「西の渋沢栄一」と言われた松本重太郎をご存知ですか?

近代日本を創った財界の一人・渋沢栄一を主人公にした2021年のNHK大河ドラマ「晴天を衝け」が2月14日に始まりました。
初回の視聴率は20%で、コロナ禍や実態と乖離する株価高騰etc.閉塞感の募る世相に変化を求める気持ちが数字を押し上げたのかもしれません。
因みにタイトル「晴天を衝け」とは、渋沢栄一が詠んだ漢詩の一節「勢衝青天攘臂躋 気穿白雲唾手征」から採ったそうです。
「青空をつきさす勢いで肘をまくって登り、白雲をつきぬける気力で手に唾して進む」という意味で、時代の趨勢と気概が伝わってきます。
【2021年のNHK大河ドラマ「晴天を衝け」】
https://www.nhk.or.jp/seiten/
渋沢栄一の波乱万丈の歩みはこれから展開するドラマの楽しみですが…
その功績は日本初の銀行開業に始まり、今も日本経済を支える大企業500社以上を創設し、「日本資本主義の父」と呼ばれます。
【渋沢栄一のWikipedia】
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%8B%E6%B2%A2%E6%A0%84%E4%B8%80
【渋沢栄一の名言など】
https://bakumatsu.org/men/view/244
渋沢栄一が埼玉県深谷市血洗島村の農家に生まれた4年後…
天保15年10月5日(1844年11月14日)に京都府京丹後市間人(たいざ)の農家に松本重太郎(旧姓は松岡・幼名は亀蔵)が生まれます。
松本重太郎も裸一貫から輸入品の販売などで財をなし、第百三十国立銀行を設立し、現在のアサヒビールや南海電鉄、損保ジャパンなど関西経済を支える大企業40社以上を創設しました。
殊に現在の東洋紡績の前身で近代紡績工業の発祥となる「大阪紡績」は渋沢栄一の協力を得て創業しています。
しかし、1901(明治34)年から1年間続いた恐慌で日露戦争中の1904(明治37)年6月に百三十銀行が破綻し、松本重太郎は私財を投げ打って債務の返済にあてました。
これを機に松本重太郎は財界を引退し、豪壮な堂島の本邸を引き払い、上本町の仮宅に篭居した後、出入りの大工が提供した住居で質素な老後を送ったと伝わります。[1913(大正2)年6月20日に69歳で逝去]
松本重太郎は潔く歴史の表舞台から去ったが為に、今も世間に周知されていないのが残念です。
そして、こんな時代だからこそ松本重太郎の生き様にスポットライトを当てたいものです。
尚、松本重太郎は、城山三郎の小説「気張る男」、2003年1月に放送されたNHKドラマ「われ、晩節を汚さず 新夫婦善哉」(小林薫さんが主演)の主人公です。
【気張る男】
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167139285
【われ、晩節を汚さず 新夫婦善哉】
http://www.tvdrama-db.com/drama_info/p/id-36436
【松本重太郎のWikipedia】
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E6%9C%AC%E9%87%8D%E5%A4%AA%E9%83%8E
【宮津藩下屋敷だった旧安田庭園】
1904(明治37)年、松本重太郎の百三十銀行破綻に際し、その再建は政府の特別融資を受けた安田善次郎(安田財閥の創始者)の手に委ねられました。
富山市出身で松本重太郎より6歳年上の安田善次郎は、1900(明治33)年に旧岡山藩主 池田章政の邸宅になっていた「宮津藩下屋敷」を購入しました。
これも何かのご縁でしょうか…
尚、その後、安田家は本庭園を旧東京市に寄付し、現在、東京都墨田区が管理しています。
【旧安田庭園のWikipedia】
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A7%E5%AE%89%E7%94%B0%E5%BA%AD%E5%9C%92
【安田善次郎のWikipedia】
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E7%94%B0%E5%96%84%E6%AC%A1%E9%83%8E