平成30年度3月議会が終了、議員定数は16から14に


本会議第6日は総務文教と産業建設福祉の2常任委員会委員長と予算決算委員長の報告があり、平成30年度一般会計予算・条例改正等を可決し、3月議会が終了しました。
尚、懸案の議員定数は現行の16から14に決まりました。
・14:8名(蒼風会4名、公明党2名、市民連合クラブ2名)
・15:7名(自民党新生会3名、日本共産党3名、無会派1名)
私は、議員定数12をベースに議員報酬カットやじっくり議論する必要性などを主張、議会費用削減を盛り込んだ15に賛同しました。

【議案討論時の私の意見】
議員定数条例の一部改正に関して、現行の16人から15人に改正する案の立場から以下の通り発言します。

人口統計と現時点の市民の声を反映するなら「議員定数は12人」以外ないと思います。
今回この場で14人か15人に決まりますが、私は、この選択肢の時点で「議員だけの感覚」が先行し、既に民意を離れているのではないかと懸念します。

14人か15人か選べと言われるなら、私は議会費用削減を加えた15人に賛成しますが、議員報酬に関しては12人をベースとして差額分を減額し、市民から選ばれた「議員の報酬審議会」に議会自ら申し入れをすべきだと思います。

その理由を以下の通り申し上げます。

先ず、議員定数を決める期間が短いことです。
昨年の12月議会に議員定数削減の要望書が市民の有志の方からあがり、早速、議会活性化委員会で討議を重ね、本年1月末から2月上旬に市内9カ所で開催された「市民と議会の懇談会」でも議論されました。
市民の参加者は150人で、本件に関するアンケートを投書・郵送・ホームページで募集し、135人の回答がありました。
しかし、市内の有権者・約16千人の1%も満たしていません。

昨年末に決まった島崎公園の改修は、市民の声を聞くパブリックコメントの募集が僅か3週間程しかありませんでした。
そして、工事が始まるやいなや市民の皆さんから不満の声が湧いています。
私は宮津に帰ってきて4年経ちますが、色々感じることの一つは、大切なことを決める時間が短いことです。
そして、全体を捉えてから詳細を決めることが少なく、素晴らしい事業が立案されても、場当たり的に進行し、失敗に至る「戦略のない戦術」が目立つことです。
お隣の与謝野町では、現町長になってから行政と町民の皆さんとの懇談会が頻繁に行われるようになり、じっくり民意を汲み取る方向に進んでいます。
舞鶴市と福知山市でも、今般、議員定数削減になりますが、少なくとも選挙の1年前からじっくり議論を重ねて結論を出しています。

昨年、議会改革の一環で、新たな試みとして、従来の年2回・各地区で開催する直近の本会議の内容をお知らせする「議会報告会」から「市民と議会の懇談会」に改め、テーマを絞って各業界団体と各地区との意見交換会に変わりました。
そして、昨年の夏には商工会議所と観光協会と意見交換を行いましたが、議員定数是正のお話が上がっていません。
上述の通り、昨年の12月議会に議員定数削減の要望書が市民の有志の方から上がりました。
そのお名前を拝見すると、商工会議所の副会頭、観光協会の会長がいらっしゃいます。
しかし、これは議会が自助努力による議員定数を含めた議会の在り方を討議していないことに対する「已むに已まれぬ思い」だと捉えるべきではないでしょうか。
人口統計と現時点の市民の声を反映するなら「議員定数は12人」以外ないと私は思います。

では、果たして12で全く良いかと言うと、先のアンケートでも上がりましたが、様々な意見があります。
主な例を申し上げます。

①政党などの特定の支持基盤を持たない人が議員になれなくなる可能性があること。

②南北の格差が大きい宮津市の現状で、北部の意見が弱くなること。

③単に人口比で決めるには無理があること。
これは、現在の宮津市の人口動態から判断すると、毎年約500人の人口が減り、4年後には約2,000人減る可能性もあり、いつか6名の議会なんていう日がくるかもしれません。

④誰でも議員になれる「ゆとり」の必要性。
高性能の機械でも一般に「遊び」と言われる「ゆとり」があります。
低報酬でもお産の後に議員になるお母さんがいたり、商売をやっているおっちゃんなどが気軽に入れ替わる議員と議会の方が望ましいのではないかという議論もあります。
制度の異なるアメリカ合衆国の地方議会と単純に比較できませんが、アメリカでは低報酬で一般市民が兼業で議員を務めていることが多いです。
議員報酬を上げて、議員に求めても、市民と議会の垣根が益々高くなる可能性もあります。

⑤市民の皆さんの意見を吸い上げる仕組み。
4年前に総務文教委員会の行政視察で訪れた石川県加賀市は、平成の町村合併による弊害を克服する意味もありますが、自治会長の権限と報酬を上げ、自治連と市長が定期的に会合を持ち、各地域特有の問題を扱い、議会はなるべく市全体を見る二院制のような制度を設けています。

⑥僅か4ヵ月では議会の費用対効果といった議論が欠けていることも懸念されます。

今回、この場で議員定数が14人か15人に決まりますが、何れに決まっても、市民の皆さんからは議会が勝手に決めたと非難される可能性が極めて高いと思料します。
さはさりながら、現在の選択肢の中で、定数を決めなければなりません。
加えるべきことは、議会自らが反省し、傷みを伴う改革の第一歩として、議員報酬の減額を申し出ることだと私は思います。
議員定数の議論を機会に、今回の要望を出された会や市民の皆さんとじっくり話し合いをすることが大切だと思います。
多くの人が参加して決めることが町の再生の第一歩で、「鳥の目と虫の目と魚の目」マクロとミクロとトレンドという視点から判断できる良い知恵も湧いてくると思います。

最後に、豊岡市の真野毅 前副市長が母校の大阪府立大学の学生のインタビューにお答えになられた折のコメントを以下の通り補足します。
尚、真野さんは2009年に民間公募で1,371倍の難関を破って副市長に就任し、城崎のインバウンド成功など驚異的な実績を残して、昨年9月に退任されました。

「就任が内定した時、主なミッションは『行革』だと考えていましたが、始めてみたらもっと大切なことがあることがわかりました。
高度成長の下、行政は市民の要望に応えて、多くの仕事を担うようになりました。
行政が要望に応えるほど行政まかせの市民が育ってしまい、みんなで社会を支えるという考えが希薄になってきます。
これから少子高齢化、人口減少の時代に入り、市民がいかに政策に参加してくれるか、いかに行政が地域や市民と協働できるかがとても大切です。
それを先頭に立ってやり、組織の体質の中にそういったガバナンスの考え方をいかに根付かせるか。
そういったことに特に注力しています。
民間企業と行政の文化の違いなどももちろんありますし、意識改革をしよう・させようと思ってもなかなか難しい。
協働することで市民を理解する、地域を理解することを促していくことが重要だと考えています。」

“平成30年度3月議会が終了、議員定数は16から14に” への2件の返信

  1. この様ななことは、人口減少と税収入(歳入)が減少であるが元を正せば若い世代が就職先先がない、農業・漁業・林業・自営業が成り立たないのを放置されて、具体策なく負のスパイラルに陥つた。
    本件について議員数は、現状でも良いかと思います。僅か議員報酬額よりも、もつと削減できる歳出と歳入を増やす方法が寛容かと思われます。尚議決方法などの同等数で議長採決で可決ですが、市議会の規則規定は、きめ細やかに欠く。

    1. 吉田さん、的確なコメントを頂き、ありがとうございます。
      特に最近は立て続けに閉会直前に上がってきた重要な議案が可決される結論ありきの議会、常任委員会で事前に書類に目を通さず質問する議員や特別委員会の遅刻常習者などに市民や職員の皆さんから辟易と失望の念が高まっているように感じられます。
      昨年12月議会に議員定数削減の要望書が市民の有志の方から上がりましたが、これは議会が自助努力による議員定数を含めた議会の在り方を討議していないことに対する「已むに已まれぬ思い」だと思います。
      「議員報酬の減額」を提案したのは、一旦、議会の姿勢を自ら正さないと皆から受け入れられないし、議会が変わらないと思うからです。

      今年の9月議会で、平成29年度決算があがり、公社債比率が18%を超え、新たな借金をするために京都府の許可が必要になる見込みです。
      更に来年以降の9月議会では、毎年大幅な赤字決算が上がってくる見込みです。
      平成17年度に行った約40億円の「繰り延べ」のツケも大きく圧し掛かっていますが、昨年度の約10億円の図書館移転費用や約15.5億円の宮津小学校の校舎改築費や、与謝野町と伊根町と共同で建設し民間企業がDBO方式で運営するゴミ処理場の100億円を超える債務負担行為などの新たな負担で、大変な財務状況に陥ります。
      昨年度の議会で粘りましたが、賛同頂ける議員が少ないです。
      今の宮津市は、本来の行政を越えた「審査部の手薄な株式会社」の様相を呈しているように感じます。

      今回の一般質問でも改めて触れましたが、4年前に私が議員になってから提案してきた以下の行政改革に理事者や他の議員が漸く耳を傾けてくれることを望みます。
      ①国からの補助金に頼らない公民連携による建設費の削減。
      ②第三者譲渡を禁じ、国の通達要件を満たす食事・宿泊券によるふるさと納税、体育館のネーミングライツなどの増収策。
      ③IT促進による紙や資料準備の削減などの業務効率化。
      ④賞与査定の導入、女性や若手の登用、民間企業出身者の採用などの人事戦略。
      ⑤職員による政策提言の表彰や仕事内容の広報誌連載など職員の活力・知恵・成果を引き出す制度。

      【ご参考 3月30日 京都新聞の社説「地方議員なり手 確保優先は本末転倒だ」】
      http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20180330_4.html

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