一般質問「花粉症の対策を望む」「コロナ禍等の教訓を生かす行財政改革」

本日、以下の通り一般質問に臨みました。
1.花粉症の対策を望む
今や国民病と言われる花粉症に対し、林野庁は伐採と販売・人工林の植え替え・先端技術で花粉を出さない対策に取り組み、独自の対策を練る自治体もある。宮津市の花粉症対策を問う。
2.コロナ禍等の教訓を生かす行財政改革
「市役所に行かなくても住民票の写し等が取り付けられる」デジタル化の促進策や高速道路インター周辺への商業施設誘致など今後の税収不足を解消する行財政対策を提案する。
【2021(令和3)年3月定例会の一般質問原稿】
無所属クラブの星野和彦です。
一問一答方式で以下2点を質問します。
1点目が「花粉症の対策を望む」、2点目は「コロナ禍等の教訓を生かす行財政改革」です。
Ⅰ.花粉症の対策を望む
1.花粉症の経緯と現状
林野庁の資料によると、日本の国土面積3,779万haの内、森林が2,505万haで7割を占めています。
元々、日本の森林は広葉樹を中心に様々な樹木が生い茂り、森林の9割が広葉樹でした。
しかし、1955(昭和30)年から19年間続いた高度経済成長期に建築用木材の需要が拡大した為、成長が早く、簡単に加工できるスギやヒノキなど針葉樹の植林が全国各地で盛んに行われました。
その結果、人工林の面積は森林全体の4割に当たる1,020万haになりました。
そして、人工林の7割がスギとヒノキです。
その後、高度経済成長の終息と海外から安い木材が輸入されるようになると、人工の針葉樹林は放置され、大量の花粉を排出するようになりました。
殊にスギやヒノキは樹齢30年を過ぎると子孫を残す段階に移行し、多くの花粉を排出する為、近年の花粉症患者が増加する要因だと考えられています。
また、針葉樹林は「緑の砂漠」と言われ、森に棲む動物の食糧になる木の実が実らず、生態系を変える深刻な問題を生み、近年顕著になってきた有害鳥獣問題の原因の一つとも考えられています。
現在、日本人の3人に1人が花粉症だと言われています。
最近の研究では、花粉に付着する大気中の微小粒子がぜんそくや花粉症を悪化させる強い抗原性を持っていると言われます。
殊に自動車の排気ガスによる大気汚染は極めて深刻で、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる微粒子や、ガソリンエンジンから排出される窒素酸化物とオゾンが花粉に付いて、人体に悪い影響が出ると20年以上前から指摘されています。
また、近年、中国の工業化で発生するPM2.5が黄砂と共に日本の大気を汚染する影響も懸念されます。
私は7年前までサラリーマンをしていましたが、この時期の中国出張はPM2.5専用のマスクとゴーグルが必需品で、視界の利かない空気に得体の知れない恐怖を覚えました。
因みに、PMとはParticulate Matterの略で、PM2.5は直径が概ね2.5μm(マイクロメートル)以下の超微小粒子を指すので、全てが公害物質とは限りません。
しかし、今週日曜日の夜9時に放送されたNHK特集「2030未来への分岐点」のシリーズ第3作目は「プラスチック汚染の脅威、大量消費社会の限界」で、たくさんの魚や鳥がプラスチックを食べて死ぬ深刻な海洋汚染や空気中にプラスチックの粒子が漂い、日々増えている悲しい現実と、近い将来、人間に与える影響に警鐘を鳴らしています。
そして、2015年の国連サミットに於いて採択された「2030年迄に持続可能で、より良い世界を目指す国際目標‛Sustainable Development Goals’の頭文字と語尾をとったSDGsに関する世界各国の取り組みを紹介しました。
大気中の微小粒子に関する研究が進捗することは勿論、いつか研究すること自体がなくなる日が来ることを望みます。
 花粉症は、上述の健康被害だけでなく、甚大な経済的損失も生んでいます。
昨年2月の日本経済新聞の記事によると、パナソニック株式会社が20歳から60歳までの花粉症だと回答した社会人1,324名を対象に「社会人の花粉症に関する調査」を実施したところ、8割が花粉症の辛い症状は仕事のパフォーマンス低下に影響していると回答し、その経済損失額は1日あたり約2,215億円にのぼると伝えています。
尚、花粉症は日本だけの問題ではなく、海外の花粉症を調べると、アメリカ合衆国ではブタクサ、ヨーロッパではイネ科の花粉症が多く、北欧ではシラカバなどカバノキ科の花粉症が多いと言われています。
以上が花粉症に関する経緯と現状の概略を拙く説明致しましたが、訂正や補足などあれば、ご指摘願います。
2.宮津市の森林の内訳や林業の概況
宮津市の森林の内訳や林業などの概況をお尋ねします。
3.アレルギー疾患対策基本法で定められた6疾患の対策と空気清浄機の設置
現在、国民の約半数がアレルギー症状を持っていると言われます。
そこで、2015(平成27)年12月にアレルギー疾患対策基本法が施行され、気管支ぜんそく・アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎・花粉症・食物アレルギーの6疾患について、国や地方自治体が、医療機関の整備・予防と治療法の開発・学校での教育などに取り組むことを努力義務として定めました。
しかし、半年後に厚生労働省が調査したところ、アレルギー6疾患全ての対策を講じた自治体は1割だと当時の日本経済新聞が伝えています。
宮津市のアレルギー疾患対策基本法に関する現在の執行状況をお尋ねします。
また、新型コロナ対策として公共施設に空気清浄機を設置する自治体が増えています。
花粉症対策の観点からも有効な手段だと思いますが、残念ながら宮津市の公共施設で空気清浄機を見かけることがありません。
空気清浄機の設置状況と今後設置する予定があれば、ご教示願います。
cf.コロナ禍で避難所の空気清浄機
4.コロナ禍で花粉症を知らせる手法
新型コロナウイルスの感染が広がる中、ぜんそくや花粉症で、くしゃみや鼻水などが出る人にとっては、周囲の目が気になります。
山口県周南市では、職員が花粉症を周りに知らせる手作りの缶バッジ300個を保健センターなどの窓口で無料配布したところ、1週間ですべてなくなり、周南市は急きょ追加で制作しているそうです。
地元の方言や名産のフグをキャラクターにした4種類のバッジは、愛嬌があり目立ちます。
本件はNHKのニュースで取り上げられ、全国各地で「ご当地バッジ」を作る業者が現れています。
コストの高い缶ではなく、廉価な布や名札でも良いし、丹後ちりめんを使ってPRするのも一つです。
民間業者に依頼するなど手法は問いませんが、宮津市でも花粉症やぜんそくなどを周囲に知らしめる手法をご提案しますが、如何ですか。
5.林野庁の花粉症対策「3本の斧」や広域連携に対応する宮津市の施策と周辺市町の状況
 林野庁は、花粉が出ないスギ苗木の年間生産量に占める割合を、2018(平成30)年の約5割から2032(令和14)年度までに約7割に増加させる目標を掲げ、安倍晋三 前首相が掲げたアベノミクスの「3本の矢」になぞらえて、「3本の斧」という花粉発生源対策を行っています。
第1の斧は「伐って利用する」ことで、花粉が大量に飛散するスギの伐採を進め、伐採されたスギを住宅に留まらず、商業施設や公共建築物の木造化などに利用し、資源として活かすものです。
第2の斧は「スギの人工林を植え替える」ことで、実証実験中の花粉の少ないスギの苗木を増やし、人工林として条件の悪い土地では伐採後に広葉樹への変換を進めるものです。
第3の斧は「先進技術でスギ花粉を出させない」ことで、スギ花粉の飛散防止剤の開発・普及など、スギ花粉の発生を抑える技術を実用することです。
因みに、林野庁の花粉発生源対策の令和3年度予算概算決定額は107百万円です。
花粉症対策を行う自治体を俯瞰すると、東京都が突出していて、総合的な対策を推進する「花粉症対策本部」を2005(平成17)年に設置し、花粉症に対応する病院や飛散情報の提供、森林整備と木材流通の促進、花粉の少ない森づくり運動や募金など活発に取り組んでいます。
無花粉スギの開発や植林に関しては、富山県や茨城県日立市など全国各地で取り組み、中国地方5県による広域連携や岡山県と各市町が共同して公園に花粉が出ないスギを植える啓蒙活動などがあります。
殊に、木質バイオマス発電で有名な岡山県真庭市では、地元企業がCLT(Cross Laminated Timber)という高層建築でも鉄骨に代わって使用できる合板を開発して世の中に広まり、木材需要の喚起に貢献しています。
林野庁の花粉症対策「3本の斧」や広域連携などに対応する宮津市の施策と周辺市町の状況をお尋ねします。
6.ふるさと納税を活用したクラウドファンディング
国内のクラウドファンディングが始まって、今月でちょうど10年になります。
毎年、その需要が増え、私も議員に成りたての2014年12月定例会で市民の財産と生命を脅かす「桜山の急傾斜対策」に関する一般質問を行い、当時の理事者のご尽力を賜り、迅速に京都府から対策工事を遂行頂きました。
その折、無人の本荘神社に代わってクラウドファンディングで工事費の一部を調達しました。
現在、クラウドファンディングは様々な方法が生まれ、「ガバメント・クラウドファンディング」という自治体のふるさと納税と併せて行うものも増えています。
これは寄附金の使途を明確にすることで、寄付者が「応援したい」と思える自治体を選んで寄付し、返礼品を寄付の使い道に関連させるケースも見受けられます。
例えば、寄付金の使途が「イベントの開催費用」だとしたら、そのイベントの入場券を返礼品に設定するといったように、開催費用と来場者の確保を同時に実施することが可能になります。
この「ガバメント・クラウドファンディング」で、2017(平成29)年12月に花粉症対策30百万円の資金調達を図った自治体があります。
それは広島県神石高原町で、調達した資金を「未来の森づくり事業」として針葉樹の間伐や運搬、土砂災害の対策、障害者就労の賃金などに使う予定でしたが、残念ながら「ガバメント・クラウドファンディング」草創期の試みで不成立に終わりました。
しかし、本事業の根底には、2013年の発刊以来ベストセラーとなっている『里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く』のNHK広島取材班との共同著者・藻谷浩介さんの考えが脈々と流れています。
そして、1897(明治30年)に創刊した英字新聞・ジャパンタイムズが「Japan Times Satoyama 推進コンソーシアム」を立ち上げ、2018年に広島県知事や地元国会議員、中国地区5県の地域おこし協力隊員など205名が集った実践者交流会を神石高原町で開催し、昨年4月には世界各国から低年齢層の子どもを受け入れるヨーロッパのボーディングスクールをモデルにして、日本初の全寮制の小学校を神石高原町に設立しました。
50千㎡以上の広大な敷地には牧場を併設し、子どもたち一人一人がガーデンを持って植物や野菜を育て、スキー、ゴルフ、乗馬など、四季を楽しむ心と体の健康を育んでいます。
神石高原町というと、NPO法人ピースワンコ・ジャパンと共に犬と猫の殺処分数が全国ワースト1だった広島県で殺処分される犬を引き取り、新しい里親を探す活動が有名です。
昨年、「ガバメント・クラウドファンディング」で60百万円の資金調達を果たし、現在も480百万円を集めていて86%まで進捗しています。
今後、改めて花粉症対策の「ガバメント・クラウドファンディング」に取り組む可能性も十分秘めています。
宮津市に於いても「ガバメント・クラウドファンディング」を活用した花粉症対策を提案しますが、如何ですか?
Ⅱ.コロナ禍等の教訓を生かす行財政改革
1.コロナ禍の影響と行政のデジタル化
新型コロナウイルス感染症が蔓延して1年になりますが、民間企業でも、都心部はテレワークが一気に進みましたが、地方での実施率は2~3割程度だと言われています。
行政では「未だにFAXで連絡をとる保健所」や「ハンコ社会の役所体質」など耳を疑う新聞記事を見かけました。
行政のデジタル化は、従来、「コスト」と「情報漏洩リスク」と「利便性」の3点のバランスで決まっていましたが、コロナ禍は「感染リスクの軽減」を考慮しなければならなくなり、デジタル化を早める推進力になり、徐々に業務改善に向けた動きが始まりました。
今後の地方自治体全般のデジタル化の流れに関して、住民サービスのデジタル化はオンラインサービス拡大で、内部事務はテレワーク推進で進むと推察されます。
宮津市に於いても、新しい生活様式に対応した書面規制・押印・対面規制の見直しの取組として公共施設の予約受付などをオンライン化するとともに電子決裁・RPA(Robotic Process Automation、人間の代わりに業務をこなしてくれる自動化ツール)の導入により、市民サービスの向上と年間4,200千円の職員人件費削減に繋がる「行政手続き等のデジタル化」として本定例会の補正予算に11,500千円が計上されました。
これは宮津市独自にシステム構築するもではなく、京都府との連携を前提に前述の「コスト」と「情報漏洩リスク」と「利便性」の3点に加えて「効率性」を考慮していることが予見され、大いに期待したいところですが、詳細は、後日、議案審議の折に触れたいと思います。
以上がコロナ禍の影響と行政のデジタル化に関する現状と将来の概略を拙く説明致しましたが、訂正や補足などあれば、ご指摘願います。
2.コロナ禍の教訓を生かす行政改革
(1)行政のデジタル化促進
①紙を中心に行われている決裁事務や保管資料のペーパーレス化(電子化)
Ex.PDFによる市役所の空スペース、山口市役所。
②行政サービスの質的向上
・市役所に来庁せずに、住民票の写し等が取得できるコンビニ交付サービスやワン・ストップ・行政サービスの普及促進。
Ex.三重県桑名市等多数の実績あり。
・LINEの「持ち運べる役所構想」活用。
Ex. 和光市
③SNSを活用した市民・地域等との連携・協働
・LINEやFacebookによる防災情報・市政情報・イベント情報等を利用者が選択した情報を配信。
・パブリックコメントなど市民からの情報収集。
④市職員のIT研修制度の充実等。
(2)テレワークの誘致と環境整備
①市役所や駅など公共施設に於けるWi-Fi環境整備等。
②事務・調査・デザイン・プログラミング等デスクワーク中心の業種・職種や宮津出身者が経営する企業へのアプローチ、サテライトオフィス進出の補助など。
cf.由良に㈱カスタネット:オフィス用品・防災用品、植木力 社長、堀田力 顧問(弁護士・公益財団法人さわやか福祉財団会長、元東京地検特捜部検事としてロッキード事件捜査を担当、幼少期は宮津で成育)
3.税収不足の財政対策
cf.リーマンショック後の経済回復は5年。
(1)高速道路IC周辺の商業施設誘致
cf.2015年3月と2019年3月定例会の一般質問「増収策の提案」と答弁の一部検証。
2015年3月の質問
宮村のコーナン宮津北東交差点から、宮津天橋立インターチェンジ出入り口に至る約1kmは、西側が第2種住居地域、東側が農地及び農用地となっている。
農用地に関しては、これ迄の市の施策であり、今後地元住民の皆さんとの十分な意思疎通を前提とした上で、夏に予定する京都縦貫道の全線開通に即し、今後の都市計画及び都市計画道路の再編を考慮する。
2019年3月の答弁
当該地域の優良農地は維持したい。
農用地以外は、誘致に向け地元と調整を図ってきた。
cf.ドラッグストアゴダイの効果:スーパー・フクヤ宮村店をクスリのアオキが買収・リニューアル。
(2)リゾート施設の誘致
cf.固定資産税と地元旅館との相乗効果。
(3)観光地でのコンビニエンスストア展開の促進
cf.天橋立駅は海の京都の一丁目一番地、外国人が使えるATMのニーズ。
新型コロナ対策で…
傍聴席の入口に自動温度測定器が設置されました。
【一般質問の動画】
https://www.youtube.com/watch?v=Ze9TIiJMlB4