆どなかったんですけど、親が写真を送ってきたりして、大体その周期というのを見てますと、少なくとも平成に入ってからというのは大雪というのは減ってはおりますが、凡そでいうと5年周期ごとには大雪が来てるなという感が致しします。
その辺のデータというのが、市のほうから配付されているデータで、ここ数年のデータもありますので、それなんかを参考にさせて頂いて、今のことを申し上げました。
豪雪が起こるというのは、ある意味では、昔はよく降って毎年のように雪が積もったんですけども、これが地球温暖化の影響であろうということで、雪に対する備えというのも段々やっぱり人間というのは軽んじていくのかなということを感じます。
これは宮津に限ったことではないと思います。
豪雪が起こった時、対策本部を設置されるかと思うんですが、その基準と運用方法を教えてください。

【森口英一 総務部長】
豪雪時の対策本部の設置基準なり、その運用方法ということでございます。
所管しております総務のほうからお答えをさせていただきます。
本市に大雪警報でありますとか暴風雪警報、こういったものが発令をされましたら、災害警戒本部というものを立ち上げることにいたしております。
そして、まずは警戒に当たっていくということでございます。
そして、その後は、本市にあります8カ所の積雪観測所、これを常に観測をいたしておりまして、その観測所ごとに定められております警戒積雪深、これを超えるものがおおむね2分の1以上となった時、あるいは局地的な大雪となった時につきましては、雪害対策本部というものを設置をいたします。
道路除雪はもとより、状況に応じまして民家等の排雪場所の確保であったり、住宅等の除雪費に対する緊急支援、こういったものを措置していくということにしてございます。
また、さらに豪雪ということになりますれば、相当な被害が発生するおそれがあるということになります。
そうした場合におきましては、災害対策本部を設置いたしまして、必要な対策を実施することといたしております。

【星野和彦 議員】
ご答弁ありがとうございます。
因みに、その対策本部が置かれた過去・最近どのような頻度で行われているのかということを教えて頂けますか。

【森口英一 総務部長】
最近の災害対策本部の設置の状況ということでございます。
災害対策本部までには至っていないということでございまして、先ほど申しました雪害対策本部を最近は設置したことがございます。
いつだといいますと、平成23年度に1回、そして平成22年度に1回ということで、過去に2回設置をいたしております。
尚、先ほど申しました災害警戒本部、これにつきましては、警報が発令されると同時に自動設置ということにしてございますので、今年度におきましては御案内の通り4回ほどございますし、昨年、27年度はなかったというような状況です。
その他26年度、25年度も2回、3回というような形で設置はいたしておるという状況でございます。

【星野和彦 議員】
今ご答弁頂いたことからも、雪というのは昔と比べますと随分減ってるんだなということが、やっぱりその頻度によって証明されるかなというふうに思います。
その中で、これ私、帰ってきて驚いたことでもあるんですけども、自治会との協働、一緒に働く協働ですね、これによる市道及びこの歩道、殊にこの通学路の除雪と「排雪」、雪を排出する排雪体制について伺いたいんですけども、小型除雪機が各自治会に配られてまして、その稼働状況を含めて自治会との協働について教えください。

【山根洋行 建設部長】
本市では、除雪路線になっていない狭隘な道路や歩道につきまして、地域と一体となった除雪事業と致しまして、現在、33自治会等に37台の小型除雪機を貸与し、ご利用をいただいているという状況でございます。
また、京都府におきましても、地域と一体となった歩道除雪として、自治会等が小型除雪機を使用して実施する、国道、府道の歩道除雪に対しまして燃料費の必要経費等を支援するなど、地域との協働除雪に取り組んでおるということでございます。

【星野和彦 議員】
この小型除雪機というのが非常に性能がいいというふうにお伺いしておるんですけども、実は戻ってきて余り見る機会が少ないんですね。
私、雪が降ると結構歩き回るほうなんで、住んでるのが今、松原橋の近くでございまして、宮津高校の前あたりを通って京街道、そこから本町のほうに抜けて歩くんですけど、この小型除雪機が稼働しているのをこの3年間、3回冬を迎えましたけども、見たのが宮津高校の前で1度見たきりで、その他では余り動いているところを見てないんですけども、そのあたりの稼働状況というのは如何ですか。

【山根洋行 建設部長】
今年度の稼働状況につきましては、この台数フルに稼働しているという状況でございます。
近年ということでございますけれども、昨年は非常に雪が少なかったということで稼働してない地区が多かったということでございます。
いずれにしましても、積雪の多い年少ない年というのがございますので、稼働状況については年によって差があるということでございます。

【星野和彦 議員】
フル稼働ということで理解すればいいのかもしれませんけども、どうなんでしょうか、この小型除雪機の性能。
これはある人に聞くと、硬い雪だと何か飛ばせないんじゃないかという人もいらっしゃれば、いやいや、そんなことはないと。
今回みたいに大雪が降っても非常に活躍してるんだという方の二手に分かれるんですけども、性能的な部分でいくと、仕様と言えばいいんでしょうか、こちらは如何ですか。

【山根洋行 建設部長】
過去から小型除雪機の導入をさせていただいておる状況でございます。
その中で、少し馬力といいますか、少し価格の高い除雪機を導入しております、現在につきましては。
以前のものは少し力が弱いかなというような声もお聞きしております。
今後、小型除雪機の導入に当たりましては、現在導入させていただいております少し力の強い小型除雪機を、更新にあわせて導入をしてまいりたいというふうに思っております。

【星野和彦 議員】
この小型除雪機なんですけども、宮津地区というのが所によっては積雪量が大分差が出まして、今年の傾向としては、旧宮津町内というのが非常に多かったんですね。
69㎝ですか、ほぼ70cm雪が積もりましたけども。京都府のインターネットを見てますと、地図ごとで今、エリアの細かなデータが出てきまして、例えば日置地区とかになると雪がちょっと減るんですよね、非常に珍しくですね。
そうかと思えば、山間部のほうになるとやっぱり1mを超えてますと。
この除雪機なんですけども、これ各自治会に同じ機種を入れてらっしゃるんでしょうか。
というのは、所によってやはり雪の量が変わってくるかと思うんですけ、それと併せて価格も大体どれぐらいなのかということも教えて頂きたいです。

【山根洋行 建設部長】
小型除雪機の価格ということで御質問いただきました。
正確な数値につきましては、ちょっと把握ができていないんですけれども、1台が50万円ぐらいだったかなというふうに思っております。
機種でございます。機種につきましては、小型除雪機につきましては、ほぼ同一の機種でございます。
地域で差があるということはございません。

【山根洋行 建設部長】
申しわけございません。小型除雪機の、125万ということです。
申しわけございません。ちょっと、失礼をいたしました。125万円でございます。

【星野和彦 議員】
エリアによっても、たしか私、前に説明を受けた時に、機種が変わってるというふうにお伺いしたことがあるかと思うんですけども、如何ですか。
全部一律で同じものでしょうか。

【山根洋行 建設部長】
先ほども申しましたように、導入をしましてから当初は力の少し弱いものであったということで、機種につきましては、形としては、機能としては同じ方式なんですけれども、力の強い機種を導入しておるということでございます。

【星野和彦 議員】
小型除雪機ですね、この後ちょっと色々この検証をしていく中で、キーを握るこの小型除雪機の使い方というのはこれから大きくなってくるかと思いますので、後でまた質問させて頂きます。
次の質問をします。
現在に至る委託業者の除雪重機等の整備状況と連絡体制を教えてください。

【山根洋行 建設部長】
除雪重機の配置状況でございますけれども、今季、56台の除雪機を配備しております。
議員も御承知のことと思いますけれども、長年地域の除雪作業を担ってきた建設事業者においては、民間需要や公共工事の減少、さらには若者の入職者減少がありまして、その取り巻く環境ですね、これは非常に依然として厳しい状況が続いておるというふうに思っております。
こうした中でございますけれども、建設事業者におきましては、除雪重機の保有やオペレーターの確保が困難な状況となっておりまして、年々その保有する除雪重機は減少傾向にありまして、今年度は56台中、37.5%の21台がリースによる貸し付けになっておる状況でございます。
また、連絡体制につきましては、委託業者等の緊急連絡先を把握しまして、作業中におきましても事業者と連絡がとれる体制を整えて、除雪を実施しておるところでございます。

【星野和彦 議員】
除雪をする方の高齢化というのは、宮津市にかかわらず全国でも問題になっておるようで、年々、先ほど申し上げた雪が減ってるという中もありますけども、最も大きな要因としては、やはり地方の人口が減っているということで、除雪する方も減っていってるという状況が宮津も顕著だというふうに理解をしております。
今後の委託業者さんとのお付き合いの中で、56台中、21台を市からリースをしておるということですけども、これは今後もやはり市のほうでカバーしていくことが増えていくと捉えてよろしいでしょうか。

【山根洋行 建設部長】
今後もこのリースによる貸し付けが増えていくものというふうに考えております。

【星野和彦 議員】
なかなか、またこちらのほうも財政負担のほうが出てくるかなというところがやはり懸念されます。
次の質問をします。
高齢者及び障害者の世帯に対する除雪と排雪対策について、できれば、その件数と補助額の推移が分かれば、教えてください。

【河嶋学 健康福祉部長】
担当しております健康福祉のほうから、ご答弁させていただきます。
議員ご質問の高齢者及び障害者の世帯に対する除排雪対策でございますが、先ほどありました平成22年と23年度に、宮津市雪害対策本部の設置とあわせて、特例措置として高齢者等住宅除雪緊急補助制度というのを実施をいたしております。
この制度は、ひとり暮らし高齢者ですとか障害者の非課税世帯で、屋根等の除雪を実施しないと災害のおそれがあると認められる場合に、除雪に要する経費の一部を助成をするものでございます。業者に屋根及び玄関から道路までの除雪を依頼した場合の経費のうち、作業員1人1時間当たり1千円を補助金として支援をしたものでございます。
件数と補助額でございますが、平成22年度が43件の818千円、平成23年度が70件の1,111千円でございます。
尚、平成23年度には、高齢化等により自治会員による除雪作業が困難な自治会に対しまして、自治会が業者等へ除雪を依頼した場合の経費に対する補助を同じく特例措置として実施をいたしております。
高齢化率が高い、また構成世帯が少ない自治会を対象として、除雪費用の2分の1以内、1回5万円を限度として補助いたしております。
実績としては3件、47千円でございます。

【星野和彦 議員】
宮津市の高齢化率というのが39.9%まで来たと、先日お伺いしましたですけども、今後益々高齢者の方が増えて、雪の時の対策というのも悩ましいところではございますが、今回の特例措置ということですけども、これは今後にわたっても、また引き続き継承されるものと捉えてよろしいんでしょうか。

【河嶋学 健康福祉部長】
現在のところは、先ほど申し上げましたように、雪害対策本部の立ち上げとあわせてこういった制度、今後も引き続き実施していく予定でございます。

【星野和彦 議員】
財政のことも気にはなりますけども、是非ともここの部分は、生命、財産を守ることなので、続けて頂きたいなというふうに思います。
次の質問をさせて頂きます。
道の端なんかによく置いてあるんですが、融雪剤を配布されるケースがあるかと思うんですけども、融雪剤の配布方法、あるいはその周知方法というのがあれば教えてください。

【山根洋行 建設部長】
融雪剤の配備につきましては、京都府では国道、府道の橋梁及びトンネルの出口等に配備されており、本市では自治会からの要望によりまして、急勾配の道路等に配備をさせていただいておる状況でございます。

【星野和彦 議員】
宮津市の場合の大体年間で使う量というのはどれぐらいのもんでしょうか。凡そで結構ですから。

【山根洋行 建設部長】
詳細な量につきましては、ちょっと把握ができておりません。
急勾配な道路に今、2・3袋置かせていただいておりまして、宮津市内では3カ所程度置いているというふうに承知をしておるところでございます。

【星野和彦 議員】
承知致しました。
次の質問です。
今年の冬の除雪と排雪に関する市民の皆さんからの声が随分と市のほうにも来て、私のほうの自宅にも結構電話がありました。
その例としましては、除雪や排雪の要望、あるいは除雪方法、それから路上駐車、あるいは物損、自助努力で除雪した市民の方の不公平感といったものが出てきてます。
平成23年度と比較しまして、市民の声、雪の対策に対するですね、こちらのほうが如何なものかと。
できれば凡その件数も教えて頂くとありがたいのですが、如何ですか。

【山根洋行 建設部長】
除雪の作業を実施する中で、市民の皆さんから早く除雪をして欲しい、それから除雪車に大きな雪の塊を家の前に置いていかれた、それから除雪の仕方が悪いというようなお声を400件近く、苦情のお声をいただきました。
また、今回、排雪作業を実施した地域においてでございますけれども、自助努力で除雪した市民の皆さんからは不公平感を感じておるというような御意見もいただきました。
こうした市民の皆さんの気持ちにつきましては理解ができるところでございますが、限られた除雪体制の中で、まずは優先的に地域の幹線道路の除雪を行っておりまして、排雪作業につきましては、その後の道路の積雪状況を確認しまして、実施についての判断を行うこととしております。
必然的にタイムラグが生じまして、不公平感に感じたのではないかというふうに感じております。
引き続き除雪に対する理解を深めていただくよう、努めてまいりたいというふうに思っております。

【星野和彦 議員】
ちょっと今、400件という数字に非常に驚きましたけど、これ平成23年度と比較すると、件数というのはやっぱり増えているんでしょうか。

【山根洋行 建設部長】
申しわけございません。
23年度の苦情の件数までは、ちょっと把握ができておりません。

【星野和彦 議員】
これだけのやっぱり電話が来ると、対応のほうもこれは大変だと思うんですね。
今年の冬というのは、非常に一遍に短期間に雪が積もるという、非常に珍しいケースでもあったんですけども、市の担当職員の方及び委託業者の方の就業状況、それから、逆にこちらの現場の声として色んな声が上がってるんじゃないかなと私は思うんです。
朝早くから出られるかと思うんですけども、過労状態と、あるいは私がよく耳にしたのが、自治会ごとに「集雪場」ですね、これ雪を集める場所ですけども、この確保が難しいというところが、除雪、排雪をする側も非常な混乱があったんじゃないかと思うんですけど、このあたりは如何でしょうか。

【山根洋行 建設部長】
除雪につきまして、市の担当者でございますけれども、朝、早朝ですね、4時から事業者が稼働を終了するまで、積雪状況の把握、そして除雪事業者への指示、そして先ほど申しました市民への対応に、苦情等ですね、市民への対応等に当たっておるところでございます。
また、作業を実施する事業者につきましても早朝5時までに作業を開始していただきまして、積雪状況によっては夜10時頃まで作業を実施していただいた状況でございます。
先月、2月の積雪時につきましては、3日間の排雪作業を含めますと1週間にわたりまして、早朝から夕方まで作業に従事していただいた状況で、さらにその間におきましては市民の皆さんからの苦情への対応も行っていただいておりまして、大変な御協力をいただいておるというふうに思っております。
集雪場所につきましては、今回のような大雪のときには、より多くの場所の確保が必要になるというふうに考えております。
ある地区では、自治会の積極的な御協力をいただきまして、除雪作業が円滑に実施できたという例がございました。
これは民地の空き地のところへ排雪してもいい、除雪してもいいよというふうに言っていただいた事例がありまして、これはスムーズにいった事例というふうに言えると思っております。
大変感謝をしておるという状況でございます。

【星野和彦 議員】
今、ご答弁頂いた内容から、市民側と受ける側の市の担当の職員の方、あるいは業者の方、例えば400件の電話が来ますと、これは非常に効率も悪くなると思うんです。
一番きついのは、自分が置きかえられた時に、除雪を私がやってますといった時に、これだけのクレームが来ると、なかなか精神的にもやっぱりきついものがあるかなと思います。
でもこの辺りをやっぱり今、検証しておる訳ですけども、クリアにしていかないと、何年か置きにはまた来ます。
その時にまた繰り返すのかということが非常に懸念されます。
今回はそういう職員の方、あるいは業者の方で病にかかられる方はいらっしゃらなかったかもしれませんけども、下手をすると、これだけの数値を見ますと、心の病というものにもかかってもおかしくないような状態じゃないかというふうに判断されますが、今まで9点ご質問しましたですけども、周辺市町、あるいは全国の自治体で参考になるようなものがあれば教えて頂けませんか。

【山根洋行 建設部長】
全国の自治体を見ましても、参考となる取り組みにつきましては、地域協働の取り組みというふうに考えております。
したがいまして、現在、本市が行っております小型除雪機の貸与による地域での取り組みとか、自治連、自治会が主体となった、地域による道路除雪の取り組みをさらに進めてまいりたいというふうに考えております。

【星野和彦 議員】
本当にこの除雪、排雪というのは自治会泣かせだなというところでございます。
私もあれこれちょっと調べてみまして、色んな成功事例もあった中で、一つここで時間をとってお話ししたいところがあります。
これは青森県の弘前市なんですけども、平成26年3月に策定した雪対策総合プランというものがございます。
その副題には、安心で快適な活気溢れる雪との共生を目指した町づくりというふうにしております。
「共生」というのは、共に生きるという意味でございます。
弘前市の過去10年間の雪の概要を申し上げますと、積雪の深さが平均89㎝、累積降雪量が608㎝、それから除雪、排雪の経費が年間で1,097百万円、国からの補助金が138百万円。人口が182千人で、1人当たりの除雪、排雪の経費が約6百万円というところになっております。
非常に雪深い所なので、これぐらいになるのかなという想像もつきますけれども。
このプラン設定の趣旨としまして、弘前市では平成23・24年度の2年連続の豪雪により、市民生活はもとより農業や観光等、地元産業にも大きな影響を被りました。
一方、社会経済情勢において、少子高齢化や高度情報化の進展、個人の価値観やニーズの多様化、自動車利用率の増加など状況が変化してきていることを認識した上で、雪対策はこれまでの重機による除雪、排雪だけでは限界があり、市民のアンケート調査でも雪対策に関する行政への満足度が高くない状況にあることを認めました。
そして、平成25年3月に策定した弘前型スマートシティ構想というものを立てまして、その中では、積雪寒冷地において安心で快適な生活ができるよう、雪の克服から一歩進んだ雪との共生というこの方針を一つとして、雪対策の充実を目指すこととしています。
そのためには総合的な雪対策が必要であり、「除雪・排雪・消融雪」、これは雪を消す融雪ですね、の効率化など、ハード面だけではなくて、雪対策に利用できる既存施設の活用や雪置き場としての市内の空き地の利用、更に地域住民のコミュニティーによる除雪、排雪活動等の実現、また、雪を利用する「利雪」、雪に親しむ「親雪」による市民と行政との対話を基本にした意識改革など、ソフト面での雪対策に取り組むことによって、このプランを設定しました。
そして、このプラン設定の過程におきましては、まず、雪対策市民会議を設立しました。
これまでの雪対策に関する課題と市民の要望を把握すること、今後の取り組みと方向性を定めるため、公募による市民と学識経験者、それから行政とで構成されました。
次に、雪対策総合プラン策定委員会の設置をしています。
これは、市長と関係部長の10名で構成し、上述の雪対策市民会議の意見を参考にして実際のプランの策定を行いました。
そして、具体的な施策でございますけれども、雪の問題を克服する「克雪」ですね、それから雪を利用する先ほど申し上げた「利雪」、雪に親しむ「親雪」と、この3つのカテゴリーに分けて戦略を立てています。
先ず1つ目の「克雪」。これは道路交通の確保、排雪量の抑制、雪国の市民生活、農道の確保、状況の把握と対策の5点を目標として、施策つまり戦術を据えています。中でも注目すべき施策は以下4点あります。
1点目が自治会等への除雪報償金制度です。
これは、弘前市の自治会は全部で324ありますが、道幅が狭いため市の除雪作業が行えない生活道路の除雪を行う自治会等に対して報償金を支給するもので、平成27年度の実績は32自治会で約160万円です。
2点目が地域除雪活動支援事業です。
これは、自治会等が個人所有の小型除雪機等を利用し、市の除雪作業に伴う寄せ雪によって道幅が狭くなった生活道路の拡幅や排雪を行う除雪活動に対して報償金を支給する事業で、小型除雪機及び除雪機械の燃料費と損害保険料を対象としています。
平成27年度の実績は7自治会で、従事者数は82名です。
3点目ですけども、これは宮津市もやっておりますけども、小型除雪機の貸出制度です。
生活道路や通学路などの除雪を行う自治会やPTAに対して小型除雪機の貸し出しを行う制度で、平成27年度の弘前市の実績は稼働台数66台です。
4点目です。自治会の雪置き場事業。
これは、住宅地などで雪置き場の不足を解消し、地域住民のための雪置き場として空き地を無償で提供した場合、この土地にかかわる翌年度の固定資産税及び都市計画税の3分の1以内を減免する事業です。
平成27年度の実績は24自治会34カ所です。
尚、事業の条件として、空き地提供の際は地元の自治会長と貸借契約を結ぶこと、また、雪解け後の空き地の清掃は自治会で行うこととしています。
この弘前市の戦略の2点目の、雪を利用する「利雪」に関して申し上げます。
これは、雪の冷熱エネルギーによる低温貯蔵、冷房設備の利用促進と、雪に触れ合う観光事業に注力しています。
殊に雪を触ったことのない東南アジアの人へのPRは、インバウンド戦術と共に今後の進捗が期待されています。
最後に3点目の、弘前市の戦略ですけども、「親雪」、雪に親しむことですけども、これは冬季スポーツ関連事業の推進、学校教育における雪遊びの啓発から子供たちが創造力を育むこと、おじいさん、おばあさんの知恵と伝統を次の世代に繋げることに活用されています。
以上が青森県弘前市の雪対策総合プランの抜粋です。
他にも苦心の末に画期的な施策を講じる自治体が沢山ありますが、弘前市の詳細はインターネットでも閲覧できるので、是非参考にして頂きたいというふうに思います。
以上の検証10点をさせて頂きましたけど、これをもとに改善策のお話に移行したいと思います。
先ず1点目ですけども、よく雪国であるんですが、「流雪溝」、これは雪を流す溝です。
この建設あるいは側溝の利用、今ある溝を利用していこうというところがあります。
これは費用対効果の検証も必要かと思いますけども、宮津市では如何でしょうか。

【山根洋行 建設部長】
「流雪溝」の設置につきましては、人家連檐部等機械除雪で十分に積雪を処理できない場合でありまして、かつ北海道や東北・北陸地方等の豪雪地域では効果があるというふうに考えております。
しかし、本市のように積雪量、ことしは一定の期間多かったところはございますけれども、比較的少ない地域では流雪溝の設置は経費等々、効果的ではないというふうに考えております。

【星野和彦 議員】
やはりこれはちょっと費用対効果から考えると、余り宮津市の場合には馴染まないかなというふうに私も思います。
2点目です。
除雪、排雪に対する支援及び有償制度の構築については如何でしょうか。

【山根洋行 建設部長】
市道の除雪につきましては、本来、道路管理者である本市が実施するべきものと考えておりますけれども、先ほど少し触れさせていただきましたけれども、狭隘な市道等、除雪路線以外の道路の除雪につきましては、小型除雪機の貸与等により地域に御協力をいただいておる状況でございます。
したがいまして、市民の方個人が市道の除雪に御協力をいただけるということであれば、ぜひ地域の除雪の取り組みに御協力をいただけたらというふうに考えております。
また、市民の方個人が有償で除雪依頼をする助成制度につきましては、市道の除雪につきましては、個人の土地はあろうかと思いますけれども、市道の除雪につきましては考えておりません。

【星野和彦 議員】
改善策として、この有償制度についてはなかなか難しい部分もありますので、今後の検討の余地はあるかというふうに思っております。
改善策の3点目は各自治会に設置している小型除雪機です。
先ほどお話しになりましたですけども。
この活用なんですが、余り使用方法の講習等を、効力を発揮すると思うんですけども、講習等が余り開かれてないかなと。機械があること自体知らない方も結構いらっしゃるというふうにお伺いしております。
そのあたりは如何でしょうか。

【山根洋行 建設部長】
市道の除雪ですけれども、本当に地域との協働が非常に重要というふうに考えておりまして、自治会への小型除雪機の貸与につきましては、その取り組みの一つと考えております。
現在、自治会に貸与しております37台の小型除雪機は、今季も各地域でフルに活用をいただいておりまして、新たな貸与要望もあるということでございます。
地域協働の広がり感を感じているというところでございます。
こうした中で、既に御使用をいただいておる自治会での新たなオペレーターの育成、そして新規に貸与を行う自治会での使用方法の指導など、引き続き地域で有効に活用していただけるように講習等の実施を検討してまいりたいというふうに思っております。

【星野和彦 議員】
大体雪が降るのが12月からになりますけども、他の市町を見ておりますと、11月ぐらいから講習をやって、要するにこれから冬が来ますよというのに備えて、皆さん集まった上で、そういう講習会を開くということが多いようです。
これをやることによって、先ほどの弘前市の協議会にも繋がりますけども、コミュニケーションも非常に進むかと思うんです。
それから、啓蒙活動ですね、これは雪の怖さ。三八豪雪というのは私も生まれる前でございまして、親からよく言われましたけど、2階から出入りしたんだというようなことをよく言われますけども、雪の怖さを知る意味でも、その年が暖冬であるにしても、やっぱり災害に備える意味で講習を開いて、それは単なる講習だけでもよいと思います。
そこから始まることがあるかと思いますので、ぜひ前向きに検討頂きたいと思います。
改善策のご提案になりますけども、4点目として、雪かきボランティア、これをやっているところが結構あるんです。
このあたりは、宮津市は如何ですか。

【河嶋学 健康福祉部長】
ボランティア担当ということで、健康福祉のほうからちょっと答弁をさせていただきます。
除雪ボランティアにつきましては、ボランティアグループの結成ですとか地域住民の助け合い活動、また学生ボランティアなど、さまざまな仕組みや方法があるというふうに考えております。
一例を申し上げますと、今年度、市内におきまして、栗田地区では地元有志グループによります地区内の雪かきをされたり、また、市街地では、市道が狭くて除雪車が入らない区域なんかでは、呼びかけ合って、体力のある世帯が率先して雪かきをされたというようなこともございます。
また、宮津中学校では屋外運動部の生徒等により、通学路ですとか近隣の高齢者宅の雪かきをしていただいたというようなこともお聞きをしております。
こういった地域、団体の取り組みが継続し、また広がっていくというのが大変重要なことだろうなというふうに思っております。

【星野和彦 議員】
宮津市もそういうボランティアがあるということを教えて頂きまして、ありがとうございます。
今年の新聞に出てたんですけども、兵庫県、京都府北部も非常に記録的な豪雪だったということで、京阪神地区からのボランティアの募集をやり始めたところも出てきているという記事が出ておりましたけども、全部、宮津市だけで完結するのも一つではございますが、そういった他のエリアからボランティアを募る体制ですね、この辺りも今後検討される可能性というのは如何ですか。

【河嶋学 健康福祉部長】
現在のところは、具体にということはございません。
ただ、本当に豪雪で人命にかかわるようなことがある場合には、そういった外からの援助といいますか、そういうことは必要になってくるかなというふうに思います。

【星野和彦 議員】
災害というのは除雪だけにかかわらず、他の事業にも市と自治会との協働、この中で推進する、先ずは協議会等組織をつくること、そこから私は始まるんじゃないかと思うんです。
先程の雪対策の検証をしておる中で、電話が非常に400本もかかってくるというのは、やはり普通の状態ではないと思います。
当然、豪雪が普通の状態でないということを裏返したことでもありますけど、これがやっぱり効率を落としています。
過去の一般質問を見ましても、平成23年度に松本議員が雪対策のことでかなり、議事録を見ますと、詳細について答弁されておりますけども、その後というのはまた暫くないんです。
やっぱり災害というのは、寺田寅彦の言葉じゃないですけども、「忘れた頃にやってくる」んだというところで、今回、この豪雪を機に、こういった協議会等の、先ずは雪に対する備えというものを今後構築していけるでしょうか。
どうですか、このあたりをお答え頂けますか。

【森口英一 総務部長】
こういった豪雪に対しての自治会なりとの協働による組織の立ち上げというようなことでございました。
先ほどから御紹介もさせていただいておりますとおり、それこそ除雪機の貸与というような方法による自治会との協働ということでありましたり、あるいは、今、健康福祉部長が申しましたような、ボランティアというような形での雪対策というようなことを今現在やらせていただいておるといいますか、やっていただいておるというような状況です。
そうした上で、こういった組織をきちっと立ち上げてはどうかという御提案ということだと思いますけれども、まずはこういった動きを、広がりにつながっていけばいいなというふうに私どもは思っておりますのと、できますれば、そういった組織が自発的にといいますか、民間主導でといいますか、そういった形ででき上がってくるのが最も望ましい形ではないかなと、そんなふうに感じております。

【星野和彦 議員】
何でも官のほうから言ってというのでなくて、望ましいのは確かに民間のほうから声が上がって、それでそういう協議会をつくっていこうというのが一番望ましいかと思います。
しかしながら、なかなか、高齢化率が上がって、じゃあ逆の立場で考えますと、65歳を超えて手を挙げられやすいかというと、なかなか市民の皆さんも挙げづらくなってきてると思うんですね。
これは毎年状況は悪くなってきてるんで、これは鶏が先か卵が先かという議論にもなりかねませんけども、やはり私どもも市民の皆さんの意見をまとめていく役割もあるかと思いますが、市のほうでもそのあたりで、まずは対策、この協議会に向けて動いて頂きたいなというふうに思います。
色々と今日も時間いっぱい質問を致しましたけども、最後にまたちょっとお話をさせていただきます。
昨年の一般質問においても申し上げましたが、本日3月7日は丹後震災の日で、今から90年前に、丹後地方にかかわらず京阪神まで甚大な被害をもたらしました。
冒頭に述べた戦前の物理学者、寺田寅彦は、95年前に起きた関東大震災に際して友人に宛てた手紙の中で以下の通り記しています。
「調査の必要から、昔の徳川時代の大震火災の記録を調べているが、今度我々がなめたのと同じような経験を昔の人がとうになめ尽くしている。それを忘却してしまって勝手なまねをしていたためにこんなことになったと思う」と。
これは、江戸時代のほうが町火消しの体制など機能し、自然を畏怖していたことを代弁していると言われています。
地球温暖化の影響で豪雪になるサイクルが延び、過去の宮津市議会における一般質問においても大雪の年は真剣な質問と答弁が繰り広げられますが、時間がたつと雪対策が議題に上がることは少なくなります。
これは至極当たり前のことではありますが、定期的にやってくる豪雪に対して、本来、一般財源と道路づくりに充てる社会資本整備交付金を財源とする補助金を雪対策に使用せざるを得ないこと、また、市民税が約25億円の宮津市にとって、宮津小学校の校舎改築等、今後、大規模な行政財産の更新を控え、財政事情の悪化が懸念されます。
宮津市は観光都市であって、雪が積んであるところを観光客の方が見られます。
全国の成功事例を模索し、英知をもって官民が協働する手法と資金調達の手段を真摯に模索しながら、自からの生命と財産を守る行政と市民の体制を構築されることを祈念して、私の質問を終わります。

【2017年6月 定例会】
※動画:https://www.youtube.com/watch?v=jhGXyuiqXls&t=664s

 

 

 

 

 

 

〇由良地区の歴史伝承を活用した観光施策の強化
山椒大夫伝説に登場する身代わり地蔵は、奈良国立博物館の快慶展に現在出品中で、優秀な近代医学者を育んだ新宮凉庭等、由良の豊富な歴史伝承を活用した観光施策の強化を提案する。

【星野和彦 議員】
星野和彦です。
通告に従い一問一答方式で、由良地区の歴史伝承を活用した観光施策の強化について質問致します。
先ず「観光」の語源は、古代中国の「易経」に記された「国の光を観るは、もって王の賓たるに利し」とあり、本来の意味は、他国の制度や文物を視察することだと言われます。
また、観光の「観」という文字には示すという意味もあり、外国の要人に国の光を誇らかに示すことも含まれています。
日本三景・天橋立を擁する宮津市の観光人口は近年260万人前後で推移していましたが、一昨年に京都縦貫道が全線開通し、インバウンド効果と相乗して前年度、約290万人になりました。
昨年6月には、京都府北部地域のブランド観光地域づくりに向け、京都府と北部7市町で海の京都DMOが設立され、周辺地域との連携が進捗しています。
今週日曜日の夕方、地元出身者と関係者の皆さんのご尽力を賜り、BSフジの「日曜ぶらり紀行 全国百線鉄道の旅2時間SP 海の京都へ」という番組が放送され、京都丹後鉄道と舞鶴から豊岡までの沿線の魅力を遺憾なく発揮した番組だと方々から高い評価を得たようです。
海の京都は、周辺地域の連携と物語のストーリー性や、舞鶴市が横須賀、呉、佐世保と軍港で実践している広域連携などの幅広い観光資源を活用し、観光客が何度も滞在できる国際競争力の高い観光地域づくりを促進することで、更なる発展が見込まれると思料されます。
上述の海の京都構想の具現化に当たり、今般質問する由良の歴史伝承は眠れる観光資源と言っても過言ではなく、バラエティーに富んだ可能性を秘めています。
昨年、股のぞき効果に関する研究でイグノーベル賞を受賞された立命館大学の東山篤規教授が宮津で講演頂いた折に指摘された情報発信力の重要性も念頭に、これより質問します。
先ず1点目で、北前船を活用した広域連携観光施策について伺います。
北前船は、江戸時代中期から明治時代初期に北海道と大阪を日本海と瀬戸内海で結び、西国の米、塩、酒などを北国で売り、北海道や東北の昆布やニシンなどを瀬戸内海諸島や大阪で売った定期航路です。
主に近江商人や北陸の商人が船主で、宮津市の和貴宮神社にも加賀の国、今の石川県金沢市の銭屋五兵衛が船の安全を祈願した石柱があり、由良の神社には沢山の絵馬が残り、当時の隆盛振りを垣間見ることができます。
明治時代中期以降、北前船は汽船による太平洋航路と鉄道網の発達によって衰えました。2006年に日本海側寄港地の連携、地域間交流による活性化を目的として東北で始まった北前船寄港地フォーラムは、現在、民間レベルで開催される国内最大級のフォーラムとして認められています。
宮津市も2013年に北前船まちづくり委員会を設立し、翌年に北前船寄港地フォーラムの会場を務めました。
先ず北前船を活用した広域連合観光施策の概況と今後の方向性についてお尋ねします。

【安東直紀 理事兼企画部長】
北前船を活用した広域連携については、平成28年6月に発足した宮津市を含む26の北前船寄港地の自治体が加盟する北前寄港地日本遺産登録推進協議会、これを通じて取り組んでいるところです。
日本遺産認定については、まず第1陣として、北海道から福井県までの日本海側11自治体が先行して文化庁に申請を行い、本年4月28日には「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」と題し、日本遺産認定されました。
宮津市においては、追加認定を目指す他の自治体及びその他の有力な寄港地と連携、協力し、来年度の追加認定を目指して取り組んでまいります。
また、認定後は、北前船に係る広域の周遊ルートの作成や国内外へのプロモーションなどを通じ、日本遺産登録自治体で連携して広域的な観光振興を図ってまいります。

【星野和彦 議員】
この北前船寄港地フォーラムは、東京を除く各寄港地がつながるとても有意義な広域連携で、今後、参加市町の増加と重要度が増す可能性があるかと思料されます。
将来、この宮津市が他市町と差別化して優位な立場に立つ戦略と戦術があれば、お尋ねします。

【安東直紀 理事兼企画部長】
北前船寄港地の日本遺産は、全国に点在する北前船の歴史文化の遺産を一つのストーリーで結び、広域での観光振興につなげていく取り組みです。
さきにも述べましたとおり、現在、宮津市においては追加認定を目指して活動を進めているところです。
統一的なストーリーが認定される他の日本遺産とは異なり、北前船寄港地の特徴は、北前船でつながる各寄港地がそれぞれ独自の特色を持っていることであり、来訪されるお客様に各寄港地の遺産をどのように見ていただくかが重要となります。
現在、北前船まちづくり委員会を中心に宮津市における北前船文化を生かしたまちづくりに向けて取り組みを進めているところです。
特に今年度から委員会の強化を図り、委員会の中に文化部会、観光部会、日本遺産特別部会の3つの部会を設置し、北前船文化をどう伝えるか、どうめぐっていただくかなど、日本遺産登録後を見据え、活動を始めたところです。
まずは、どこで何を伝えていくか、日本遺産登録の動きと並行して地道な活動から始めていくことが大切であると考えています。
認定後は、北前船に係る広域の周遊ルートの作成や国内外へのプロモーションなどを通じて、登録自治体で連携して広域的な観光振興を図ってまいります。

【星野和彦 議員】
了解しました。
これまだ始まって間もなくて、数値的な結果だとかということはまだ出てこないということだと思いますけども、非常に可能性を秘めたプロジェクトだと思いますので、ぜひ注力して頂き、頑張って頂きたいというふうに思います。
眠れる観光資源の現況と活用について今回問うわけですけども、由良地区の中で5つの歴史・伝承をこれから伺います。
先ず1点目です。
「山椒太夫」「安寿と厨子王」の伝説についてお話をします。
「山椒太夫」は、明治時代の文豪、森鴎外が中世から伝わる芸能、説経節の中で代表的な5曲をまとめた「五説経」の演目「三荘太夫」ですね、これ「さんせいだゆう」と言いますけども、を原作として執筆し、今から102年前の1915年に「中央公論」に掲載されました。
その説経節とは、中世、すなわち鎌倉時代と室町時代の頃から江戸時代に流行した神様や仏様に由来する話を語りながら放浪する大道芸で、三味線の伴奏と操り人形を使い芝居小屋で上演され、庶民の娯楽として当時大変な人気を博しました。
次に「山椒太夫」の粗筋を申し上げます。
平安時代に末期、陸奥の国、これは現在の福島県いわき市の役人、平正氏は、上役の罪に連座して、筑紫の国、これは現在の福岡県です、こちらへ左遷されました。
妻と安寿・厨子王の幼い兄弟は父に会いに行く途中、越後の国、これは現在の新潟県上越市です、ここで当時横行した人買いに騙され、親子が離れ離れとなり、安寿と厨子王は丹後の領主、山椒太夫に売られ、奴隷として酷使されました。
月日が流れて成長した安寿と厨子王は、荘園から脱走し、途中で安寿は命を落としますが、厨子王は京の都へたどり着き、時の関白・藤原師実に認められ、丹後の国司として赴任、丹後一帯での人買いを禁止し、山椒太夫は奴隷を解放して労働者として雇い直しました。
その後、越後の国で生き別れた母が佐渡の国、これは現在の新潟県佐渡市です、こちらにいると聞きつけた厨子王は佐渡に向かい、年老いた母親に再会してハッピーエンドとなります。
「本当は恐ろしいグリム童話」という本が約20年前にミリオンセラーとなりましたが、前述の粗筋は森鴎外の小説で、原作の説経節においては、安寿の拷問や山椒太夫が処刑される場面など残酷な場面が多数あります。
「山椒太夫」は、その後、1954年に映画が制作され、田中絹代さん、香川京子さん、津川雅彦さんらが出演し、カンヌ、ベルリンと並ぶ世界三大映画祭の一つで世界最古の歴史を持つ映画祭イタリアのヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を獲得しました。
因みに、ヴェネツィア国際映画祭では、以下の日本作品が金獅子賞を受賞しています。
1951年の黒澤明 監督で三船敏郎さんが主演した「羅生門」、1958年の稲垣浩 監督で三國連太郎さんが主演した「無法松の一生」、2005年には、優れた業績を表彰する「金獅子賞」が宮崎駿 監督に贈られました。
「山椒太夫」に纏わる映画とテレビ放送等を調べますと、1961年、東映アニメ映画「安寿と厨子王丸」で佐久間良子さんらが声優を務め、1976年、NHK少年ドラマシリーズで3日間にわたり放送された「安寿と厨子王」で池上季実子さんらが演じた後、現代の推理ドラマを除き映画化、映像化されることはありません。
しかし、演劇界においては、大阪の国立文楽劇場で上演される歌舞伎の「本朝廿四孝」において「由良湊千軒長者」として度々登場し、また、東京では、前進座「朗読サロンひととき」や、本年3月に劇団ひまわりが説経節オリジナルの「山椒太夫」を上演している通り、老若男女を問わず人間の本性、日本人の感性・魂・美意識の全てが結集され、日本文化とその高い精神性が脈々と受け継がれています。
少々前置きが長くなりましたが、由良地区には「山椒太夫」伝説に纏わる首挽松(くびひきまつ)、汐汲み浜(しおくみはま)、如意寺(にょいでら)の身代わり地蔵、これは正式には地蔵菩薩坐像です、それから山椒太夫屋敷跡などの名所が点在しています。
各名所を車やタクシーでめぐる観光客を見かけることもありますが、歩いたり、近年急激に増加しているノルディックウオーキングによる観光の可能性もあります。
観光マップ、ルート板、説明板などの現在の整備状況は如何でしょうか。

【安東直紀 理事兼企画部長】
現在、汐汲み浜や如意寺の身代わり地蔵などを記した観光マップは2種類あり、観光案内看板については、地元実業会が設置されたものが安寿の里もみじ公園内と丹後由良駅に1つずつあります。
また、丹後由良駅には、昨年度、市が地元と調整し、観光案内看板1カ所と駅前の道路に誘導看板3カ所を設置しました。
そのほか、地域の由良の歴史を探る会などが主体となって設置された史跡等の案内看板が複数あります。

【星野和彦 議員】
今回の、私はあえて名所という言い方をしたんですけども、史跡であれば教育委員会のほうで看板を立てて頂いたりすることはできるかというふうに伺っておるんですけども、あくまでもこれ伝承なんで、史跡には当たらないんだということで、地元の方が看板を据えて説明書きをつくっていらっしゃるという状況が続いております。
ただし、地元の方も高齢化が進みまして、ちょっと今回の大雪で、看板が傾いたりしておるんですけど、なかなか直すことも難しくなってます。
あるいは特にこの「身代わり地蔵」の説明書きは、木に書いてあるもんですから、はげあがったりしている状況なんです。
このあたりの補強を観点に市のほうからサポートすることは可能でしょうか。

【安東直紀 理事兼企画部長】
一般論として申し上げますが、地元で設置されて管理されている案内板等につきましては、修繕等、必要という場合には、地域振興につなげるという趣旨で、まちづくり補助金の制度を活用いただきまして整備と活用の両面で検討いただければというふうに思います。

【星野和彦 議員】
分かりました。
なるべく、この「山椒太夫」という、伝説ではあるんですけども、今でも東京、大阪で上演されている通り、こういったものをもう一度見直してみるということもして頂きたいと思います。
次に、市内には天平の道、ガラシャの道などの歴史に纏わる道があります。
平成8年、これは1996年ですけども、文化庁が選定する歴史の道百選の49番に大江山を越える宮津街道が指定されました。
由良地区には、いわゆる安寿の汐汲み道と伝わる市道ですね、これ宮津市の道ですけども、こちらがあります。
歴史・伝承にまつわる道に関する観光戦術の状況をお尋ねします。

【安東直紀 理事兼企画部長】
先ほど来、議員からも御紹介いただいておりますけども、由良地区は安寿と厨子王の逸話や北前船など独特の歴史や文化に包まれた魅力あふれる地域であり、地域の皆様が中心となって北前船資料館や足湯、丹後由良駅に説明看板を設置するなど、これまでから取り組まれてきたところです。
歩く観光というキーワードをいただきましたけども、観光ガイドの育成や観光資源を磨き上げる活動など、地元の主体的な取り組みが盛り上がっていくことが重要であると考えています。

【星野和彦 議員】
理想としては、地元のほうからどんどんもっとPRをしましょうということが一番理想ではあるんですけども、高齢化比率が由良のほうも随分進んでまして、今、歴史を探る会の皆さんも高齢化が進んでて、次の世代ですね、特に私らみたいに50代の人間とか、このあたりの継承する人間が段々いなくなってきてます。
これ由良に限らず、市全体の中で文化協会とか色んな団体があるんですけども、要するに我々の前後の世代というのがなくて、リタイアした方が何とかやっておるという状況が続いてるんで、これから「山椒太夫」のお話もそうなんですけども、次の世代を何とかつくる意味でも、看板も一つなんですけども、市のほうで少しずつサポートするようなことを考えて頂きたいと思います。
3点目ですけども、「山椒太夫」ゆかりの地として、前述の粗筋の中でも申し上げた安寿と厨子王の家族が住んでいたという福島県いわき市、あるいは人買いにだまされて親子が離れ離れになったと伝わる新潟県上越市、厨子王が京の都に上り、助けを求めた京都市下京区の権現寺などは、各々安寿と厨子王の石碑等を立て、観光の一環としています。
この「山椒太夫」ゆかりの地との広域連携に関して今後検討される余地があるか、お尋ねします。

【安東直紀 理事兼企画部長】
安寿と厨子王のお話は、先ほど来、議員からも御紹介ありますけども、森鴎外の小説などによって広く知られ、由良地区を含め、そのゆかりを説かれる自治体は多数あるということです。
広域連携の段階としましては、ゆかりの地同士の住民の交流から観光振興まで幾つかの段階があると考えます。
このストーリーを観光に係る広域連携にまでつなげるには、まずそれぞれの自治体、地域においてその機運を高めていただき、このストーリーを生かした地域づくり、観光まちづくりを主体的に取り組んでいただくことが必要であると考えます。

【星野和彦 議員】
由良という地名は、これは全国、白浜にもありますけども、東北のほうにもあって、由良の繋がりで連携をされておるということは聞いております。
先ほど申し上げた通り、高齢化が進んで、我々世代なんですよね。その人たちがもう少し出てくれれば一番いいんですけども、それが出てこないという状況で、先程から幾つか質問しておりますけども、行き着くところは次の世代にこういった看板をつくる人あるいはこうやって連携していこうという人たちをつくっていかないと、一回これ歴史というのは明かりと一緒で途切れると、なかなか繋がらないんですよ。
ですから今、非常にこれまずい状態だなと思って見ておるんですけども、そのあたり今後検討して頂きたいというふうに思います。
この安寿と厨子王についてですけども、由良川を遡ると、舞鶴市には京の都に上る厨子王と追手を引きつける安寿が別れた和江の国分寺跡、安寿が逃げる途中で倒れたかつえ坂と安寿を地元の人が葬ったと伝わる安寿姫塚があります。
殊に安寿の命日と言われる7月14日前後の土曜日に毎年行われる安寿姫塚キャンドルイルミネーションの夜祭りは活気を呈しています。
宮津市と舞鶴市にまたがる「山椒太夫」伝説にまつわる名所の連携状況と今後の振興を図る見込みをお尋ねします。

【安東直紀 理事兼企画部長】
現在、舞鶴市の名所との連携につきましては、地元を含め、行政間で連携を行っているという事実はございません。

【星野和彦 議員】
先程の由良のマップを見てたんですけども、これ由良だけの例えば「山椒太夫」に関しては、地名が載ってるんですよ、名所がですね。
舞鶴側に行くと、和江の国分寺跡とか安寿姫塚が出てこないんですよ。
私もちょっと由良をうろうろした時に、これがあればいいなと思うんですけども、舞鶴の観光の方に聞きますと、舞鶴に来られた方でタクシーに乗ったら、タクシーの運転手さんもよく知ってて全部コースを回られると。
行政はあれだけど、知ってるタクシーなんかはすぐ回りますと。
ただし、これ自分で回るとなると途切れてしまうんですね。
折角の観光の遺産でありながら、なかなかそこが繋がらないと、行政区が違うからということで。舞鶴のほうと宮津市と一緒にやりませんかというお話をしました。
そしたら、先ずは、この安寿姫塚のキャンドルイルミネーションなんかは地元の方がやってらっしゃいますというところで、どんどんご紹介もしますというふうに言って頂いているんで、今、由良の方も高齢化が進んでおりますけども、そちらと一緒に一つにこれ安寿と厨子王という名所繋がりというのをすれば、また大きな観光が生まれてくるかと思うので、その辺も市としてバックアップして頂きたいというふうに思います。
あと、現在、宮津市が主導して進んでいる宮津オリーブがあります。
これは、由良オリーブを育てる会の皆さんの日々弛まぬ努力で進行し、今年で幸い4年目を迎えます。
御高承のとおり、昨年3月、宮津市はイタリアの日伊文化交流協会と連携協定を結び、苗木の輸入手配や栽培体制についてアドバイスを受け、本場の品質を目指していますが、前述の通り、映画「山椒太夫」は約60年前にイタリアのヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞しました。
この「山椒太夫」を活用したオリーブの商品開発やPRの施策を検討されるか、お尋ねします。

【松崎正樹 産業経済部長】
オリーブに関しての御質問をいただきましたので、私のほうから回答をさせていただきます。
「山椒太夫」を利用した宮津オリーブとの商品開発やPR等への活用見込みについてですが、現在取り組んでいますオリーブにつきましては、市内各地に広げていくことも念頭に、日伊文化交流協会や由良オリーブを育てる会との協議におきまして、京都宮津オリーブを前面に打ち出して取り組んでいるところでございます。

【星野和彦 議員】
イタリアの方にわざわざ来て頂いて、しかも文化交流が本来のお仕事だということで、このイタリアの方ってすごく映画が好きな方が多いです。
地元の方っていうのはやっぱり非常に関心も高いんで、そのあたりを是非活用するのも一つ視野に入れて動いて頂きたいと思います。
昨年、私は行政視察で訪問したんですけども、広島県の江田島市はオリーブ栽培に注力しております。
昨年行われた広島の駅伝大会から入賞者に江田島のオリーブの冠を提供することを始めました。
昨年12月の私の一般質問でも触れましたが、由良のオリーブを宮津市内と京都市内で行われるマラソン等の大会入賞者に冠に使用すべくワークして、オリーブと地元観光のPRに活用する質問のその後の進捗状況は如何でしょうか。

【松崎正樹 産業経済部長】
本市で栽培したオリーブの葉を使用した冠でマラソン大会等、各大会で使っていただくことにつきましては、本市のオリーブを知っていただく機会の一つになると考えておりますが、まずはオリーブのまち宮津の実現に向けまして、目標の植樹1万本の達成を最優先に取り組んでまいりたいと考えております。

【星野和彦 議員】
1万本に向けてというのは何度も聞いておりますけども、私の聞いているのは、質問の中で一応検討するというふうになってたと思うんですけども、端的に言いますと、余りこちらのほうは動いてないと解したほうがよろしいですか。

【松崎正樹 産業経済部長】
現状では動いていないということでございますが、やはりこの植樹の本数との進捗度合いを見て、そういうPRのほうのところは考えていくべきというふうに考えております。

【星野和彦 議員】
市のほうも職員の数が減ってなかなか人手が足りないというところもあるんで、我々も手伝えるところは手伝いながら、微力ではありますけども、何とかしたいと思っております。
ちょっと今回、京都府の場合というのは、全国女子駅伝とか高校駅伝とか、こういうものが非常にたくさん行われます。
それに関する、じゃあ、アプローチをして労する時間、そんなにかかるものとは思えないんですよね。
ただ、そのソフト部分も懸案事項で、前回の質問の時にも言いましたけど、商標権の登録からその辺をやっておかないと、何度も脅すようですけども、中国の人にとられる可能性もあります。
ですからソフト部分も、やっぱり、目に見えるハード部分というのも大切ですけども、ソフト、ハード両面を進めていくというふうにして頂きたいと思います。
2点目の由良の観光資源として、如意寺にある地蔵菩薩坐像について伺います。
地蔵菩薩坐像は、「山椒太夫」伝説の中で、安寿と厨子王が荘園から脱走を図るも見つかり、焼け火箸を当てられましたが、一夜明けると2人の傷は癒え、この像に焼け跡があったという伝承を持つことから身代わり地蔵と呼ばれ、長年、地元の皆さんはもとより遠方からも、災いやお産など事あるごとに身代わり地蔵に参拝するならわしがあります。
地蔵菩薩坐像は、運慶とともに鎌倉時代を代表する武士、快慶の作品で、本年4月から6月4日まで開催された奈良国立博物館の特別展「快慶 日本人を魅了した仏のかたち」に展示されましたが、地蔵菩薩坐像が京都府の指定文化財であるためか、宮津で余り周知されていないように感じました。
市民の皆さんへの周知状況と今後の観光における活用方法をお尋ねします。

【安東直紀 理事兼企画部長】
議員お触れのとおり、由良、如意寺の地蔵菩薩坐像が去る6月4日まで開催されていた奈良国立博物館の快慶の特別展に出陳され、多くの方にごらんいただきました。
議員からも御説明ありましたが、この像は、京都府指定文化財に指定されておりまして、市内に所在する鎌倉期の貴重な仏像彫刻として研究者の間で認知されているものとのことです。
また、この像の観光における市民周知と活用方法ということですが、前述のとおり貴重な文化財であり、かつ由良の地域住民の信仰の対象として長く大切にしてこられた地域の宝であることから、まずは地域の皆様のお考えを聞くことが何より大切だと考えております。

【星野和彦 議員】
非常に宮津の中でも随分古い像で、盗難なんかに遭うと大変なことになりますけども、私が聞く限りは、これ地元の皆さん、あれ出てたのというので正直驚かれた部分もあって、やっぱり周知がなされてないんですね。
パンフレットなんかを見ますと、京都・如意寺になってるんです。
だから由良の如意寺というふうにはなかなか出ないんで、やっぱりそこら辺のPRはして欲しいという生の声も伺いました。
本当に皆さんお忙しいと思いますけど、その辺も耳を傾けて頂きたい部分と、それから宮津市が出ていって国立博物館に出してくれと言う訳にはいかないんですけども、インターネットで出ますんで、その辺にもちょっとアンテナを張りめぐらせて、少なくとも地元のやつが出るときは市のほうで少し把握して頂きたいと要望致します。
次は、3点目の由良の観光資源として、小倉百人一首の第46番で平安時代中期の歌人、曽禰好忠が詠んだ「由良の門を渡る舟人かぢをたえ ゆくへも知らぬ恋の道かな」という和歌があります。
現代語訳しますと、「由良の海峡を渡っていく船人がかいをなくしてどうすることもできず行く先もわからないで漂うように、これからの私の恋の行く末もわからないと」いうふうになります。
この江戸時代後期の歌人で上賀茂神社の祠官、賀茂季鷹という人がいまして、この和歌が、汐汲み浜の近くにある岩穴稲荷神社のあたりで詠まれたと推測して、ここに現在の歌碑を残しています。
この歌碑に関する観光マップ、ルート板、説明板等の整備状況は如何でしょうか。

【安東直紀 理事兼企画部長】
森鴎外文学碑が由良脇公園敷地内に設置されておりますけれども、同じ由良脇公園内に地元の方が設置された歌碑があります。
しかしながら、この歌碑に関する説明板は現在整備されていないという状況です。
また、さきの答弁でも御説明しましたが、丹後由良駅前に地元と調整し市が設置した観光案内看板に歌碑の場所は掲示しております。

【星野和彦 議員】
この歌碑に関しては、史跡に当たるのかなという部分もあって、ちょっと説明のほうもぜひ教育委員会のほうでご検討頂きたいと思います。
それから、この小倉百人一首といいますと、第60番に和泉式部の娘で小式部の内侍が詠んだ有名な「大江山いく野の道の遠ければ、まだふみもみず天橋立」というものがあります。
百人一首には宮津を題材にした作品が2首も選ばれていますね。
これを活用した百人一首大会の開催とか、そういったPRあるいは今後検討の見込みがあるか、お尋ねします。

【安東直紀 理事兼企画部長】
議員お触れのとおり、小倉百人一首には現宮津市域にかかわるものとして由良と天橋立の2首が入っております。
これは宮津の文化的な歴史の豊かさを証明するものだと思っています。
百人一首の大会については、まずはその機運が市民全体で共有され、高めていただくことが大切であると考えています。

【星野和彦 議員】
何か先ほどから聞いてると、まずは市民のほうからということで、まさにそうなんですよね。
ですが、いずれの質問に対しても、まず市民のほうからっていうんですが、そこの人がいないというのがなかなか辛いところで、そこの育てることというのを少しちょっと念頭に今後して頂きたいなという要望を致します。
4点目の由良の観光資源として、江戸時代の後期で長崎の出島においてオランダ医学を学んだ蘭方医で後の明治時代に京都府立医科大学を設立する優秀な医学者を育んだ新宮凉庭についてお話をします。
新宮凉庭は、天明7年、西暦1787年に由良で生まれ、今年は生誕230年になります。
幼い頃から記憶力に優れた秀才で、地元の松源寺で学んだ頃のエピソードとして、深夜に光が漏れて叱られないようにと線香をともして勉学し、雨の日も傘を差しながら読書を怠らなかったと伝わります。
また、本を読んでいて鼻水が出たので、本のページを破いて鼻をかんだところを先生に注意されましたが、覚えてしまえば反故と同じであると反論して、先生が確かめたところ、一行一句間違わずに諳んじたそうです。
因みに、松源寺にある忠魂碑は日露戦争の日本海海戦で指揮をとった東郷平八郎の揮毫で、その傍らには、昔、疫病が流行った折、住職が病の妖怪を封じたと伝わる石が残っております。
新宮凉庭は、16歳で福知山藩の江戸藩邸に詰め、18歳の時に由良で漢方医として開業し、昼夜を問わず寝食を顧みずに治療に当たったと言われます。
そして21歳で西洋医学を学ぶことを決心し、長崎出島の商館医として働き、31歳で由良に戻った翌年、京都で開業し、名医の誉れ高く、多くの弟子も育て、冒頭で申し上げた通り、新宮凉庭の門弟は後に寮病院から京都府立医科大学へ発展する京都医学研究会を設立し、近代医学に貢献しました。
また、新宮凉庭は経済的にも成功し、52歳で医学学校と文化サロンを兼ねた順正書院を南禅寺の隣に建て、大名諸侯や文人墨客らが集い、理財家として盛岡藩と越前藩の財政を立て直し、故郷の田辺藩には融資を行い、経済書も著し、日米和親条約が結ばれた嘉永7年、西暦1854年に68歳で亡くなるまで、当時の日本の医療、政治、経済において多大な影響を与えました。
尚、順正書院は、瓦屋根に檜皮を配したつくりで、後に国の有形文化財に登録され、現在、南禅寺ゆどうふ順正として賑わいっています。
また、新宮凉庭の由良にある実家は、膨大な書物とともに現在も御子孫の方がしっかり守られています。
因みに、先ほど越前藩の財政を立て直したと申し上げましたけども、これ司馬遼太郎の小説も出てくるんですけども、越前藩というのは後の明治維新の後の明治政府の財政を支えた由利公正、当時は三岡八郎と言っておりますけども、小説にもよく出てくる方ですが、この方とも親交があります。
ですから、もしもこのときこの新宮凉庭がいなかったら越前藩の財政が立て直せなかったかもしれない、歴史が変わったかもしれないというぐらい彼は貢献をしております。
説明がまた長くなりましたけども、舞鶴のメディカルセンターには新宮凉庭の銅像と説明書きがあり、舞鶴市民の皆さんには新宮凉庭という偉人の功績が周知されています。
宮津市民の皆さんへの周知状況と、新宮凉庭が幼少期に学んだ松源寺での逸話等を観光に活用する見込みについてお尋ねします。
【永濱敏之 教育次長】
新宮凉庭の宮津市民への周知状況等でございます。
議員もお触れになりましたが、新宮凉庭は由良出身の江戸時代の医学者でございまして、由良神社の境内には日本医師会によります立派な顕彰碑も立てられております。日本の医学の発展にも大きな業績を残された方というふうに理解をしております。
また、かつて周知の一つとして、丹後資料館の企画展示として、平成7年であったかと思いますが、新宮凉庭とその業績について扱われたこともございます。
郷土出身の偉人の一人として周知を図られる機会もございましたが、宮津市民全部というと、市民の間でその存在が広く知られている状況ではないというふうに理解をしております。

【星野和彦 議員】
今後については如何ですか。

【永濱敏之 教育次長】
地域の方への周知ということでは、昨年11月にも公民館だよりで新宮凉庭の御子息の方が一文を書かれて、地域の方に地域の偉人として誇りを持っておられるというふうに考えております。
ただ、観光振興という観点で申しますれば、例えば、議員が先ほど来から言っておられますマップをつくったり、いろんな説明板をしたりしても、形が残ったこの方の業績という分では、なかなか見ただけで観光資源としては伝わりにくいというのが実態ではないかなと思います。
ですので、先ほど公民館だよりにもこの方の業績が載ったということなんですが、そういった公民館活動でも生涯学習活動でも、地域の方がこの方の功績をそれを語り部として周知されて、今までから企画の理事が言っておりますが、地域の方が盛り上がりを見せて、それがひいては観光振興につながる、どなたが来ても、この地域にはこういう方がおられてこういう業績があるんだよというようなことが観光客の方に伝えれるような体制づくりがあるというのが前提になるのかなというふうに考えております。

【星野和彦 議員】
私も、ちょっと今回、由良のほうの自治会のほうで直近の数年分の由良の会報誌も見させていただきました。
非常によくできた資料です。
教育委員会のほうでも保管されておるかと思うんですけども、特に漫画家で由良ご出身の方で、あるいはデザイナーの方もいらっしゃったり、そういう方が非常に分かりやすく新宮凉庭を紹介してます。
これが由良だけで留まるんじゃなくて、私が言いたいのは、宮津全体でもう少し広めてほしいなというふうに思っておるんですよ。
ですから「広報みやづ」なんかでどんどんこんな人の、非常に凄い人がいるんだと、特に医学を目指す人なんかにとったら、新宮凉庭の、またご子息の方というのは、色々教えて頂いたんですけど、非常に医療関係に、当時はお子さんも多かったんですけども、全国の医療関係に優秀な方が貢献されてます。
ですから新宮さんというお医者さんを見た時というのは、私は、もしかしたらというぐらいに医療では非常に遺伝している家系なのかなと。
ですから、ぜひ由良だけに留めるんじゃなくて、まずは宮津市内で周知頂きたいと思います。
次は5点目、これ最後になりますけど、由良の観光資源として明治時代に澤井組という会社を創業して、台湾を拠点に南満州鉄道や台湾総督府官舎などの土木事業を請け負い、大立て者になっても遠方から故郷の由良に多額の寄附を行った澤井市造を上げます。
汐汲み浜の公園にある森鴎外の文学碑の隣に澤井市造の石碑が立っています。
澤井市造は、前述の新宮凉庭が亡くなる4年前の嘉3年、1850年に由良で生まれ、子供の頃は数々の武勇伝を残す餓鬼大将でしたが、15歳で北前船に乗り、各地を点々としている内に北海道で難破し、命からがら陸まで泳ぎ着き、友人の家に身を寄せていた時、北海道で鉄道工夫となりました。
その後、工夫を束ねる役に就き、44歳の頃、小樽の埋め立て工事中に冬の大しけで堤防が崩れ、雪の舞う海に飛び込んで、部下を指揮して自費で復旧工事を施しました。
これが認められ、部下、約90名を連れて大阪に上り、今の関西本線となる大阪鉄道や山陽鉄道など、明治時代の鉄道建設ラッシュに乗って全国の工事を受注しました。
この間、長州藩出身で今も日本の鉄道の父と崇められる井上勝と親交を深め、大阪から台湾に本拠地を移し、台湾総督府官舎や台北消防署、中国の南満州鉄道の建設と台北鉄道の経営などに携わる傍ら、台北で大相撲の巡行などの娯楽興行を催しました。
そして、故郷を遠く離れても澤井市造は決して由良への思いを忘れず、郷里へ納税するため、澤井組の登記上の本社は由良に置き、由良小学校の敷地拡張の土地や由良神社の鳥居の寄附を行いました。
殊に日露戦争の折には、全国各地で戦時国債を負担する義務がありましたが、由良の3千円、現在の貨幣価値に換算して凡そ75百万円を引き受けました。
この由良の汐汲み浜に立つ澤井市造の石像は、太平洋戦争の金属供出までは立派な銅像でしたが、戦後、澤井市造の恩を忘れない由良の皆さんの手で石像として再建されました。
しかし、その傷みは激しく、修復の必要があると感じます。
市の公共財産ではありませんが、何か修復を進める手段をお尋ねします。

【安東直紀 理事兼企画部長】
議員の御説明にもありましたが、当該胸像は、かつての由良村での功績をたたえ地元で建設され、現在も管理されている石像だと認識しています。
したがって、修繕につきましては、先ほど冒頭でもお答えしましたけども、地域振興につなげていく趣旨でまちづくり補助金の制度を活用していただき、整備と活用の両面で御検討いただければというふうに思います。

【星野和彦 議員】
先程のまちづくりのお金とか、その辺を利用しながら修理を進めていって頂きたいと、私も思います。
この澤井市造になるんですけども、隣の京丹後市には、間人出身で今の南海電鉄、大阪毎日新聞、明治生命、東洋紡等、名立たる会社41社の創立にかかわった明治時代の起業家で東京の渋沢栄一と並び大阪経済を牽引した松本重太郎がいます。
京丹後市では、2013年に没後100年を記念した地元間人でのシンポジウムを開催し、2015年には松本重太郎顕彰プロジェクトとして大阪で関西経済交流シンポジウムを開催し、私鉄4社の社長経験者や役員などの関西財界人との交流会を催しました。
宮津市民の皆さんへ澤井市造を周知する手段と、ふるさと納税の推進に役立てれるんじゃないかと思いまして、その手法があれば、お尋ねいたします。

【安東直紀 理事兼企画部長】
先ほども申しましたまちづくり補助金ですけども、現在、ふるさと宮津応援寄附において、使途として、市民によるまちづくりのためにを選択された寄附金から繰り入れを行い、運営を行っております。
今後も宮津市を応援していただけるような工夫について検討を行ってまいります。
澤井市造氏の市民への周知につきましても、また広報等でお知らせできると思いますので、それについても検討をしてまいります。

【星野和彦 議員】
ぜひ平成の澤井市造が出てきてくれれば、この今、苦しい宮津の財政も助かりますね。
午前中質問された議員もいらっしゃいましたけど、今非常に厳しい状況の中で、宮津出身者の方のお力を何とか借りられるように澤井市造さんの名前を使わせて頂けたらと切に思います。
今般、主にこの5つの眠れる由良の観光資源についてお尋ねしました。
他にも「日本経済新聞プラス1 何でもランキング」で、昨年9月には鉄道橋ランキング5位に輝いた由良川橋梁もあります。
由良の橋梁を渡る丹鉄の車両を写真に収めるため、全国から鉄道ファンが集まりますが、何かしらこの澤井市造の思いが鉄道ファンを引きつけるのかもしれません。
最後に、由良の鉄橋と澤井市造を繋ぐことが新たな観光になる可能性を秘めていることもお伝えして、次の質問に移ります。
昨年3月議会の一般質問において、神奈川県鎌倉市のように、観光マップ、ルート板、説明板等の設置にクラウドファンディングを活用して経費削減と観光ファン獲得を図る手法の提案を致しましたが、その後の検討状況をお尋ねします。

【安東直紀 理事兼企画部長】
クラウドファンディングの導入については、平成27年度に実施しました観光案内看板整備事業の決算質疑において議員から関連した御質問をいただき、私のほうから、導入のメリット、デメリットなど観光案内看板に限らない事業の財源確保の手法として引き続き研究をしていきますと答弁いたしました。
宮津市におきましては、ふるさと納税で昨年度は1億円を超える御寄附をいただいたという実績もあります。
その役割分担等も含めて引き続き研究をしていきますので、御理解くださいますようお願いいたします。

【星野和彦 議員】
クラウドファンディングについては、議員になった早々の時に市長に随分動いて頂ききましたですけども、桜山の土砂崩れの時にどうしても、あれ無人の神社だったんで、その土地の所有者が土地の測量費を負担しなきゃいけないということになりまして、当時その神社を管理してます桜山の本庄神社になりますけども、これ無人なもんですから和貴宮神社の禰宜さんが一緒に動きまして、クラウドファンディングでその測量費を賄いました。
これは初めてやってみてわかったんですけども、最初はどうかなという部分がありました。
でも経験に勝るものはなくて、やはりやってみて初めて分かることもあって、非常に早くお金も集まりました。
是非、色々忙しい部分も十分わかっておりますけども、先ずは動いてみてということをですね。
看板というのは、これ1個立てるのに約10万円だと以前に教育次長さんのほうからお伺いしましたですけども、だからそういうのでまずやってみて、それで根強いファンができてくるはずなんです、鎌倉を見てますと。
そういうチャレンジ精神をぜひ持って頂きたいというふうに思います。
今回さまざまな質問を致しましたが、最後に2点だけお話しします。
今般、由良地区の歴史伝承を取り上げましたが、宮津には他にも様々な眠れる観光資源が残されています。
江戸時代のシンデレラ物語と言われ、八百屋の娘が5代将軍、綱吉を産んだ桂昌院を奉る大頂寺。
日本で現存する教会で2番目に古いカトリック宮津教会。
与謝蕪村が3年間滞在した見性寺。
世屋高原にある旧日本海軍が建設した特設見張り所の遺構。
桜山や老舗の旅館と商家に伝わるお宝など、枚挙に暇がありません。
宮津市の指定文化財の数は京都府で5位、北部では1位です。
しかし、文化財に携わる職員が他の仕事と兼任する2名だけで、他の市町に比べて圧倒的に少なく、高齢化も進み、次世代に伝えることが徐々に難しくなっています。
因みに、文化財に携わる職員は、京都府で6位の亀岡市が7名、北部の舞鶴、京丹後、福知山、与謝野町は各々専任で4名います。
宮津の眠れる資源の一つ、書物や絵画、骨とう品等の鑑定や文化財の保全、地元の歴史を後世に伝えることは大切な仕事です。
歴史的評価を受けるお宝が見つかれば、また新たな観光に繋がります。
歴史を守り育てる体制の再構築を提言致します。
2点目として、冒頭で述べた宮津全体の観光人口は、主に一昨年の京都縦貫道の全線開通の恩恵を被り、概ね増えていますが、1990年頃まで30万人を超えていた由良の観光客は、高速道路の延伸に連れ著しく減少しています。
宮津天橋立インターチェンジが開通した2003年度には21万人、舞鶴若狭自動車道が全線開通した2014年度には13万人まで落ち込み、昨年度は17万人まで戻しましたが、白砂と遠浅が続く由良海岸の海水浴客が日帰りとなっていることも要因の一つで、なかなか苦戦しています。
観光の語源を記した古代中国の「易経」には「窮すれば変ず、変すれば通ず、通ずれば久し」という言葉も残されています。
今般質問した由良の眠れる観光資源も一つの参考として、海の京都構想の具現化に向け、由良がV字回復の一番地として尽力頂きたいと切に願います。
そして、今般の質問で、資料の提供等、過分のご協力を頂いた由良の皆さんにお礼をお伝えして、私の質問を終わらせて頂きます。

【2017年9月 定例会】
※動画:ttps://www.youtube.com/watch?v=AcQrE6JFuxA

 

 

 

1.みやづ歴史の館「資料館」の再開に向けて
当市の財政悪化で、歴史資料館が休館になって今年で10年になる。財政の危機的状況を脱した現在、「文化財事業」と「まちづくり」の重要拠点として、歴史資料館の役割と再開を問う。
2.宮津会館と市民体育館向け空調施設と駐車場の整備を望む
今年で設立50周年を迎えた宮津会館は、空調施設が故障して夏冬の使用が減り、利用者用の駐車場も狭い。災害避難場所に指定されている市民体育館の空調施設を含めた整備を問う。

【星野和彦 議員】
通告に基づき、一問一答方式で以下2点について質問致します。
1点目はみやづ歴史の館資料館の再開に向けて、2点目は宮津会館と市民体育館に空調施設、駐車場の整備を望むです。
日本三景、天橋立を望む島崎公園は、ご高承の通り、宮津会館、図書館、グラウンド、テニスコートがあり、古くから市民の憩いの場です。
平成になってからは前尾記念文庫、海を埋め立てた現在の浜町に市民体育館、日本庭園と商業施設ミップル、汽船乗り場、道の駅などの施設が集中し、島崎公園一帯は海園都市みやづを象徴する場所です。
島崎公園一帯が文化、スポーツ、商業の中心として、今後の宮津市が発展することを願い、これより質問に臨みます。
まず1点目の質問、みやづ歴史の館資料館の再開に向けて、みやづ歴史の館及び資料館に関する設立の経緯と目的をお尋ねします。

【永濱敏之 教育次長】
みやづ歴史の館及び資料館の経緯と目的についてでございます。
歴史の館及び歴史資料館の整備については、平成3年度からスタートいたしました第4次宮津市総合計画に位置づけ、事業を進めてきたものでございます。
総合計画では、地域の特性を生かした文化的まちづくりの推進、文化施設の整備を具現化することとし、それに基づき郷土の歴史、芸術、考古、民俗資料などを保存、展示する歴史資料館の整備を図ることといたしました。
計画を進める中で、かねてから強い要望のありました文化ホールや時代に対応した中央公民館施設を取り入れた複合施設として整備を図り、平成10年に工事着手、平成12年9月に2階文化ホール、3階公民館部分の供用を開始しました。
歴史資料館につきましては、4階、5階に整備することとし、常設展示室、企画展示室、資料収蔵庫など、国指定文化財の公開に耐える施設を目指し、整備を行い、平成14年5月に開館をいたしました。
これら歴史の館及び歴史資料館の整備事業は、設計業務も含め平成9年から平成13年に及び、歴史の館関連整備事業費の総額は約22億円で、うち歴史資料館に係る事業費は展示室整備等、約235百万円となります。

【星野和彦 議員】
簡潔に御説明頂きまして、ありがとうございます。
歴史の館のこの条例を見ますと、平成12年に条例第38号と、その後、平成17年の12月に条例第60号で改正をされておりますが、目的として、市民の文化活動の向上と福祉の増進に寄与するため、複合文化施設としてみやづ歴史の館を設置するというふうに明記してあります。
従って、この歴史の館の意義というところになりますと、まさに市民の文化活動の向上と福祉の増進ということを念頭にしてるということでよろしいですか。

【永濱敏之 教育次長】
その通りでございます。

【星野和彦 議員】
ありがとうございます。
付け加えて言いますと、教育委員会の方との打ち合わせでもお伺いしたんですけども、歴史資料館を立ち上げたときっていうのがちょうど宮津市史の編さんを同時に進行されていたということで、当時は学芸員の方も沢山いらっしゃって、それでこういう文化事業を進めていこうということが進んだと聞いております。
更に各公民館にも歴史を展示していこうと、そういう流れもあったと聞いております。
その辺は如何ですか。

【永濱敏之 教育次長】
おっしゃるとおり、建物そのものの目的、市民の文化の向上ということとあわせまして、宮津の豊かな歴史資源等を広く収集、皆さんに展示する。
それらを、地域の皆さん、市域全域にそういった内容を広めていくという考えを持って、その拠点施設として歴史資料館も含めて歴史の館をつくったということでございます。

【星野和彦 議員】
先般、京都新聞にも記事の掲載がありまして、皆さん、読まれた方も多いかと思うんですけども、この歴史資料館のほうが閉館に至った経緯っていうものが当時、市債残高がピーク時約200億円あったと。
これが平成17年度の単年度収支の赤字に転落したといったことで、この後、平成18年に就任された井上市長がいわゆる身を切る改革、例えば職員の定数削減、給料カット、それからごみ処理の有料化、下水道使用料金の改定と、これは市民の皆さんも痛みを分けて何とか今の財政事情に持ってこられた大きな功績だということが言えるかと思うんですけども、この歴史資料館が閉館に至った経緯と、それから運営上に問題点がなかったか、その辺をお尋ね致します。

【永濱敏之 教育次長】
先ほど申し上げたとおり、平成14年5月に開館した宮津市歴史資料館ですが、平成19年3月31日をもって休館となり、現在に至っております。
閉館の経緯、理由でございますが、当時の厳しい市財政状況の中、開館から5年間という、まことに短い期間でございましたが、この間の施設の経営状況等を総合的に判断し、決断をいたしました。
運営上の問題点として、まず一つは当初の想定の観覧者数と観覧料の乖離があると思っております。
資料館はもともと観覧料収入だけで賄える施設ではないというふうに認識しておりますが、施設の維持管理、展覧会の開催や職員人件費など、全体として約18百万円の必要経費に対しまして、当初年間1万人を想定していた観覧者数も、閉館となりました18年度においては約3,600人、観覧料収入は約95万円という状況でございました。
開館中は特別展示、企画展示を随時開催し、リピーターも含めた観覧者数の維持、増加も図ってきたわけですが、その展示企画の打ち出し方でありますとかPRの手法など、当時の運営には色々と不足している視点があったのではなかったのかと考えております。
また、当時は、今日のようにまちなか観光の視点というものも定着しておらず、観光振興施策や歴史文化を生かしたまちづくり活動に取り組む市民、団体との連携、連動性についても十分ではなかったというふうに考えております。

【星野和彦 議員】
ありがとうございます。
10年前っていうのがまだ道路の、高速道路も全線開通してない時期でということで、これ京都新聞の記事にもありましたですけども、まさにその通りで、今は状況も変わって、今回こうやって私も質問に臨んでるわけですけど、この歴史資料館は平成19年3月の閉館以来、再開に向けた文化協会などの団体及び多数の市民の皆さんから要望があり、多くの議員が一般質問に臨みました。
直近の一般質問では、一昨年の9月と昨年の3月に安達議員が行われた質問に対する答弁は、当面、常設展示室のみの無料開放を前提に、早期に部分的再開に向けた準備を進めていくという内容でした。
前向きな答弁でありながら2年が経過した現在、市民要望と各議員の一般質問及び答弁の経緯を改めてお尋ね致します。

【永濱敏之 教育次長】
再開に向けた市民要望についてでございます。
先ほど議員も触れられましたように、宮津商工会議所でありますとか観光協会さん、また文化や観光、まちづくりにかかわりますさまざまな団体、個人の方から文化・教育施設として、また観光誘客施設として当歴史資料館の再開を願う声はたびたび伺っております。
これも先ほどお触れになりました。市議会においても、休館以降、たくさんの、複数の議員の皆さんから資料館の再開についての一般質問をいただいております。
先ほども述べていただきましたように27年9月、また28年3月と、直近でも御質問をいただきまして、先ほど議員も質問で触れられたように、早期に部分的再開に向けて準備を進めていくという旨の回答をさせていただいたところでございます。

【星野和彦 議員】
質問が沢山あるんですけど、差し当たっては直近の安達議員の質問に対して答弁をしていらっしゃいますが、現時点として資料館の再開に関するお考えをお伺いしたく、如何ですか。

【永濱敏之 教育次長】
資料館の再開に関しての御質問でございます。
今後の計画でございます。
まず先ほど言いましたように、議員も触れられましたように当初の状況と変わりまして、資料館を取り巻く状況はかなり変わっております。
いろんな市民の活動も盛んになってまいりましたし、いろんな浜町を中心としたハード整備、京都縦貫等アクセスも変わってまいりました。
そういった中での今後の計画でございます。
さきに述べました市民の要望からもわかりますように、近年のまちなか観光の動き、また、細川ガラシャでありますとか北前船など、本市の歴史資源を生かしたまちづくりの取り組みが市民、行政を問わず行われております。
そうした中で、この重要な拠点として歴史資料館の再開の必要性はますます高まっておるものというふうに認識をしております。
そのような状況の中、さきに述べた27年、28年の議会答弁で申し上げたように、常設展示室のみを、公開を先行して行う等の手法も視野に入れた上で、歴史資料館を、教育、学術、文化振興といった中核的役割に加えまして、まちなか観光の振興、歴史資源を生かしたまちづくりにつなげいく拠点的施設と位置づけるとともに、現在、申請作業を進めております北前船寄港地の日本遺産登録の動きも踏まえながら、早期の再開館を目指していきたいというふうに考えております。

【星野和彦 議員】
なかなか具体的な日にちっていうのはお答えしづらいのかもしれませんので、質問を変えます。
平成28年度の市政報告書によると、文化財保護に関する主な事業は3点、総額で約48百万円で、内訳は以下の通りです。
1点目は、今まで不明だった古代の丹後国府を特定する上で手がかりとなる平安時代の建物跡が見つかった安国寺遺跡の発掘調査事業に、約2百万円。2点目は、元伊勢籠神社のある府中地区の文化的景観保護推進事業に、約42百万円。3点目は、江戸時代の北前船で富を得た旧三上家住宅の指定管理に、約4百万円です。
前年度の文化事業に関する主なトピックスとしては、成相寺旧境内が文化財保護法に規定されている国史跡の指定を昨年10月に受けたことが上げられます。
その発掘調査は、平成14年から5年間、平成21年から7年間、合計12年間に亘りました。
しかし、近畿地方で出土例のない紀元前1世紀後半と紀元後1世紀の鏡を有する元伊勢籠神社には、古代の氏族制度や祭祀制度の変遷を研究する上で貴重な文献として昭和51年に国宝の指定を受けた歴代神官の家系図「海部氏系図」に邪馬台国の卑弥呼と推察される人物の記載もあります。
宮津市、ひいては丹後、但馬地方の遺跡発掘は、空白の古代日本史を紐解く可能性を秘めています。
宮津市にとって文化財事業に関する行政の位置づけと決算額の推移をお尋ねします。

【永濱敏之 教育次長】
当市にとっての文化財行政の位置づけと決算額の推移についてございます。
まず、平成28年3月策定の宮津市教育振興計画におきまして、3つの基本方針の一つとして掲げております誇りと愛着のある地域文化の保存、活用の中で、文化財の保護と活用が位置づけをされております。
その中で、市民と行政が一体となって文化財を積極的に保存、活用、継承することにより、歴史的、文化的遺産を活用した魅力的なまちづくりを推進するということとしております。
また、重要文化的景観推進事業など、政策的、特にまちづくりに直接リンクするような事業につきましては、宮津市まち・ひと・しごと総合戦略における、日本の顔となる観光地づくりの主要な事業として位置づけております。
最後に、文化財事業決算額の推移でございます。社会教育所管の文化財保護費でいいますと、平成28年度歳出決算額は約5,068万円でございます。
5年前の平成24年度の決算額約940万円と比較して、大きく増加をしております。
この増加の要因としましては、平成26年に宮津天橋立の文化的景観が国の重要文化的景観の選定を受けて以降、国の補助金等を得て実施しております修景整備事業によるものが大きいというふうに考えております。
ほか文化財保護費として計上される経費には、一般の文化財調査、指定、普及啓発に係る経費、先ほども触れられました市内遺跡の発掘調査経費と国の重要文化財、旧三上家住宅の指定管理料等がございます。

【星野和彦 議員】
ご答弁頂きまして、ありがとうございます。
確かにおっしゃる通り、この宮津市まち・ひと・しごと創生総合戦略に平成27年から31年の分を記してるけど、ここにおいてまちづくり推進としての重要文化的景観保護推進事業と、これが観光に寄与しているという規定をされているということで理解していいかと思います。
因みに、他の日本国内見回しまして、例えば佐賀県の吉野ヶ里遺跡ですね、弥生時代の遺跡になりますけども、これは昭和61年から発掘調査が始まり発見され、平成26年度の観光客は1,142千人訪れています。
また、青森県の三内丸山遺跡、これは縄文時代の遺跡になりますけど、平成4年の発掘で、平成27年度の観光客は297千人ですすが、今まで工場にしようかという計画があった荒れ野原だったそうです。
私も2カ所とも見に行きましたが、周りに何もなく、非常に不便な所です。
こういった所がこういう集客を生みます。
特に丹後地区っていうのは歴史の専門家の方から言わせると、そういった色んな古代史を紐解くチャンスが埋まっている場所だということで、今の次長から金額をお伺いしますと、9百万円から50百万円まで増えたのは分かりますけども、もう少しここを頑張って増やして、更に地道に続けることが大切だと思いますが、財政事情が今、手放しでよくなったとはとても言えません。
しかし、伝統というこれ「トラディション」という英語を訳したわけですけども、この伝統というものは人間が語り継いでいくとです。
比叡山であれ、長野の善光寺であれ、不滅の灯明っていうものがあります。
この不滅の灯明っていうのは12百年に亘ってずっと光が、明かりが灯されるわけですけども、ずっと灯し続ける人がいたから「不滅の灯明」だという言い方をしております。
過去の反省として、財政事情が悪くなったらしようがない部分もあります。
しかし、この予算の部分で先ずは大幅な減額を避けるような工夫を是非して頂きたいというふうに希望致します。
次の質問をします。
前回の一般質問で、由良地区の歴史伝承を活用した観光施策の強化において申し上げましたが、宮津市には国と京都府の指定文化財が57件あり、京都府で5位、北部では1位です。
山椒太夫伝説の中で身代り地蔵と呼ばれる如意寺の地蔵菩薩坐像は、運慶とともに鎌倉時代を代表する仏師、快慶の作品で、奈良国立博物館の特別展「快慶 日本人を魅了した仏のかたち」に本年4月から2カ月間展示されました。
しかし、地蔵菩薩坐像が宮津であんまり周知されないように感じました。
また、昨年生誕300年を迎えた与謝蕪村は、見性寺に3年間滞在して多くの作品を宮津に残し、昭和37年に教育委員会が作成した目録では作品と保管場所が把握されていますが、世代交代と過疎化が進む昨今、全国でも相続時に大切な文化財の価値が伝わらず、散逸する事象も現れています。
現在の宮津市で個人が所有する文化財を含めた管理状況をお尋ねします。

【永濱敏之 教育次長】
宮津市における文化財の管理の現状でございます。
現宮津市域には、その豊かな歴史から指定、未指定を問わず多くの文化財が所在をしております。
国、府による指定、登録、また、宮津市による指定文化財、合わせて約140件を数えます。
教育委員会におきましては、これらの指定、登録文化財の適切な保全を図るべく、随時、文化財所有者及び府教委等関係機関との連絡を密にとりまして、これら文化財の現況把握に努めております。
また、国や府の補助事業として行う文化財の修理、維持管理事業については、府と所有者の間に立ち、スムーズな事業が進むよう調整を行っておるところでございます。
また、現在、指定を受けていない文化財につきましても、機会あるごとに調査を実施し、随時その把握に努めているところでございます。

【星野和彦 議員】
ぜひ文化財の保護も鋭意努力して頂きたいと思います。
次に、上述の通り、前回の一般質問において宮津市の指定文化財の数は京都府で5位、北部では1位にもかかわらず、文化財に携わる職員が他の仕事と兼任する2名だけで、6位の亀岡市が7名、北部の舞鶴、京丹後、福知山、与謝野町は各々専任で4名いるということを指摘しました。
歴史を守り育てる体制の再構築を提言したところ、今般、宮津市の職員採用試験に文化財専門員を数年振りに募集して頂きました。
この御対応を頂いた皆様には心から感謝を致します。
そして、素晴らしい人材が採用できることを念じてやみません。
イギリスの歴史家、エドワード・ハレット・カーは、歴史とは現在と歴史との絶え間ない対話であると述べています。
これからの文化財行政をより確実にする観点から、10年前の歴史資料館の閉鎖に伴って生じた文化財専門員の処遇と体制、そして現在1名募集している文化財専門員の役割と今後の体制についてお尋ねします。

【永濱敏之 教育次長】
本市の学芸員に関してのご質問をいただきました。
まず1点目、資料館閉鎖後の学芸員の処遇についてでございます。
資料館開館当時3名、学芸員と専門職員がおりました。
その中で19年3月の休館に伴いまして、1名が世界遺産の担当職員となりました。
もう1名がまちなか観光の担当となり、残る1名が資料館維持業務を含みます文化財行政担当者となっております。
もう1点、最後に、今秋、学芸員、文化財担当専門職員の募集を行っております。
この職員の期待する役割等についてでございます。
まず、地域の歴史資源や文化資源を活用して、特徴ある地域づくりを推進していく必要があるというふうにまずは1点考えております。
そのかなめとなる文化財担当専門職員が現在2名、議員もお触れになりましたように2名体制ということで不足をしておるという判断から、今回補充ということで募集させていただくものでございます。

【星野和彦 議員】
過去の歴史と今回、この文化財を題材にして、この10年間で今2名、文化財専門員の方が残られておりますけども、その内1名の方は全く文化財から離れて違う部署で仕事をされていたというような不幸なこともあります。
組織の中だからしようがないといえば、しようがない部分もあります。
しかし、やはり目的を持って宮津に来て頂いた方が本来やりたい仕事ができないというところは、非常に私は不幸だと思いますし、また、これは宮津市にとっても物すごく損失が大きかったなというふうに思います。
ぜひ次1名募集されている方の役割と今後の体制を固めて、その方が差し当たって3名体制で、他の市・町と比べるとまだ人数は手薄だとは思いますけども、何とか一つずつ固めて良い結果を、文化財事業を進めて頂きたいと希求致します。
資料館の再開に関してなかなか時期というものを教えては頂けないようですけども、これを、資料館の再開をまず前提にお伺いしたいことがあります。
収蔵能力、企画展示室の文化庁基準など、設備の機能と対応力をお尋ねします。

【永濱敏之 教育次長】
今現在の歴史資料館の設備としての対応力等についてでございます。
現在、宮津市歴史資料館につきましては、整備事業の際、国の重要文化財の公開許可を得ることができる施設を目指し、整備を行ってまいりました。
設備としましては常設展示室の他、温湿度管理機能を備えた企画展示室及び資料収蔵庫等を備えております。
国の重要文化財の公開許可基準は大変厳しく、例えば平成14年度の開館記念特別展として「天橋立展」や翌年の「雪舟天橋立図の世界展」において国宝「海部氏系図」でありますとか雪舟の「天橋立図」を展示した際には、許可を得るため、過去1年間にわたる企画展示室の空気環境調査の結果を文化庁に報告する必要がございました。
といった中で、そういった施設を持っておる施設というポテンシャルもございます。
今後、開館に向けた、こういった企画展示室をどうリフレッシュするのかといったことも観点の上、早期に再開に向けて取り組みも進めてまいりたいというふうに考えております。

【星野和彦 議員】
ご答弁ありがとうございます。
先日、私も歴史資料館のほうを覗きに行ってきました。
特別展示室のほうを見たんですけども、やはり特別展示室はこの10年間の間に余り開けられることが少なかったんでしょうか、やはり一般展示室と比べますと空調施設とか、あるいは壁であったり、その辺が明らかに私のような素人が見ても設備がちょっと傷んでいるかなというふうに感じました。
今のところ時期というのは言って頂けないかもしれませんけど、先ずはここの修理のほうが必要じゃないかなと思いますので、その辺りを今後、早急に詰めて頂きたいというふうに希望致します。
1点目の質問の最後として、諄いようですけども、この再開時期、それから役割、企画、採算などの、歴史資料館再開の今後の計画でその他に教えて頂けることがあれば、この場で教えてください。

【永濱敏之 教育次長】
議員御指摘ありましたように、10数年の休館の中でかなり施設としても老化をしておる部分がございます。
開館の際には一定見た方に印象深く思っていただけるようなリニューアルといったことも必要かと思います。
また、企画展示室を再開するに当たっては、当然今言いましたように1年間程度の状況調査、管理も必要でございます。
また、そういった取り組みをしっかり行っていくためには、議員もかねてから提案いただいておりますように一定、人員体制ということもあわせて考えなければいけません。
ただ、どうしてもそういったことには費用がついてまいります。
申しましたようになかなか収益は上がらない施設ではあるといったまでも、例えば観光面での経済波及効果といったことの視点もございますし、また地域の子供たち、小・中・高、一般の方々の学習の場としての役割ももっともっと強めていかなくてはならないと思います。
そういった意味で資料館が歴史文化を生かしたまちづくりの拠点となるような、人々が気軽に集まることができるようなそういった施設も念頭に置いて考えていく必要があると思います。
そういったことで今後ハードに向けた予算等もお願いすることもあろうかと思いますし、また、いろんな面でアイデア等をいただく面があろうかと思います。
そういったことで市民の方の御協力も得ながら、今度こそ末永く開館ができるように準備を進めてまいりたいというふうに思っておりますので、御理解賜りますよう、よろしくお願いいたします。

【星野和彦 議員】
なかなか言いづらい部分もありますし、前回の、学芸員の方の採用も質問の折はなかなか良いご返事を頂けませんけども、行政というのは思わぬところで好転することもあるのかなと希望しながら、それとまた、来年のこの時期あるいは半年後かの時期に、また私のように一般質問に立つ人間出てこないことを望みたいと思います。
やはり安達議員の質問から2年経って、やはりそれから、これから早急にしますといってもこれ、なかなかそういうことをどうなってるんだろうと普通の感覚では思います。
例えば銀行の融資です。長期融資っていうのは1年以上、1年以内のもの短期融資といいます。だから、すぐやるんだと、至急やるんだということであれば、私たちの感覚でいったら少なくとも1年以内じゃないかと、もう既に2年経過しております。
そこを重々考えて頂いて、今後のご健闘をお祈りしたいと思います。
最後に、一遍、宮津の眠られる資源の一つに書物、絵画、骨とう品があります。
その鑑定や文化財の保全、地元の歴史を後世に伝えることは大切な仕事だと思います。
歴史的評価を受けるお宝が見つかれば、先ほど申し上げた通り、新たな観光にも繋がります。
みやづ歴史の館の外観は北前船の帆をデザインしたもので、国内のどの寄港地にもまさる大きなオブジェクトとして活用する新たな戦術もあります。
歴史を守り育てる体制の更なる再構築を改めて提言し、この歴史の館のオープンと人を育てること、歴史を守ること、新しい観光を見つけていくこと、あらゆることが集約されているこの歴史の館の再開を期したいと思い、1つ目の質問を終わります。
次に2点目の質問に移ります。
2点目の質問は「宮津会館と市民体育館に空調施設と駐車場の整備を望む」です。
これは、文化協会、音楽関係者の皆さんなど老若男女を問わず、この要望を伺います。
宮津市の文化とスポーツを象徴する施設を何とか改善する手法を模索すべく質問致します。
先ず、宮津会館について、耐震診断を示すIS値は以前0.23だと伺ったと記憶しています。
大きな地震があると甚大な被害が生じるため、宮津会館の使用者には了解を取りつけて使用頂いているとお聞きしました。
現在、宮津会館の空調施設が故障していますが、耐震工事との兼ね合いで修理が進んでいないのではないでしょうか。
宮津会館の耐震構造に関する改修計画を踏まえた運用方法、空調故障の状況と修理見積もりの概算の3点についてお尋ねします。

【森口英一 総務部長】
宮津会館につきまして3点の御質問をいただきました。
この宮津会館は、市民の文化の向上と振興に寄与する施設として昭和43年2月に開館をいたしました。
その後、約20年後ということになろうかと思いますが、昭和62年から昭和63年にかけて約490百万円をかけまして大改修を行いました。
この際の大改修といいますのが客席フロアでありますとか、あるいはホワイエ、楽屋、こういったとこの大改修、加えて設備関係も改修いたしております。
音響設備、照明設備、空調設備、こういったものの更新をさせてもらったということでございます。
現在の空調機につきましても、その当時のものということでございますので、約29年が経過をしておるという状況でございます。
現在、建設から約50年が経過をしておるということでございます。
老朽化が進んでおりますとともに、議員もお触れになりましたが、旧耐震基準ということでございまして、そのIS値は最小値として0.23というものでございました。
基本的な安全性を担保するためには0.6という数字が必要なんですけれども、この宮津会館のIS値、最小値は0.23という状況でございます。
加えてつり天井、これの落下の危険性もあるという結果が出ておるということであります。
また、25年のときですけれども、この12月に、今も空調設備は傷んでおるんですが、当時25年にも空調設備が故障いたしました。翌26年の1月に行いました消防の出初め式でありましたり、成人式でありましたりといったときもこの空調設備が使えなかったということでございます。
その際はストーブで対応させてもらったということでございます。
その後、26年度に入りまして、この空調機を修繕をいたしました。
そして今、議員もお触れになられましたけれども、その後の使用に当たっては、書面によりまして耐震の安全性、これが不足をしておるということから、利用者に御説明もさせていただきまして、こういった、もしも有事の際には施設の職員と連携、協力をお願いした上で利用していただくというような運用もさせてもらったということであります。
こうした中で、ことしの2月なんですけれども、この空調機が故障いたしました。
冷温水発生機の部分で真空漏れが発生をしたということでございます。
これまでの間も何度かこういったことがございました。
その都度、急遽修繕をしていくと、修繕対応をしていくという対応をしておったんですけれども、もうこの際については漏れた箇所を修繕しても、また改めて弱い別の箇所が真空漏れを起こすということでございまして、もうメーカーのほうからはこれ以上の修繕対応は無理だという判断がございました。
更新以外にないということでございました。
こうしたことから現在におきましては、この利用に係る申し込み、予約の段階において、この冷暖房の使用ができないということをお伝えした上で利用もしていただいておるという、こういう状況であります。
また、議員からはその改修費用なりのお話もございました。
この耐震化に係る改修の経費あるいは空調施設の更新の経費というお尋ねでございます。
概算でということになるんですけれども、建物の耐震化に関しましては2億円以上はかかるということでございます。
空調設備のほうです。
これはもう修繕対応できないということでございます。
更新しかないということでございまして、これについても冷温水発生機のみで5,000万円以上かかるということでございます。宮津会館全体といたしましては、2.5~3億円程度かかると、このように見込まれるということでございます。

【星野和彦 議員】
簡潔にご説明頂きまして、ありがとうございます。
この最後の見積もり概算のところで、途方もなく大きな金額がかかるんだというところで非常に驚きます。
これだけの金額をかけていく会館にふさわしいのかどうかというところを今度は探っていきたいと思います。
先ず文化祭、市民の発表など、文化事業の中で宮津会館の位置づけをお尋ね致します。

【森口英一 総務部長】
済みません、第1答弁と繰り返しになるかもわからんですけれども、それこそ先ほども条例のお話がございました。
これももう宮津会館条例の第1条で定めておるということで、文化事業の位置づけということでございます。
宮津会館では、市民の文化の向上と振興に寄与するための施設としての役割があるということでございます。
こうした中でいろいろな御利用もいただいております。
宮津市文化団体協議会が中心となって開催をされます市民文化祭、これを初めといたしまして、代表的なものとしましては市内のマーチングバンドによる演奏、それから吹奏楽部の児童生徒が一堂に会する宮津市吹奏楽フェスティバル、それから宮津高等学校吹奏楽部の定期演奏会、宮津会館の現在の指定管理者である宮津市民実践活動センターによるコンサート等の文化事業、こういったものをやらせていただいております。
冒頭申し上げましたように、市民の文化の向上と振興に寄与する施設ということでございます。

【星野和彦 議員】
今ご説明頂いた通り、文化の殿堂として宮津会館の果たす役割というのが非常に大きなものだと理解をしておりました。
文化をお金で計ることは、なかなかこれは難しくて間違いということもありますけども、隣接するみやづ歴史の館の文化ホールとあわせて宮津会館の稼働率の推移と、あるいはその向上策があれば、こちらをお尋ねいたします。

【森口英一 総務部長】
宮津会館と歴史の館の文化ホールの稼働率ということでございます。
平成24年度から28年度までの数字をちょっと調べましたので、それを申し上げたいと思います。
まず宮津会館大ホールのほうでございます。
件数と人数を年度ごとに説明させていただきたいと思います。
平成24年度です、44件、13,500でございます。
25年度が46件、16,100人、26年度が32件、11,400人、27年度が44件、13,900、28年度が44件、18,560人と、こういう状況でございます。
これは、年間の開館日数に対して何日間利用されているかという稼働率で申し上げますと約15%ということになります。
また一方、みやづ歴史の館の文化ホールのほうです。
これも同じように24年度から28年度までの件数と人数、概数という形で報告させていただきたいと思います。
平成24年度が136件の15,810人、25年度が119件の13,910人、26年度が111件、12,200人、27年度が106件の13,300人、28年度が92件、11,890人と、こういう状況でございます。
宮津会館と同じような稼働率ということで換算をいたしますと35%程度と、こういった結果になります。
その向上策はというお尋ねもございました。
現在、指定管理者ということで、宮津市民実践活動センターにいろいろな自主事業をやっていただいております。
そういった自主事業を市内外の事業所でありますとか、あるいは団体、学校、こういったところに発信をいたしまして、施設の利用促進なり自主事業への参加の増に努めていただいております。
ただ、なかなか大きな改善というものは見込みにくいという状況でございます。
市政報告書のほうにも自主事業なりを書かせていただいておるんですけれども、文化事業という形でベストオブクラシックでありますとか、昨年度でいきますと、太鼓の鼓動のライブであったり、岡村孝子さんのコンサートであったりというようなこともさせていただいておりましたり、あるいはステージメンバーズの会員の確保というようなことでありましたり、ボランティアスタッフの活用、こういったこともさせていただいておるということで御理解をいただきたいと思います。

【星野和彦 議員】
懇切丁寧にご説明頂きまして、ありがとうございます。
15%と35%という数字を聞いて、益々もって驚きました。
私の子供の頃、宮津会館といいますと、吉本新喜劇を生まれて初めて見たのも宮津会館であって、ピンク・レディーが来たのも宮津会館で、それからキャロルの矢沢永吉が歌ったのも宮津会館です。
そんな非常に宮津会館というのは夢に溢れた場所であったんですけども、今のイベントの事業あるいは市民の皆さんの利用状況からいくと、なかなか苦戦しているなというところを改めて感じました。
実は今回の質問に当たりまして、宮津出身で、2015年の全米桜祭りにおいてワシントンのJ・F・ケネディセンターで日本の叙情詩を演奏された世界のジャズピアニスト・中村葉子さんに宮津会館のこの現状をお伝えしました。
そうしますと、都会では天井の高い会館が減っていて、宮津会館は希少価値があることから、一定期間の練習で使用し、市民の皆さんの見学や触れ合いの場を設けることも可能で、更に知り合いの音楽関係者を紹介頂くことも依頼致しました。
このような手法で宮津会館の稼働率をアップし、有効活用することを提案致しますが、如何でしょうか。

【森口英一 総務部長】
ありがとうございます。
そういった世界的に有名な方がこういった宮津会館のことを評価をしていただいて、そしてなおかつ、そこでリハーサルというんですか、コンサートなんかもやってみてもいいよというようなお話をいただけたということは大変うれしいことだというふうに思っております。
加えて宮津会館の稼働率のみならず、先ほども文化の振興というお話もさせていただきましたけれども、やはりそういった世界的な音楽家と宮津市民の方、子供たちなんかも含めた方とそういう触れ合いができるということに物すごく大きな価値があるんだろうというふうに思います。
稼働率に加えて子供にそういった場を与えられるということはもう非常にうれしいことだと思いますし、ぜひともあとお力添えもいただきたいというふうに思います。

【星野和彦 議員】
ありがとうございます。
何事も大きな敵に立ち向かうときもそうですけども、何て言いましたらいいでしょうか、この数字を見てどうやって変えていくかというところは非常に難しいです、正直言って。
ただし、何もしないでじっとしているより、やっぱりやってみないと分かんないことってたくさんあります。
‘Let´s begin!’という言葉をケネディが言いました。
‘Let´s begin,shall we!’「何か始めましょうよ」と。
ここでもう1回奮起して、この文化を以って宮津をもう1回立て直すんだという一貫の我々も気概を持って、今回のこういうありがたいお話もそこから更に広がることが可能性を持ってます。
やれることから少しずつやっていきたいというふうに思いますので、ぜひ理事の皆さんもご協力をお願い致します。
次の質問に移ります。
宮津会館の専用駐車場が狭くて浜町の立体駐車場から遠いと、市民の皆さんから度々お話を伺います。
私は都会の感覚では近いと感じるんですけども、秋口から雨や雪が多い地域で、高齢化率が約40%、更に今後上昇する傾向にある現状から判断すると、今後の対策が必要になってくると思料されます。
市民の皆さんからの要望の状況と対策の必要についてお尋ねします。

【森口英一 総務部長】
駐車場についての御要望というか、お尋ねでございました。
議員もお触れのとおり、宮津会館なり歴史の館の駐車場といいますのは、基本的には浜町の立体駐車場を使っていただくということを基本にいたしております。
そうした中で市民の皆様からは、やはり雨の日なんかのことが特に多いのかなというふうに思いますが、近くに駐車場があればというような御要望をいただいておるということでございます。
そのほか、市民の皆さんからいただいとる御要望というようなことでいいますと、やっぱり宮津会館のトイレの関係でありますとか、そういったような御要望もいただいておるということでございます。
いずれにいたしましても、市民の皆様については、浜町の立体駐車場にとめていただいて、そして宮津会館あるいは歴史の館文化ホールにお越しいただくということを基本というふうに考えております。
ただ、ちょっとこれ蛇足になるかもわからんですけれども、例えば先ほど申し上げました市民文化祭でありますとか、ああいうたくさんの方が関係者としていらっしゃる、あるいはその関係者がたくさんの荷物を会館なりに入れ込まなければならないというような状況もございます。
こういったときにおきましては、今もこういう措置をしておるんですが、施設の海側の芝生広場のところを臨時駐車のスペースというようなことに、関係車両のみということなんですが、させていただいて、そういう対応もさせていただいておるということで御理解もいただければと思います。

【星野和彦 議員】
トイレのお話まで頂きまして、ありがとうございます。
まさに芝生のところにも車が置けたら随分楽だなというふうに私も思います。
ちょっとご近所の方からもお伺いしたんですけども、この会館使用時の臨時駐車場を確保する手段として島崎グラウンドとみやづ歴史の館の間にある道路ですね、こちらに縦列駐車する方法もできないんだろうかというご提案を頂いておりますが、そのあたりは如何でしょうか。

【森口英一 総務部長】
島崎公園と歴史の館の間のあれ、自転車道になるのかなというふうに思いますが、基本的には自転車用道路ということになりますので、逆にそこに縦列駐車を認めるということになりますと、その自転車利用というんですか、そこを楽しまれる方の御不便にもなると思いますので、基本的には先ほど申し上げたようなお客様においては浜町のところにとめていただきたいと思っておりますし、関係者のときには臨時の駐車スペースも確保させていただきたい、こういう対応でお願いしたいと思います。

【星野和彦 議員】
ちょっとこの関係については、京都府のほうにも何か問い合わせをされたようで、道幅からいうと片側に寄せれば自転車が通れるだろうと。
それでこれを喜んでいいのかどうかわかりませんけども、そんなにイベントがないだろうと、大きな。
ですから、そういう折は開放するのも一つじゃないかというふうにおっしゃられてますので、ちょっとこのあたりもご確認頂いて、今後ご検討頂けたらというふうに思います。
次に市民体育館についてお尋ねをします。
災害避難場所に指定されている市民体育館の空調施設に関して質問します。
この近隣市町における体育館の空調施設の設置状況と運用方法を簡潔にお尋ね致します。

【永濱敏之 教育次長】
近隣市町における体育館の空調機器設置の状況でございます。
近隣の市町村において空調設備を備えた体育館は、舞鶴市の舞鶴文化公園体育館と福知山市の三段池公園総合体育館となってございます。
空調の利用は、主に熱中症対策等の観点から夏、冷房が多く、また、各種スポーツ大会での利用が多いとのことでございます。
また、それらの使用料につきましては、舞鶴市が実費の相当額としましてホール全部を使った場合、1時間4,600円、暖房でいいますと1時間4,800円の使用料を取られております。
また、福知山市は使用料の6割ということで、アマチュア使用によります平日、全館使った場合は18,678円と相当する額を徴収しておられます。

【星野和彦 議員】
ありがとうございます。
余り北部のほうでもこの2市しか体育館にはエアコン入れていないということでございますね。
市民体育館に空調施設をもし設置した場合、その予算はどれぐらいになるんでしょうか。
また例えばですけども、さっきストーブを宮津会館で利用されたこともあるとお伺いしましたが、スポットクーラーを設置した場合を含めてお尋ね致します。

【永濱敏之 教育次長】
宮津市民体育館における空調設備を設置した場合の見積もりでございます。
見積額については、あくまでも概算でございます。
アリーナ全体を冷暖房すると想定した場合、1.5~2億円程度かかるというふうに考えております。
また、御指摘のありましたスポットクーラー等においては、施設全体を冷やすことはできませんが、熱中症対策等には一定有効かなと考えております。
施設規模等によりますが、物によっては数百万程度でできるものかなというふうに考えております。

【星野和彦 議員】
ありがとうございます。
これもまた億単位のお話になりますので、なかなか、さあ、やろうというふうにはならないとは思います。
ただし、いろいろ工夫しながらスポットクーラーであったり、ストーブも入れてしまうとか、そのイベントによって柔軟に考えていくのも一つじゃないかと。
今年、雨の関係で市民総おどり大会は初めて市民体育館で行ったわけですけども、その日は涼しい夜だったので、窓をあけることで助かりましたが、最近の熱帯夜というような時もありますし、災害の時にはどうなるんだといったところも含めて今後ご検討頂きたいと思います。
市民体育館の稼働率といいましょうか、この市民体育館は夏休みに大学生の合宿で利用されることが多くて、近年の異常気象の影響で宮津も日中に35℃を超える日が続きます。
旅館関係の方から、大学生がクールダウンする場所を求めていらっしゃると伺っております。
市民の皆さんから市民体育館への空調施設設置の要望をお聞きになられたか、お尋ねをいたします。
また、市民体育館のおおよその稼働率についてもお答え願います。

【永濱敏之 教育次長】
市民からの冷暖房設置の要望についてでございます。
まず、宮津市の体育協会さんから冷暖房設備の新設の要望をいただいております。
また、利用いただいております各競技団体、利用者からも冷暖房設備の要望もいただいているところでございます。
また、稼働率の推移等でございます。市民体育館の使用件数、人数につきましては、平成24年度が5,987件、70,875人の利用でございます。
平成25年度が6,055件、68,982人、26年度が6,535件、70,672人、27年度が7,343件、72,271人、28年度が7,155件、78,391人ということで、近年、スポーツの意識の高まりとか、先ほど言われましたスポーツ合宿等も夏期間、利用いただいておるということで、毎日のような利用はあるという状況でございます。
基本的にはアリーナについては、毎年90%以上の稼働率というふうに考えております。

【星野和彦 議員】
ありがとうございます。
こちらの稼働率は非常に高くて、やっぱり非常に市民の利用度も高いというところで、今後の空調機器についても是非ご検討頂きたいと思います。
その検討するに当たりまして、これ以前、一般質問したこともあるんですけども、ネーミングライツであったり、あるいはクラウドファンディングあるいはふるさと納税をもう少し狭めて、この1点に集中してこういうものに使いませんかというようなお金の集め方っていうのも一つあるかと思います。
こういったことも是非ご検討頂きながら進めて頂きたいと思います。
この市民体育館の空調設備導入に関しても今後の島崎公園一帯の整備計画で進捗すると思料されますが、今後の全体の見込みについて教えて頂けますでしょうか。

【森口英一 総務部長】
島崎公園一帯の全体的な考え方というか、見込みというようなことでございました。
議員も最初にお触れになられましたけれど、島崎、浜町、あの周辺、文化スポーツ施設が集中しておるというか、たくさんございます。
私ども、昨年の3月に策定をいたしました公共施設等総合管理計画、これを、施設類型ごとの基本方針というものを定めておるということなんですが、今、議員お触れになられましたように浜町のところは文化スポーツ施設が集中しておるということで、類型的には市民文化系施設、スポーツ施設と、こういった類型にいたしております。
こういった類型のものについては、先ほど申しました管理計画の中では、このように定めております。
利用率が少なく、維持管理コストが高くなっている施設も多く、近隣の市、町の連携も念頭に、廃止も視野に入れた上で施設総量を削減していくとともに、施設の更新、建てかえ、こういったものが必要な際には複合化を基本に対応していくと、このように定めておるということです。
島崎周辺については、島崎公園でありますとか前尾記念文庫、図書館、ふれあい交流館島崎げんきっこひろばでありますとか、また、障害者生活支援センターかもめ、こういったものもありますけれども、これらにつきましては、御提案申し上げております新しい子育て支援施設、図書館等の整備、これに伴いまして11月末には宮津阪急ビル3階、4階に移転をするという考え方だということでございます。
そのほか、しからば図書館あたりは、その跡の機能としてどうしていくかという問題がございます。こ
れについては、例えば図書館ということでありますと、今申し上げましたような宮津阪急ビルにこれも機能は移転をしていくということでございます。
その後の図書館については、これも施設のハード面の性能が、いわゆる耐震性に課題があるということから、これも建物を除却するとかいうようなことも今後考えていかなければならないのかなというふうに思っております。
そうした場合において、あそこの一帯、宮津会館でありますとか歴史の館も含めた一体的な検討を今後、集中的にしていかなければならないと、このように思っております。

【星野和彦 議員】
ご答弁頂きまして、ありがとうございます。
最後に、時間はもうほとんどありませんけれども、京都新聞の取材にも応じられました井上市長のほうから、この全般の島崎一帯に関して御答弁頂けますでしょうか。

【井上正嗣 市長】
ただいま部長がお答えしたとおりでございますので、総合的に一体的に考えながら検討を深めていきたいと思ってます。

【2017年12月 定例会】
※動画:https://www.youtube.com/watch?v=DEg9IKRtH7E

 

 

 

〇オリーブ事業の問題点と改善に向けて
本年度の収穫量激減(前年比▲80%)、オリーブ宮津の法人設立の遅滞、農地再生と植え付けに関する補助金交付の遅延等、諸問題が発生しているオリーブ事業の現況と改善策を問う。

【星野和彦 議員】
無会派の星野和彦です。
通告に基づき一問一答方式でオリーブ事業の問題点と改善に向けて、主に以下5点を質問致します。
1点目が農地再生と植え付けに関する補助金交付の遅延問題、
2点目が本年度の収穫量激減の問題、
3点目がオリーブ宮津の法人化が遅れている問題、
4点目が由良地区以外のオリーブ事業の進捗状況と情報共有、
5点目がオリーブ事業拡大の方策、
以上5点について、私が昨年2度行った一般質問、更に本年3月以降の各定例会で議案に対する各議員の皆さんの質疑と所管の常任委員会、産業建設福祉委員会における産業経済部の答弁を踏まえて質問致します。
先ず1点目の農地再生と植えつけに関する補助金交付の遅延問題に関して質問します。
本件にかかわる概況を申し上げます。
本補助金は、前年度に行った27カ所の土壌分析を踏まえ、オリーブ生産者の耕作を促進するために市がつくり、生産者に持ち寄ったもので、本年4月から8月に順次行われた7カ所の耕作地が対象で、植え付け数は274本、ユンボのリース料や人件費などの補助金対象総額が1,037,144円となります。
そして、補助率は50%で遅延している交付額は518,572円とります。
内容に相違あれば、ご指摘願います。

【松崎正樹 産業経済部長】
農地再生に対する市の補助金の交付にかかわっての御質問をいただきました。
由良オリーブを育てる会では、今年度274本の植樹をするため、農地7カ所、約65アールの再生整備を行われました。
この再生整備に要した経費に対しまして、2分の1の補助金を交付し支援することとしておりますが、補助金事務の遅れから補助金の交付には至っていない状況であります。

【星野和彦 議員】
この補助金交付遅延問題に関して、上述の概況の他に経緯と要因を簡潔にご答弁願います。

【松崎正樹 産業経済部長】
この圃場の再生整備に対する支援につきましては、市の独自支援として本年度から開始するもので、当該補助金の要領の制定が遅れたことから申請手続等をお示しすることができなかったことによるものでございます。

【星野和彦 議員】
ご答弁ありがとうございます。
本補助金の対象総額1,037,144円の内441,000円部分は業者を利用せずにオリーブ生産者がみずから行ったため対象外になると、そういう旨を宮津市から言われたと由良オリーブを育てる会の方から伺いましたが、その根拠と正当性をお尋ねします。

【松崎正樹 産業経済部長】
当該支援につきましては、国の再生利用交付金に準じて農地の再生整備に係る機械リース料、労務費、燃料、作業委託費等について2分の1を支援することとしており、国の制度を改めて確認する中で、今申し上げました労務費につきましても対象経費としていくものでございます。

【星野和彦 議員】
ということは、今回、この441,000円部分というのは除かれないと理解してよろしいですか。

【松崎正樹 産業経済部長】
対象にしていくものでございます。

【星野和彦 議員】
ご答弁ありがとうございます。
先ずはここで一安心をさせて頂きました。
それで、この件につきましてですけども、本年9月の定例会において、オリーブ事業を所管する産業建設福祉委員会でこの補助金交付の遅延問題が議論されました。
そのとき産業経済部の答弁は以下の通りです。
「4月以降、補助金の事務が追いついていないという部分で、それを早急にしなければならないと思っている。
これに対し、当委員会の一員である私は、一日でも早く支払うべきだと断じ、支払い期日を尋ねたところ、10月にずれ込む予定だ。」
との答弁でした。
改めて、この場で今遅延している本補助金518,572円の支払い期日をお尋ねします。

【松崎正樹 産業経済部長】
この補助金事務にかかわりましては、まず交付申請、そして事業をしていただいて事業の実績報告、それをもって市が額の確定をしていきます。
そして、その後、地元から請求書をいただき、それを受理し、そこから30日以内に支払うというのが一連の手続ということでございます。
10月上旬にはということ申し上げておりましたけども、本当に由良オリーブを育てる会の皆様には大変御迷惑をおかけしておりますが、目標は年内に支払えるよう今事務を進めております。

【星野和彦 議員】
やはり今回は何とか、かなり遅れてるわけなんで、商行為とはみなされませんけれども、通常の例えばこれが民間同士の取り決めであれば、訴訟にもなりかねないような内容だと私は思います。
ですから、年内にということを一日も早くお支払いをお願いしたいというふうにここでお願いをしておきます。
それで、今回の補助金交付の遅延問題は平成25年度の本事業立ち上げ時より日夜弛みない努力を重ね、本事業に支えてこられた由良オリーブを育てる会の皆さんにとって、資金繰りで支障を来し、新たな借り入れを迫られ、宮津市の信頼関係を反故にしかねない重大な問題です。
改めてもう一度言いますけども、一日でも早く解決されることを祈念致します。
そして、二度とこういった問題が生じないために、申請書類マニュアルの作成等、市の考える今後の再発防止策をお尋ねします。

【松崎正樹 産業経済部長】
今回のことにつきましては、要領等の作成のおくれに起因したものであり、二度とこのようなことがないよう適正な事務執行に努めてまいります。
また、地元の方々の作業進捗を十分に把握できていなかったこともあり、今後におきましては作業の進捗の把握や生産者の方々との情報交換を密にしていくため、これまで以上に現場に出向いてまいりたいと思っております。
また、この制度につきましては、制度の概要版であるとか、それから記入例等のそういったものはわかりやすいものをつくっていきたいというふうに思っております。

【星野和彦 議員】
今日も由良のオリーブの会の皆さんが来ていらっしゃるんですけども、一安心はしていらっしゃるかと思うんですけども、確実に、何度も繰り返し言いますけども、二度とこういうことを言わさせないようにして頂きたいと思います。
次に2点目の質問として、本年度のオリーブ収穫量が激減したことについてお尋ねします。
今年の収穫量は123kgと前年の759kgに対し16%で、実に84%減少しました。
その要因は、本年2月に短期間で記録的な大雪が丹後地域を襲ったことにあると思います。
この雪害に対して、本年3月に開催された定例会の議案質疑において4名の議員が質疑し、殊に小林議員の質疑と産業経済部長の答弁の概略をピックアップします。
先ず、小林議員の質疑です。
「オリーブは常緑樹で落葉樹ではない。
府中地区の国道沿いにあるオリーブがほとんど折れている。
市内で一番降雪が少ないのは由良地区で、その他の地域でオリーブが育つのか」と。
これに対し、産業経済部長の答弁は以下の通りです。
「市内と京丹後市大宮町で管理委託を受けているオリーブ約1,200本の内で約9割の1,120本を調査したところ、幹そのものから折れて植えかえが必要なもの25本、これは全体の約2%です。
そして枝が折れて収穫に多少影響が出てくるものが143本、これは全体の13%に当たります。
合計しますと168本、全体の15%に影響があると思っている。
オリーブは低温にも強く長期間でなければマイナス10度にも耐えられると言われている。
また、イタリアでは降雪、積雪がある地域で栽培され、宮津市でも栽培できると思っている。
今回の原因分析をマネジメント組織でしたところ、剪定不足で木の形や枝葉の量などバランスが悪く、適正な剪定が必要だというアドバイスをいただき、今後、栽培者に指導して雪に対応できるようにしたい」と。
こういう質疑と答弁のやりとりがあります。
また、1年ごとに収穫量が増減する裏年に今年が当たった可能性も危惧されます。
この本年度の収穫量激減の要因をお尋ねします。

【松崎正樹 産業経済部長】
平成29年産の収量は果実ベースで、ちょっと私の聞き取りが間違っていればなんですが、星野議員、129kgと言われたかと思いますが、私どもがつかんでいるのは149kgでございます。
こういったキロになっており、平成28年産の760kgに対しまして約80%の減収となりました。
この減収は管理を受託している大宮圃場の減収によるもので、平成29年1月及び2月の大雪による枝折れが大きな要因と考えております。
その対策としまして、剪定を行うことにより風、雪に耐えれる強い幹の形成を図っていくこととしたところでございます。
また、裏年の影響があったのではないかという御質問をいただきましたが、今申し上げました大宮圃場では雪による枝折れがあったこと、その対策として剪定の強化をしたこと、また、由良地区の圃場においては昨年と同量の収量がありましたが、育成段階であることから、現段階では裏年の影響について確認できない状況であります。

【星野和彦 議員】
数字のほうを間違えまして、大変失礼を致しました。
ただし、今回の春の小林議員に対する答弁もありますけども、今回の雪の被害の3月時点の見込みでは、全体の15%が影響を受けるんだという説明を議会のほうは受けておるわけですね。
その後、6月、9月の定例会においてもオリーブのお話は出ております。
少なくとも産建福の常任委員会のほうではこれを取り扱っております。
その時に何らここまで収穫が落ちるという報告は出てなかったというところに私は大きな問題がありまして、冒頭に部長おっしゃられた、やはり日頃の業態の注視ですね、この部分をしっかりやって頂きたいとお願いしたいと思います。
続きまして、由良のミカンは本年の2月の大雪で枝が折れました。
しかし、前年同等の収穫があったと伺っています。
その他のリスク要因の分析として日本発の花粉の人工吹きつけを宮津は始められましたが、イタリアの剪定方法とともに、問題がなかったのでしょうか。
寒冷地のトスカーナ地方で実際にやっているかなど、客観的な分析を踏まえてご答弁願います。

【松崎正樹 産業経済部長】
剪定と人工受粉について御質問いただきました。
まず、剪定につきましては、オリーブ栽培に長い歴史のあるイタリアでは、成木時における収量を左右する重要なもので、剪定を適正に実施することにより、毎年の収量の変化を少なくしてると伺っております。
このことから、しっかりした成木づくりのため、4月にイタリアからオリーブ栽培の専門家を招聘して、剪定に関する講習会を開催し、技術習得のもと各栽培地で剪定を実施いただいておるものでございます。
次に、人工受粉についての御質問でございます。
イタリアにおいては3年前から継続して人工受粉の実証に取り組まれており、収量について30~40%の増加が見られた旨の報告がなされています。
これを受けまして、オリーブオイル宮津準備室において本年度から試行的に行ったもので、その効果の確認のためには一定の期間が必要であるというふうに考えております。

【星野和彦 議員】
ご答弁ありがとうございます。
人工受粉については日本では初めてですけども、イタリアではもう既にやっておると。
科学的にいいますと、花のほうで、私も理科の知識しかありませんけども、花というのは風に乗せられて受粉して芽が出てくるということなので、これが人工的にやったからということで、科学的な根拠としてです、今回の収穫が減るような要因になるっていうことは極めて少ないと理解してよろしいですか。

【松崎正樹 産業経済部長】
この人工受粉につきましては、結実の促進という形でやってますので、これ自体で減収になるということは思っておりません。

【星野和彦 議員】
分かりました。
画期的なことでもあるかと思いますので、試行錯誤というところもこれはやむを得ないのかもしれません。
ただ、本事業を本気でやらないと、これは大変な大けがもします。
ですから、何かをやることについては慎重な上にやはり確実に大丈夫だと、それであっても失敗するケースはあります。
ただし、そこら辺の慎重さを持って今後も進めて頂きたいと思います。
上述の通り、収穫量激減のリスクに関して、全体の事業計画というものがありますけども、こちらへの影響をお尋ねします。

【松崎正樹 産業経済部長】
枝折れによります影響で減収はあったものの、剪定により樹勢は回復しており、事業計画において枝折れによる今後の影響はないものと考えております。

【星野和彦 議員】
まだ始まったばっかりで、本数からいくと1万本の計画の中では確かに微々たるものです。
しかし、この間、新聞にも出てましたですけども、黒潮がことしはひの字型に蛇行しておりまして、どこから始まるかというと、九州の南のほうの島のあたりから蛇行が始まるんだと。
ほんの些細なことで蛇行の角度が随分変わるんだといいます。
今回の事業っていうのは、特に最初のときに悪い芽があれば摘まないといけないですし、いい芽はどんどん伸ばさないといけない、そういう状況にあるかと思います。
従って、臆測等で進めることっていうのは非常に私は危ないと思います。
なおかつ事業計画に関しては、昨年の議会でもありましたですけども、まだまだ詰めなきゃいけないところがたくさんあって、その課題に対する回答っていうのがこれからだというふうに答弁があったかと思いますが、そのあたりも含めて、今後、慎重かつ確実に御答弁のほうもお願いしていきたいと。
答弁だけではなくて、ここに携わる皆さんが幸せになれるように事業を進めて頂きたいと思います。
次の3点目の質問に移ります。
オリーブオイル宮津の法人化が遅れている問題についてお尋ねします。
本年9月定例会において、オリーブ事業を所管する産業建設福祉委員会で本件に関して議論され、以下の通り委員長報告がなされました。
「マネジメント組織がまだ立ち上がらず、従業員の社会保障等が確立されていない状況だとの質疑があり、印鑑証明や定款、就労、雇用規則もイタリア語訳をつけ、倍の時間を要している。
9月までに事業計画や収支計画を煮詰めると答弁していたが厳しく、10月上旬を目途としているとの答弁があった。また、普及啓発に関して、他の自治体では市民にオリーブを普及させるための取り組みではあるが、市はイベントばかりが目立つとの質疑があり、イベントはオリーブオイルを知ってもらうための市民の対象である。オリーブオイルの販路拡大とともに、安心して植えてもらえるよう啓発をしていく。両輪で物事を進めていくとの答弁があった。」
この報告を踏まえ、先ず法人化が遅れている要因を改めてお尋ねします。

【松崎正樹 産業経済部長】
法人化が遅れている要因という御質問をいただきました。
一般社団法人オリーブオイル宮津の設立に向けて準備を進めているところでございますが、分科会の中で申し上げましたとおり、法人設立に当たって領事官との手続があることに加え、植栽計画どおり植樹本数の植えつけが進んでいないため、現時点では準備室として運営を延長しているものでございます。

【星野和彦 議員】
異例中の異例と申し上げたらよろしいんでしょうか、半年遅れて、また更に遅れているというところで、一つ問題が出てくるんじゃないかと懸念するわけですけども、まだ法人化されてないマネジメント組織ですね、これにおける運転資金とかバランスシートマネジメント全般についての状況はどのようになっているんですか。

【松崎正樹 産業経済部長】
議会でも回答させていただいていると思っておりますが、平成30年度までは準備室の運営について、立ち上げ支援として全額市の補助金で支援することとしており、現在は資産及び負債はございません。

【星野和彦 議員】
負債は組織としてないということですけども、その辺の運転資金については宮津市が出しているんですよね。

【松崎正樹 産業経済部長】
市のほうから運営補助という形で出しておりまして、その資金をもとに今事業活動をやっていただいておるということでございます。

【星野和彦 議員】
その辺りが、これ一般質問なので、また委員会のところで詳細について議論して、ゆっくり時間をかけて、やはりちょっと見えないことっていうのはこれはよろしくないと思います。
ですから、ちょっとここはまた日を改めて議論したい思います。
それとこのマネジメント組織ですね、これにおける管理職と職員の労務管理については現在どうなっていますか。

【松崎正樹 産業経済部長】
この準備室では日伊文化交流協会の会長と同会職員をそれぞれ代表と事務局長とし、事務の執行管理に当たっていただいております。そのほか雇用する2名の職員の労務管理は、この当該代表と事務局長が行っております。
こうした中で、市も代表及び事務局長と定期的にミーティングを行い、業務の執行や労務管理について確認をさせていただいているところでございます。

【星野和彦 議員】
日伊文化協会との関係で、イタリアっていうのはご高承の通り、シエスタっていう風習がありますですよね。
どういうことかと申し上げますと、スペイン、イタリアの方なんかっていうのはお昼ご飯を食べて、ゆっくり大体2・3時間は休憩をとります。
ですから3時ぐらいまでお店が閉まるケースもいっぱいあります。
これはもう慣習の問題なんですよね。
私は何が言いたいかっていうと、委員会のほうでも詳細について議論されました。
ある議員に関してはイタリアの方の動向を見られてる方もいらっしゃいます。
やはりいろいろと市民の方からも不信感と言えばいいんでしょうか、これが出てきてる部分もあるかと思うんですよ。
だから労務管理っていう意味で、やるべきことをやっていれば問題ないかと思うんですけども、組織化がまだ進んでいませんっていうところに問題があるのか、あるいは組織自体に問題があるのか。
マネジメント組織自体の存在と方向性について、また議論をせざるを得ないなということを、また委員会のほうで取り上げたいと思います。
ここで一番最も気にかかっているのが、職員の方の社会保障ですね。
これは前、去年一般質問に臨みましたですけど、もともと協力隊のほうで来られた方がこちらの職員ということで採用されてます。
その方なんかを見てて、やはり人間ってお会いした時に感覚って分かるんですよね。
余り元気そうじゃないんですよ。
その辺りのやっぱり不安っていうのが随分高いかと思うんですけども、この辺のケアっていうの如何ですか。

【松崎正樹 産業経済部長】
まず、職員の雇用とか労災保険につきましては、もう既に加入をしております。あと社会保険、厚生年金については法人化をした時点で加入していくこととされておりまして、今申し上げました植栽を早くして、それを見きわめた上で、また領事官の手続を踏まえた上で早期に法人化をしていきたいというふうに思っております。

【星野和彦 議員】
一日も早くこちらも法人化ということを進めないと、これから本当に大きな問題になりかねないという状況にあると思います。
今回のマネジメント組織に地域おこし協力隊を活用されておるわけですけど、こちらのちなみに労務管理と言えばいいんでしょうか、この辺りはどうなっておりますか。

【松崎正樹 産業経済部長】
現在、地域おこし協力隊につきましてはオリーブ栽培の活動、それから徐々に商品が出てきてまいりましたので、これの宣伝・普及活動と、これ2本を両輪に活動をいただいております。
この活動の指示というんですか、指導は基本的に準備室が行って活動を行っておるということでございます。

【星野和彦 議員】
先ほどの職員の方と同じですけども、やはり逆の立場で考えて頂きたいんですが、我々は宮津出身です。
ですから帰ってきて働くのは知り合いもいっぱいいますけども、見知らぬ土地に来られて何とか頑張ってみようという方のやっぱりお気持ちを斟酌しながらケアをして、少なくとも途中で辞められるようなことがないように、確実に守ってあげてほしいし、この事業が成功して、皆が笑いで溢れるような組織にして頂きたいと切にお願い致します。
先ほどイベントのお話をしましたですけども、苗木拡販に余り直接つながらないイベントが頻繁に開催されているということをよく耳にしますし、私もそう思います。
この弊害を上述の産業建設福祉委員会でも指摘していますが、この現状と改善策があればお答え願います。

【松崎正樹 産業経済部長】
先ほどの答弁で申し上げましたが、徐々に商品化が進む中で、宮津産オリーブの浸透や販売先の確保には宣伝など普及活動も重要と考えております。
こうした中で、特に由良オリーブの会、生産者みずからイベントに参加していただくようなこともございまして、この場合はやはり、直接消費者に栽培のことや商品の加工工程などの説明を行う、互いの顔が見える大切な機会というふうに思っております。
そういう中で、商品化をしている唯一の生産者である由良オリーブを育てる会には、今年度はこれまでに7回の出店をいただいたと思っております。
今後におきましても基本はやっぱり植樹、収穫作業、これを進めていかなければならないというふうに思ってますので、この作業に影響の出ない範囲で、オリーブ事業の普及や商品の販売促進のためにPRにも協力いただけるようお願いをしていきたいというふうに思っております。

【星野和彦 議員】
ご答弁ありがとうございます。
折角の日伊文化協会との繋がりができて、その中でどんどん「カンツォーネ」を聞こうとか、今までだったら宮津であり得ないようなイベントも組まれて、文化の部分からいいますと、非常に楽しい事業だなという捉え方もあります。
しかし、そこで支えていらっしゃる特にこの由良オリーブの会の皆さんに関しましては、農作業を停めて、そちらに従事されることがあって、お家の身の回りの農作物の作業ができないというところの弊害も出てます。
やはりその辺を斟酌して、今は何をすべきだということを明確にして、今後のイベントの内容についてもご検討頂きたいと思います。
次に4点目の質問を致します。
由良地区以外のオリーブ事業の進捗状況と情報共有についてお尋ねします。
本年3月の定例会において、日置地区の住民の方を中心に世屋オリーブを育てる会が新たに組織されたこと、また、オリーブ事業に関心を示す市外企業が複数出てきたと産業経済部長から説明がありました。
先ず、世屋地区でのオリーブ事業の展開について、現況をお尋ねします。

【松崎正樹 産業経済部長】
世屋地区における栽培の状況ということで御質問いただきました。
世屋地区で栽培を希望する農業者があったことから、準備室が圃場を確認を行った上で、積雪等の影響も懸念されるため、テスト的に本年春、まずは少量の12本を植樹し、冬を越した後に植樹の判断をされることとなったものでございます。
その結果を見て栽培を可能と判断された場合には、意欲のある生産者に引き続き支援をしていきたいというふうに考えております。

【星野和彦 議員】
先ずはテストをしてからということですね。
何故これを言いますと、もともと平成25年度からこの事業が始まったわけですけども、26年3月に上世屋と由良地区で300本テストをしておりまして、結局のところ上世屋っていうのが豪雪地帯です。
従って、オリーブのほうがはっきりと失敗しました。
それをあえてまた世屋地区でやるのかというところにやはり不安を覚えるのが普通じゃないかと思うわけです。
ですから、いきなりやるってんじゃなくて、今回は先ずはテストをしてから、上世屋でなくて下世屋ということでよろしいわけですね。
であれば、まずテストをして、これも補助金を出すわけですから、それと補助金が云々というよりも、やってやろうと言ってる方を悲しませることが一番の不幸だと私は思います。
ですから慎重にこちらのほうもご検討をお願いしたいと思います。
次に、オリーブ事業への企業誘致について、現況をお尋ねします。

【松崎正樹 産業経済部長】
企業誘致についての御質問をいただきました。
現在、栗田地区におきまして、遊休農地を中心とした約4ヘクタールのまとまった農地を候補地としまして、地権者の皆様にオリーブ栽培に向けて自作、自分で栽培できないかということを、または貸し付けの意向を確認させていただいているところでございます。
この意向の中では貸し付けの希望が多いことから、企業参入によるオリーブの植樹に向けて現在調整を行っておるところでございます。

【星野和彦 議員】
1万本計画の根幹をなすところ、そこは今までの議会における質疑等、答弁に関していいますと、企業が来るか否か、ここに全てがかかっているというふうに私は捉えておるんですけども、今の状況でいくと可能性としては如何ですか。

【松崎正樹 産業経済部長】
企業参入するというのは企業誘致でもそうなんですけど、相手があることですので、やっぱりどうなるかわからないというのがありますけども、できる限り参入いただけるように鋭意交渉をしていきたいというふうに思っております。
以上でございます。

【星野和彦 議員】
相手先のあることなんで、ここでは言えない部分で部長の腹の中には可能性についても計算ができてるんだろうと思います。
ただし、もともと3年9カ月にわたって由良オリーブの会の皆さんがこの実質宮津のオリーブを支えてきてこられてます。
今後もやはり由良オリーブの会の皆さんの果たされる役割というのは非常に大きいと思うんです。
それに当たりまして、ほかのエリアで市のほうとしては考えているんだということを言われるわけですけども、それが由良の方に伝わっているんだろうかと。
要するに情報共有ですね、これをもっと密にしたほうがいいんじゃないかと思うんですけど、その辺は現状としても如何ですか。

【松崎正樹 産業経済部長】
今の誘致にかかわっての情報共有という捉まえをさせていただきました。
まだ未確定の状況であったということで、地元のほうには、この件に関しては、情報としてはお伝えしてないというふうに思っておりますが、大体見通しがついてきたら、当然、情報共有を図りながらやっていきたいというふうに思っております。

【星野和彦 議員】
企業のことなので、再三申し上げますけども、言えないこともあります。
ただし、1点目の例えば日置地区ですね、世屋のほうになりますけども、こちらともやっぱり状況とか、この辺の共有も、やはり市が推進されるんであれば、率先して共有を働きかけて頂きたいと思います。
それで、現在、由良に設置している宮津市所有の搾油機ですね、油を搾る機械が2台置いてあるわけですけども、これが市内全体の搾油作業、これをカバーしております。
その光熱費は由良オリーブを育てる会が負担されています。
徐々に市内でオリーブ栽培が進み、光熱費の負担もふえていますが、搾油量に応じた分担ができないかお尋ねします。

【松崎正樹 産業経済部長】
市が購入しました搾油機につきましては、由良オリーブを育てる会に貸与し、同会の加工場で搾油が実施されております。
お尋ねの光熱水費等の必要経費につきましては、利用者へ実費相当を求められるべきものであるというふうに思っております。

【星野和彦 議員】
今年はもう終わりだと思うんですけども、これから精算もできないことはないかと思うんですね。
その辺の実費精算は市として進めて頂くと捉えてよろしいですか。

【松崎正樹 産業経済部長】
地元から調整に入ってほしいという依頼がありましたら、市もしっかりサポートしていきたいというふうに思っております。

【星野和彦 議員】
じゃあ、要望があれば、ぜひ動いて頂きたいと思います。
最後、5点目の質問として、今後のオリーブ事業拡大の方策についてお尋ねします。
オリーブの苗木を市民の皆さんが購入する場合、現在1本2,800円で、その3分の2が補助金の対象となり、実質約900円が個人の負担となります。
しかし、オリーブを産業として育てるという市の考え方から、10本以上購入した場合が対象となると、こういう制限があり、市民の皆さんが家にオリーブを植えようという盛り上がりが欠けているように感じるのは私だけでしょうか。
オリーブ事業に取り組む全国の市町では、小学校の卒業式に児童へオリーブの苗を1本贈るところもあります。現在の補助金制度を拡大する計画についてお尋ねします。

【松崎正樹 産業経済部長】
このオリーブ事業につきましては、まずはオリーブ産業を育てていくと。
ここで外貨を稼ぐような産業にしていくということで取り組んでおるものでございます。
したがいまして、現在10本という制限をつけておりますけども、これはやっぱり業として成り立っていただく生産者、まずここをしっかり支援していくべしというふうに思っており、こういった最低の制限本数を設けさせていただいておるということでございます。
市民への普及という御質問もいただきました。
これにつきましては、こういった植樹がふえてくる中で、将来的には例えば児童でありましたら教育委員会等とも調整しながら検討していきたいというふうに思っております。

【星野和彦 議員】
産業という部分で新たに始めて、何度も申し上げますが3年弱というところでございますが、ちょっと皆さんが機運を高めるという意味で、最初から産業として取り扱うんだという方とは別で、やはりそういう風が吹けばおけ屋がもうかると、ビジネスの講習会なんかでよく題材に出ますけど、なぜ風が吹いたらおけ屋がもうかるんだと。情報でも自分一人だけが許容したら会社の中でハッピーで評価を受けるという人間はかえってダメになるんですね。
そうじゃなくて、やはり広い視野を持って、相手がもうかって、自分がさらにもうかるんだという仕組み、その観点から申し上げますと、やはり個人への推奨と、それから産業として育てていく補助金と、この使い分けっていうのも今後必要じゃないかというふうに思います。
今のところでは予算化等されてないかと思いますけど、部長が今おっしゃられた「今後検討していきたい」というところに期待をしたいと。
その時に間違って頂きたくないのは、産業としてと、それから広告宣伝費と同じ扱いなんですけど、企業の観点からいいますと、これ産業事業ですから同じようなことを言いますが、その観点の予算も必要じゃないかということを敢えてここで申し上げたいと思います。
次の質問に移りますけども、100年以上の歴史を誇る小豆島を除いて、広島県江田島市や長崎県雲仙市など、近年、オリーブ事業に取り組んでる自治体について、動向調査をなされているかお尋ねします。

【松崎正樹 産業経済部長】
後発地域の動向に係る御質問でございました。
議員も少しお触れになりました江田島市ではオリーブ栽培を行っている企業や農協、市等で組織するオリーブ振興協議会が情報誌を年間4回発行され、市内外に情報発信しておられるほか、オリーブの冠を作成し、日本陸上競技連盟の公認レースであるヒロシマMIKANマラソン等で使用されるなど、PRに努められています。
また、長崎県の雲仙市では、オリーブ栽培を行う青年農業者や観光事業者、行政等で組織するオリーブ協議会が市営公園の一角にオリーブを植え、オリーブ公園として整備され、PRとか誘客推進を図っておられます。
それ以外に大分県国東市では、東京で開催されるオリーブのイベントへの出店や収穫体験ツアーの実施、神奈川県二宮町では統一ブランド湘南オリーブの取り組み、また鹿児島県日置市では、オリーブの専門店を設置されるなど、それぞれ販売促進や情報発信等に努められております。
本市としましても、これらの他市町の情報発信等の取り組みを参考にしてまいりたいというふうに考えております。

【星野和彦 議員】
昨年の一般質問で申し上げたんですけど、やはり宮津市も後発です。
私は江田島を去年の夏に訪問したわけですけど、少しあちらのほうが優先してます。
彼らの優位なところっていうは、地元の大手企業がついてます。
これは大金持ちの会社です。
その辺の環境の違いっていうのは大きくあります。
しかし、学ぶ所もたくさんあるんですね。
江田島市に関して申し上げますと、帰ってから、宮津のほうに、フェイスブックを通じてやりとりをさせて頂いています。
また、由良オリーブを育てる会の皆さんとも繋がって頂きまして、情報交換をして頂いております。
江田島市を見ますと、オリーブ事業の取り組みについては去年12月の一般質問にも再三言いましたけど、官民連携の徹底、それから現在も事業の結実に向けた戦略と戦術を実践しています。
殊に無農薬栽培による他地域との差別化と市民へのオリーブ浸透を図るイベントの開催などは物すごく徹底してるんです。
これは協力隊で来られた方の手腕にもよります。
彼らのヒストリーっていうのが、ヒューマンヒストリーを見ますと、一人はテレビ局にいらっしゃった女性であったり、あるいはもう片方の方は図書館の方で、都会のほうから来られたわけですけど、かなり知識に明るい方です。
こういう人をやっぱりとって戦略と戦術をはっきりと打ち出して、それを実践していらっしゃいます。
議員の中から、これは視察報告会の時ですか、話が出たと思うんですけど、昔は議員と一緒に職員の方も関係の部の方が一緒に視察に行かれ、今はそうはされてなく、残念だというお話を伺いしたことがあります。
今もできないのであれば、我々が行った後、繋ぐことは可能なんです。
これはSNSがあったり、あるいは電話だってメールだってある時代です。
もっともっと貪欲に他のエリアで学ぶべきところ、あるいは交流をしていくことによって、色んな問題が出てきた時、例えば今、江田島ではゾウムシの被害が非常に広がっているんだということをフェイスブックで伝えてきてます。
それに対する対策等、学ぶべきところ、先に一歩先、まだ尻尾は捕まえられる状態ではありませんけど、その先に行ってるところっていうのは一番事業を進める上で参考になるところが多いと思いますので、是非そこを遂行して頂きたいと思います。
昨年の12月と本年6月の一般質問でも触れましたが、オリーブを宮津市内と京都市内で行われるマラソン大会などで入賞者の冠に使用すべくワークして、オリーブと地元観光のPRに活用することは如何なものかということをちょっと申し上げたわけですけども、進捗状況をお尋ねします。

【松崎正樹 産業経済部長】
オリーブの葉っぱによりまして冠製作とそれに係るPRということでございます。
以前の回答では、私のほう、もう少し植樹が終わってからの検討という回答をさせていただいたというふうに思っておりますが、ただ、基本的には本市のオリーブを知っていただく機会の一つになるというふうには、考えには変わりはございません。
そういう中では、先ほどの広島の例なんかもありますけども、冠の製作について準備室と検討してまいりたいというふうに考えております。

【星野和彦 議員】
宮津市でそういうイベントで陸上競技大会等でということになると、所管がまた異なる、協調してやって頂かないといけない部分もあるんですけど、実は私、昨年、京都マラソン、駅伝大会もありますので、それぞれのスポンサーと、それからそこの陸上の協会ですね、こちらに直接連絡をしました。
見事に断られました。
京都府の一市町は無料で乗っかってくると。
要するに全部テレビ中継されるわけですよ。
それに出るっていうのは非常に難しいですよと。
「お宅の市は市でそういう大会で冠を作られたことはありますか」ということを言われて、「実績もないところはだめです」と言われました。
これはもうすぐ夏の時だったと思うんですけども、部長にもお伝えしたと思います。
しかし、先ずは第一歩を踏み出して、市内のそういう大会で冠を載せていくんだというようなことから始めていけば、いつかは全国中継のところで出てくる可能性があります。
でも、何もしなかったら可能性は生まれないんです。
それから、是非こちらのほうも先ずは市内でできるんであれば、前向きに検討頂きたいと思います。
今回もたくさん質問させて頂きました。
本件の問題とは別に、今般、市議会の質疑や常任委員会で問題視したことが確実にクリアされていないことが気にかかりました。
従って、今回、議会事務局の皆さんの協力を得て、会議録から当時の質問と答弁を敢えて引用しました。
日頃の業務が多忙なことは十分理解できますが、今後、指摘事項に対する確実なケアをご留意願いたいと敢えてここで申し上げておきます。
本題に戻りまして、このオリーブオイルは風味と健康面から国内需要が増加し、現在の年間消費量は約5万トンと言われていますが、9割以上はスペイン、イタリア産です。
小豆島では約100年前から生産されていますが、国内産はわずか0.05%のシェアに留まり、有望な市場であること、栽培管理が容易なこと、鳥獣の被害が少ないことなどの理由から、近年、全国各地で新規参入が相次ぎ、生産が拡大しています。
宮津市のオリーブ事業の経緯は、平成25年に総務省モデル事業に採択され、平成26年3月に由良、府中、世屋でオリーブ300本の実証実験を開始しました。
平成27年9月には、日伊文化交流協会の会長が宮津市で成育状況を確認、産業化は可能だと評価され、本格的なオリーブ栽培が推進されました。
平成28年3月には日伊文化交流協会と連携協定を締結、栽培や加工技術の向上等の協議を開始し、現在のオリーブの植樹数は1,370本となっています。
宮津市のオリーブ事業に関する今後の計画は、オリーブオイルの中で最高級と言われるエキストラバージンオイルを量産すること、現在約2ヘクタールの耕地面積を25ヘクタールにして2年後の平成31年度に1万本を植樹し、7年後の平成36年度は約60トンの収穫量、1万本全てが成木になる14年後の平成43年度には、約100トンの収穫量を目指しています。
民間企業でも新たな事業を起こす時は実に様々な問題が発生します。
しかし、その問題を一つずつ解決していく知恵と勇気が新たな活力と未来の扉をこじ開けていきます。
その努力を怠ると、後々大きなしっぺ返しをくらうことは歴史が証明しています。
オリーブの花言葉は平和と英知です。
平和は旧約聖書に英知はギリシャ神話に由来しています。
旧約聖書のノアの方舟の中で、神が人々の悪行を見かねて洪水で人間を滅ぼすとノアに告げ、ノアとその家族、全ての動物のつがいを乗せる方舟をつくるように命じました。
洪水のさなか、ノアが方舟からハトを放すと、ハトはオリーブの若葉をくわえて戻ってきたので、ノアは洪水が治ったことを知ったと伝わります。
この言い伝えが元になり、オリーブは平和の象徴となったそうです。
ギリシャ神話では、神々のゼウスの娘アテナとゼウスの兄ポセイドンがある都市をめぐって争っていました。
他の神々は最も人々の役に立つものを創造したほうに都市の支配権を与えることになり、アテナはオリーブの木を植え、ポセイドンは一説では塩の泉とも言われておりますが、馬を創りました。
神々は馬よりもオリーブが人間人々のためになると認め、その都市をアテナに与えました。
それが現在の首都アテネだと言われています。
そして、アテナは英知、芸術、工芸、戦略をつかさどるギリシャ神話の女神として崇拝され、アテネの祭りの競技の勝利者にはオリーブの冠が与えられるようになったそうです。
宮津でオリーブが始まって3年9カ月が経過しました。
今回の一般質問で指摘した問題点を一つずつクリアして頂きたいと思います。
そして、今後また新たな問題が発生するかもしれません。
しかし、官民ともに手を携え、英知をもって難局を乗り切るオリーブ事業であってほしいと思います。
そして、今から14年後、この事業に携われていらっしゃる皆さんの頭にオリーブの冠が載り、平和な宮津となっていることを祈念し、私の質問を終わらせていただきます。
質問の最後に当たりまして、今日たくさんの由良の方も見えられているんで、市長、皆さんに一言頂けるるとありがたいです。

【井上正嗣 市長】
オリーブについてたくさんの御質問いただきましてありがとうございました。
宮津のほうはオリーブの宮津を目指して今頑張っているわけですけども、一大生産地になるには相当の一朝一夕にはできるもんじゃないと思ってまして、相当な力を蓄えていかなきゃならないんではないかなと思ってまして、問題点、課題を克服しながらオリーブの宮津を目指していきたいと思ってるところでもございまして、やっぱりオリーブそのものも生産、成木になって実がたくさんなるには10年かかるというふうに言われていますし、またイタリアのほうではおじいさんは孫のためにオリーブを植える。
お父さんは子供のためにワインを植えると言われているようで、将来の大きな糧になることを願ってそういうふうに言われているんだというふうに思いますけども、宮津も同じように10年、20年後にしっかりと宮津を支えてる大きな産地になってるということを、それにしていかなければならないということを、しっかりと的を絞って、これからも力強くオリーブの一大産地を目指して、由良の皆さんを中心にしてなし遂げていきたいというふうに思っているところです。
何よりもやっぱりやっていただくのはオリーブを生産していただくそれぞれの地域の皆さんですので、地域の皆さんを一生懸命また支援をしながら、そういう一大産地を目指して、宮津を全国の中でもオリーブの宮津と言われるような方向を目指して頑張っていきたいというふうに思っております。