丹後大仏 ~100年前のスペイン風邪の犠牲者を悼む~

「舟屋」(ふなや)で有名な京都府与謝郡伊根町にある丹後大仏(筒川大仏とも呼ばれる)をご存知でしょうか?
1900(明治33)年に建設された筒川製糸工場は地域経済の発展に貢献しましたが、1909(明治42)年に工場を焼失、その後、役職員が一致団結して工場を復興させました。
1918(大正7)年10月、品川萬右衛門 工場長は従業員13名を東京見物に引率し、慰労しました。
しかし、当時流行したスペイン風邪に感染、帰郷後42名の死者をだし、品川工場長は、殉職者の慰霊の為、青銅の露天大仏を建立しました。
その後、1944(昭和19)年に太平洋戦争の鉄類の供出に遭い、終戦後の1945(昭和20)年に石仏の大仏を再建し今日に至っています。
毎年4月8日に殉職者の冥福を祈る花祭り3日後の4月11日に丹後大仏を訪れました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/丹後大仏
今からちょうど100年前…
1918(大正7)年1月~1920(大正9)年12月の3年間に世界人口18~20億人の約1/4に相当する約5億人が感染し、17~50百万人の死者が出たと伝わります。(1億人の可能性もあり)
米国ではパンデミック(感染症の世界的な大流行、 語源はギリシア語pandēmos)の初年に平均寿命が約12歳低下したそうです。
当時の日本の人口は約50百万人で、ほぼ半分の約24百万人が感染、ほぼ1%近くの約389千人が亡くなりました。
「スペイン風邪」命名の由来…
スペインが発生源という訳ではなく、第一次世界大戦時(1914年7月28日~1918年11月11日)に中立国で情報統制されていなかったスペインでの流行が大きく報じられた為です。
スペイン風邪の被害者年齢層…
若者の致死率が高く、米国は99%が65歳未満で凡そ半数が20~40歳だったそうです。(日本も同様の傾向)
栄養失調や劣悪な衛生状態による細菌性の重感染を死因としているとの指摘もあります。
第一次世界大戦による過酷な兵役や劣悪な工場勤務が起因した可能性もあるようです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/スペインかぜ