一般質問と質疑 ~2022(令和4)年12月定例会2・3日目~

議長を除く13議員全員が12月7日(水)・8日(木)の2日間に理事者へ質問や提案を行いました。
一般質問の終了後に質疑が行われました。
【私の一般質問の原稿と動画】
1.自転車を活用した町づくり
近年、自転車を活用した観光や通勤が広がっている。
市内の全域を繋ぐ電動アシスト付き自転車のレンタル事業や丹鉄が始めた自転車で交通機関を利用できる体制の拡大等を提案する。
2.オリーブ事業と鳥獣被害対策の現状と課題
今年で9年目となるオリーブ事業は植栽本数が約5千本だが、近頃シカの被害に遭っている。
自動車との衝突なども含め年々深刻になる鳥獣被害の対策とあわせて現状と課題を尋ねる。

無所属クラブの星野和彦です。
通告に従い一問一答方式で2点質問します。
1点目は、「自転車を活用した町づくり」で、2点目は「オリーブ事業と鳥獣被害対策の現状と課題」です。
質問の概略は、1点目が「観光や二酸化炭素CO2削減など自転車を活用した施策の経緯・現状・今後の構想」、「自転車を活用する国内外のトレンド」の順にお尋ねし、「SDGsと観光の視点から自転車を活用した町づくり」をご提案します。
2点目の質問では先ずオリーブに関して、「事業開始後9年間の経緯と現状」、「課題と思われる事案4件」、「由良・日置・府中の地域間連携と次世代への承継などに関する宮津市の根本的な方針」の順にお尋ねします。
鳥獣被害対策については、「生息数・捕獲数・被害の状況と金額の現状」、「課題と思われる事案4件」、「鳥獣処理施設の臭気対策」の順にお尋ねします。
理事者の皆様には具体的かつ簡潔なご答弁を頂き度く、お願い申し上げます。

Ⅰ.自転車を活用した町づくり
1.観光やCO2削減など自転車を活用した施策の経緯・現状・今後の構想
(1)宮津市
では1点目の質問「自転車を活用した町づくり」について、お尋ねします。
近年、自転車道の整備が進み、SDGsの観点とコロナ禍のパンデミックも重なり、先進国で自転車の利用者が増えています。
昨年11月の日本経済新聞でも特集されましたが、アメリカ合衆国に於ける温室効果ガスの最大の排出源は交通機関であり、その中でも乗用車と小型トラックが約6割を占めています。
首都ワシントンD.C.の自転車で通勤する人の割合は、1990年代には僅か1%でしたが、2000年代に自転車レーンの建設が始まると、2018年までに自転車通勤者の割合は5%に増えたそうです。
「自動車を自転車に乗り替えれば、電気自動車に替えるより一早く温室効果ガスを削減できる」そんな一節もありました。
一方、国内に於いても都市圏や観光地で自転車の利用者が急増しています。
先月の勤労感謝の日、東京都はレインボーブリッジの首都高速道路部分を通行止めにして自転車でお台場などの臨海部を走行するイベントを開催し、冷たい雨にもかかわらず約2千人が集まりました。
スターターを務めた小池百合子知事は「環境と健康に良い自転車を楽しめることを東京の魅力に加えていきたい」と開会の意義を伝えました。
このようなトレンドの中で、自転車道や駐輪場の整備、電動アシスト付自転車(E-BIKE)の展開、交通事故や盗難の対策なども必要になりますが、宮津市に於ける観光や二酸化炭素CO2削減など自転車を活用した施策の経緯・現状・今後の構想をお尋ねします。
(2)京都府・海の京都DMO・丹鉄のサイクルトレイン・民間企業等
京都府、海の京都DMO、丹鉄のサイクルトレイン、民間企業などに於ける観光や二酸化炭素CO2削減な

ど自転車を活用した施策の経緯・現状・今後の構想をお尋ねします。
2.自転車を活用する国内外のトレンド
冒頭でも申し上げましたが、国内外を問わず、自転車を活用する町づくりが増えています。
ここで主な国内外の取組事例を幾つかピックアップします。
先ず無所属クラブと個人で視察した事業を挙げます。
①2007年にユネスコの世界遺産に選ばれた島根県太田市の石見銀山では近辺約3.5kmにわたり自家用車の乗り入れを禁止し、徒歩、自転車、電動アシスト付自転車とシャトルバスで観光します。
②びわ湖一周サイクリング「ビワイチ」を滋賀県と共に推進する守山市では自転車の購入費を補助する制度があり、タクシーや漁船に自転車を搭載することもできます。
③2020年2月に訪問した東京都千代田区では株式会社NTTドコモと提携した「コミュニティサイクル事業」の実証実験を開始、電動アシスト自転車800台を85か所に設置し、年間利用回数・約360万回、登録者数・約13万人の実績をあげていました。
④神奈川県鎌倉市では、ソフトバンクグループの社内起業制度から生まれたOpen Street株式会社が運営する「HELLO CYCLINGシェアサイクル」で電動アシスト付自転車を江ノ電の駅や神社仏閣等41か所に設置し、スマフォのアプリで設置場所や空き状況を検索し、支払いを決裁します。
尚、Open Street株式会社は「HELLO CYCLING」の他に、スクーターのシェアサービス「HELLO SCOOTER」、駐車場のシェアサービス「BLUU Smart Parking」も展開しています。
因みに、「HELLO CYCLING」の電動アシスト付自転車の設置場所は全国のコンビニエンスストア・大学・病院・駅など約4千ヵ所あります。
次に自転車を活用したまちづくりを推進する主な団体を2件あげます。
①その名の通り「自転車を活用したまちづくりを推進する全国市区町村長の会」は全国1,741市区町村の内409、約23%が加入しています。
京都府内では八幡市・京田辺市・木津川市・精華町が参加しています。
②「自転車活用推進官民連携協議会」は、2017年に施行された自転車活用推進法に基づき、各府省庁が一体となる自転車活用推進本部が創設され、民間団体と共に本協議会が創設されました。
自転車通勤の拡大、良質な自転車の供給、交通安全教育の推進、サイクルツーリズムの推進等に取り組んでいます。
残念ながら自転車を活用する世界の国々を逐一お話しする時間はないので、主なトピックスを挙げます。
世界一の自転車保有率を誇るのはオランダで、国民一人当たりの自転車保有率が1.1台だそうです。
ドイツやイギリスなどでは自転車専用の高速道路「サイクル・スーパーハイウェイ」を展開し、東南アジアの国々でも自転車専用レーンが定着しています。
以上おおざっぱではありますが、自転車を活用する国内外のトレンドの概略をご説明しましたが、宮津市でも今後検討できそうなものはないでしょうかお尋ねします。

3.提案
(1)SDGsの観点から市職員や市民の通勤手段を自動車から自転車に変更する奨励制度
SDGsの観点から市職員のみならず市民の通勤手段を天候の良い時のみ自動車から自転車に変更する奨励制度の確立をご提案しますが、如何でしょうか。
【第2質問】
市役所の駐輪場の整備。
(2)観光への活用等
観光へ自転車を活用する視点と持続可能な地域公共交通の補助として以下3点をご提案します。
①天橋立から橋北地域・旧宮津町内・栗田半島・由良の「安寿と厨子王」伝説の足跡など市内全域と繋がる体制作り。
②京都府全域・海の京都DMO、JR西日本・丹鉄・丹海バス・タクシー会社との連携。
③スマフォのアプリを活用する電動アシスト付自転車のシェア・サイクリング・サービス会社の誘致。
以上3点についてお尋ねします。

Ⅱ.オリーブ事業と鳥獣被害対策の現状と課題
1.オリーブ事業
(1)事業開始後9年間の経緯と現状
事業開始後9年間の経緯と現状をお尋ねします。
2016年12月の一般質問概要】
宮津市のオリーブ事業に関する①広域連携の構築、②組織体制、③事業計画、④オリーブ事業開始時より知識と経験を積み2017年3月で任期満了する地域おこし協力隊員の処遇を問い、以下の通り答弁があった。
①2016年3月に提携した日伊文化交流協会(以下日伊協)の栽培技術を固め、当市が発信する過程で、産地間競争を念頭に検討する。
②日伊協と共同で事業全体をマネジメントする民間組織を2016年度内に設置する。
③2019年度迄に1万本を植樹し、成木になる2031年度迄の収穫と売上高を算出済で、粗利益を加えた詳細な事業計画を今後作成する。
④地域おこし協力隊員本人と協議し、改めて事業参加できる環境整備等対応を検討中である。
2017年6月時点の進捗状況は以下の通り。
①未達 ②オリーブオイル宮津を設立(法人登録は未だ) ③未提出 ④オリーブオイル宮津に就職。
(2)課題
①苗木1万本計画から現状約5千本に留まった要因と減少後の採算シミュレーション
次に課題について4件伺います。
1点目に苗木1万本計画から現状約5千本に留まった要因と減少後の採算シミュレーションをお尋ねします。
cf.要因:誘致した企業がDeclineと大宮ファーム、苗木:4,696本、収穫量:800kg(前年600kg)、搾油:R2

年度48.8ℓ・R3年度54.1ℓ、搾油率:約8%、
【第2質問】
R3年度の売上高はシミュレーション上18百万円に対して2.9百万円で、進捗率16%です。
R7年度の売上高はシミュレーション上53百万円ですが、達成できますか。
【所見】
目標値に対する計画の見直しも大切だと思料される。
しかし、市全体では唯一伸びている事業。
②中核組織となる法人設立と商標権の確立
中核組織となる法人設立と商標権の確立についてお尋ねします。
【第2質問】
地域団体商標に関しては、特定の人に利するのではなく、法的な根拠を確認して、由良・日置・府中地区を中心とした宮津オリーブ生産者の会の皆さんの総意が前提だと思います。
如何でしょうか。
cf.地域団体商標はNPO法人or協同組合
③「苗木購入」「土地改良」「加工場設立」等への補助制度
「苗木購入」「土地改良」「加工場設立」等への補助制度についてお尋ねします。
④懸案の㈱オリーブオイルに宮津市が無償貸与した備品の返還
懸案の㈱オリーブオイルに宮津市がオリーブの中核組織になることを見込んで無償貸与した備品の返還についてお尋ねします。
2020年9月の一般質問で「株式会社オリーブオイル宮津への運営補助は2019年3月末に終了し、同年12月に催促状を出したが、未返還だ。今後、適切に対処したい。」との答弁がありました。
3年以上にわたり貸したものが返ってこないのであれば異常な状態です。
現況をご説明ください。
(3)由良・日置・府中の地域間連携と次世代への承継などに関する宮津市の根本的な方針
由良・日置・府中の地域間連携と次世代への承継などに関する宮津市の根本的な方針をお尋ねします。
2.鳥獣被害対策
(1)生息数・捕獲数・被害の状況と金額の現状と近隣市町の担当職員数
昨年12月の一般質問でのご答弁で、令和2年度の捕獲数は1,168頭で、イノシシ51%、シカ34%で、狩猟者免許所持者は66人、うち狩猟者登録43人、有害鳥獣の被害防止捕獲班員19人、農作物の被害額は490万円でした。
生息数・捕獲数・被害の状況と金額の現状と近隣市町の担当職員数をお尋ねします。
(2)課題
①被害状況の正確な把握

鳥獣被害対策に関する課題を4点伺います。
先ず1点目は被害状況の正確な把握が求められていることです。
cf.自動車の被害、農家は逐一報告しない、現場に出かける「よりそう行政」
②侵入防止柵のメンテナンス及び補助
侵入防止柵のメンテナンス及び補助に関してお尋ねします。
cf.オリベーの罠、須津地区の鳥獣被害対策の取組
③防止柵内に棲む獣の駆逐
防止柵内に棲む獣を駆逐する問題が顕在化しています。
由良の住民からのご提案で、昨年2月に宮津市の2022年猟友会研修は、京都府猟友会福知山支部の皆さんにご指導と応援を頂き、従来の「猟犬」から「ドローン」のスピーカーが発する「猟犬の鳴声」に変えて巻狩(まきがり)を行い、シカを4頭捕獲しました。
来年もドローンによる巻狩りを再開し、その後、ドローンによる警備か据え付けの拡声器の設置をご提案します。
④頻繁に出没するクマの対策
読売新聞12月2日の記事で、福知山・舞鶴・綾部・京丹後・宮津・南丹の北部5市のクマの目撃情報は本年11月末時点565件で、福知山は前年91件に対し110件、京丹後市は前年99件に対し190件で、餌のドングリが不作だったことが要因ではないかと推察しています。
頻繁に出没するクマの対策についてお尋ねします。
【第2質問】
地域おこし協力隊の活用。
昨年12月の一般質問で、事業の選択と集中の観点からジビエの市内事業者を補助する施策の一環として地域おこし協力隊の活用をご提案し、地域の課題解決など制度の趣旨も踏まえ、検討したいとの答弁でした。
昨日の松本議員の一般質問でも答弁されましたが、宮津市では地域おこし協力隊の任期満了後に定住した人は14名中9名で、当初、市が示した特定分野の活動を行う「ミッション型」でしたが、現在は地域で自ら生業を起こす「提案型」と地域から提案があった地域課題を解決することを目指した定住する人を地域おこし協力隊に募集すると伺いました。
いまジビエのみならず鳥獣対策全般を扱う事業が必要とされていて、定住する趣旨を踏まえた地域おこし協力隊をご提案します。
【所見】
最近、各新聞やテレビで取り上げられていますが、兵庫県多可町で7年前からシカ肉を使ったペットフード製造場を営むNPO法人cambioが「24時間、自由に搬入できる無人シカポスト」を作りました。
多可町のシカ捕獲数は年間およそ400頭で、そのうち約300頭を埋めたり焼却したりして処分していましたが、「シカポスト」の利用者が増え、多可町の焼却処分費用は5分の1以下に減ったそうです。
今後、NPO法人cambioは「シカポスト」を増やし、まとめて搬入してもらうことで運送のコストなどを軽減し、

特殊技術で解凍して良い状態のシカ肉として使おうと実験中だそうです。
因みに、「cambio」とはスペイン語で「変化」という意味を持ち、同社のシカ肉のペットフードは完全無添加の確かな品質という意味を込めて「TASHIKA」というブランド名で年間7千個販売しているそうです。
ご高承の通り現在、鳥獣被害対策は、宮津市に拘わらず全国で深刻な問題になっています。
丹精込めて作った農作物が被害に遭うと、農家の皆さんの根本的なやる気を削ぐ大変な問題です。
喫緊の課題として宮津市の迅速かつ正確なご対応として来年度予算に鳥獣対策の予算が計上されることを希求します。
(3)鳥獣処理施設の臭気対策
最後の質問をします。
昨年12月の一般質問で、下世屋地区の有害鳥獣処理施設で発生している異臭問題の解決策として、私は移転・埋設方式への変更・企業への焼却依頼などをご提案しました。
その答弁の概略は、先ず道路の反対側に換気扇の設置を考えている。
更に獣の処理量を調整する根本的な手法を検討していきたいという内容でした。
鳥獣処理施設の現状と今後の動向をお尋ねします。
以上
令和4年12月宮津市議会定例会 星野和彦議員の一般質問〔①自転車を活用した町づくり ②オリーブ事業と鳥獣被害対策の現状と課題〕 – YouTube